最近の話題 2007 9月29

1.ドイツのMax Planck協会にBlueGene/Pの1号機を納入

  2007年9月26日のHPC Wireが,IBMがBlueGene/Pの一号機をドイツのMax Planck協会のGarching Computing Centerに納入したと報じています。

  このシステムは,8192プロセサのシステムで,2001/2002年に設置されたPOWER4ベースのシステムを置き換える計画の一環として設置されるもので,2008年にはPOWER6ベースの100TFlops超のシステムも納入されるとのことです。

  メモリが4TBのシステムとなっているので,4コアCPUチップに2GBのメモリが付いたノードが2048個(2筐体)のシステムと思われます。BG/PのCPUはFMA演算器を2個搭載したコアが4個集積され,クロックは850MHzなので,ノードあたり13.6GFlopsで,システム全体では約28TFlopsとなります。

2.Azulが次世代プロセサの開発プロジェクトを中止

  9月15日に話題でAzul社が経営危機かという話題を紹介しましたが,筆者の友人から,次世代のプロセサの開発を中止したので,同社を辞めた( 首になった?)という連絡がありました。

  Azul社は9月13日にベンチャーキャピタルから$40Mの出資を受けたと発表し,アグレッシブに販売と次世代の開発を進めると発表したのですが,最近,インドのソフト部隊をレイオフし,また,今回,カリフォルニアのハード部隊も切ったのでは,どうやって開発を続けるというのでしょうね。

  Transmetaが潰れ,また,Azulも次世代プロセサの開発を止める,となると,ユニークなプロセサを開発するベンチャーは,やはり難しいという感を強くします。 アイデアから製品化の間の「デスバレー」を乗り越えても,市場の淘汰の「ダーウィンの海」を越えるのは,さらに10倍のエネルギーが必要といわれており,潤沢な資金と強力な営業力をもつ大企業しか生き残れないのでしょうか。

3.Nehalemの謎

  先週の話題で,Nehalemのトランジスタ数を781Mと書きましたが,正しくは731Mでした。謹んで訂正いたします。そして,トランジスタ数が731Mとすると,12MBのキャッシュではトランジスタが足りません。ということで,後藤さんが書いているように8MBなのかも知れません。

  しかし,Nehalemのキャッシュは,チップ面積的には,先週書いたように12MB分程度の面積を占めています。大体,Harpertownが,2チップ合計で214mm2で12MBと4コアを搭載しているのに,同じ45nmプロセスで270mm2のNehalemが4コア+8MBでは,コアが大きくなったりした程度では,辻褄が合いません。

  考えられる説明は,Nehalem(今回のIDFで公表されたものは2ソケット用と考えられる)では,731Mトランジスタしか使っていないが,実は,チップには,12MB分のトランジスタが載っているのではないかというものです。

  CPUコアの部分もPenrynと比較すると1.4倍近くに面積が増加しているのですが,コアに内蔵されるキャッシュがそれほど大きな面積を占めているわけでもなく,SSE4.2などの改善項目を見ても,こんなに多くの面積を必要とするとは考え難いものです。

  そこで,また,考えられるのは,未発表の(あるいはNehalemでは活かされない可能性もある)機能が実装されているという可能性です。40%もコア面積を増やすなら,相当大掛かりな機能で,性能的な効果もかなり大きなものでないとペイしないので,まだ,サプライズが楽しめるのではないかと思います。

4.45nm Harpertownの性能

  2007年9月28日のTech Onが,Intelが45nmのPenryn 2チップで合計の4コアのHarpertownを搭載したStoakleyプラットフォームの性能を公表したと報じています。

  Tech Onの記事によると,FSBが1333MHzのBensleyプラットフォームに同じ2.67GHzクロックのClovertownを載せた場合と,Harpertownを載せた場合の比較では,Harpertownの方が5〜10%性能が高く,割り算性能が大きく効く金融シミュレーションのプログラムでは50%性能が向上したそうです。

  また,StoakleyプラットフォームではFSB 1600MHzなどによる性能向上があり,3.16GHzのHarpertownを搭載すると,前述のBensley+2.67GHz Clobertownと比較すると31〜45%高速になると書かれています。

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