最近の話題 2010年1月9日

1.Intelが32nmプロセスのCore i3,i5,i7プロセサ群を発表

  2010年1月7日にIntelはCore i3,i5,i7プロセサ群を発表しました。これらのプロセサはNehalemアーキテクチャを32nmプロセスに移行するもので,Westmereのコードネームで開発されたきたものです。今回の発表は品種が多すぎるので,手抜きで,Intelの発表のリストをそのままコピーして貼り付けました。

  Core i7とi5はTurbo Boostをサポートしており,消費電力が少なかったり,周囲温度が低かったりでチップ温度に余裕がある場合は,自動的にクロックを上げて処理を高速にします。一方,ローエンドのi3ではTurbo Boostはディスエーブルされています。

  次期スパコン用のIBMのPOWER7や富士通のSPARC64 [fxは45nmプロセスで,商品化は,これからという状況。AMDもやっと45nmが立ち上がってきたという状況で,32nmプロセスを使うというのはIntelの抜群の半導体プロセスの実力を誇示しています。しかも,今回はハイエンドの品種だけが最先端プロセスというのではなく,多数のメインの量産品種で一斉に32nmプロセスを使うということで,プロセスの完成度と製造キャパシティーに関して絶対の自信があるのでしょうね。

  モバイルプロセサの消費電力(TDP)はUMが18W,LMが25W,Mは35Wとなっています。一方,デスクトッププロセサの方は,i5-661だけが87Wで,その他の品種は73Wとなっています。

  このi5-661とi5-660の関係は面白く,どちらもCPUクロックは3.33GHzで1000個ロットのお値段も$196と同一で,消費電力は661の方が14W大きいのですが,GPUのクロックが660は733MHzであるのに対して,661は900MHzとなっています。仕様上はGPUクロックが733MHzの5製品は73W,900MHzの661だけが87Wで,筋が通っているとも言えるのですが,GPUのクロックの差だけで14Wの違いが出るとは考えにくいので,i5-661は消費電力の大きい,少し出来の悪いCPUを売るのが目的と思われます。

  モバイルとデスクトップ製品は,Intel HD Graphicsというグラフィックス チップが同一パッケージに搭載され,下記の一覧表ではそのクロック周波数が書かれていますが,Intelのプロセサ仕様のページはCPUに関する記述だけで,グラフィックスの話は全くと言って良いほど出てきません。やはり,CPUとGraphics部門の連携は,あまり,密ではないのでしょうか?

Intel® Core™ Mobile Processors
Processor Number Base Clock Speed (GHz) Turbo Frequency1 (GHz) Cores/Threads Graphics Frequency(MHz) 1 ku Boxed Pricing
Intel®Core™ i7-620M 2.66 Up To 3.33 GHz 2/4 500-766 $332
Intel®Core™ i5-540M 2.53 Up To 3.06 GHz 2/4 500-766 $257
Intel®Core™ i5-520M 2.4 Up To 2.93 GHz 2/4 500-766 $225
Intel®Core™ i5-430M 2.26 Up To 2.53 GHz 2/4 500-766 Not listed
Intel®Core™ i3-350M 2.26 n/a 2/4 500-667 Not listed
Intel®Core™ i3-330M 2.13 n/a 2/4 500-667 Not listed
Intel®Core™ i7-640LM 2.13 Up To 2.93 GHz 2/4 266-566 $332
Intel®Core™ i7-620LM 2.0 Up To 2.80 GHz 2/4 266-566 $300
Intel®Core™ i7-640UM 1.2 Up To 2.26 GHz 2/4 166-500 $305
Intel®Core™ i7-620UM 1.06 Up To 2.13 GHz 2/4 166-500 $278
Intel®Core™ i5-520UM 1.06 Up To 1.86 GHz 2/4 166-500 $241


 

Intel® Core™ Desktop Processors
Processor Number Base Clock Speed (GHz) Turbo Frequency1 (GHz) Cores/Threads Graphics Frequency(MHz) 1 ku Boxed Pricing
Intel®Core™ i5-670 3.46 Up To 3.73 GHz 2/4 733 $284
Intel®Core™ i5-661 3.33 Up To 3.60 GHz 2/4 900 $196
Intel®Core™ i5-660 3.33 Up To 3.60 GHz 2/4 733 $196
Intel®Core™ i5-650 3.20 Up To 3.46 GHz 2/4 733 $176
Intel®Core™ i3-540 3.06 n/a 2/4 733 $133
Intel®Core™ i3-530 2.93 n/a 2/4 733 $113


 

Intel® Wireless Adapters
Wireless Name Transmit Antennas Receive Antennas Spatial Streams Maximum Throughput Frequency Support
Intel® Centrino® Wireless-N 1000 1 2 2 300 Mbps 2.4 GHz
Intel® Centrino® Advanced-N 6200 (New) 2 2 2 300 Mbps 2.4 & 5 GHz
Intel® Centrino® Ultimate-N 6300 (New) 3 3 3 450 Mbps 2.4 & 5 GHz
Intel® Centrino® Advanced-N + WiMAX 6250 (New) 2 2 2 300 Mbps Wi-Fi: 2.4 & 5GHz
WiMAX: 2.3, 2.5, 3.5GHz


 

Intel® Core™ Embedded Line-up
Processor Number Base Clock Speed (GHz) Turbo Frequency1 (GHz) Cores / Threads Thermal Design Power Error Correcting Code 1 ku Pricing
Intel®Core™ i7-620M 2.66 Up To 3.33 GHz 2/4 35W No $332
Intel®Core™ i7-610E 2.53 Up To 3.20 GHz 2/4 35W Yes $332
Intel®Core™ i7-620LE 2.0 Up To 2.80 GHz 2/4 25W Yes $300
Intel®Core™ i7-620UE 1.06 Up To 2.13 GHz 2/4 18W Yes $278
Intel®Core™ i5-520M 2.4 Up To 2.93 GHz 2/4 35W No $225
Intel®Core™ i5-520E 2.4 Up To 2.93 GHz 2/4 35W Yes $225
Intel®Core™ i5-660 3.33 Up To 3.60 GHz 2/4 73W Yes $196
Intel®Core™ i3-540 3.06 n/a 2/4 73W Yes $133
Intel®Core™ i7-860 2.8 Up To 3.46 GHz 4/8 95W No $284
Intel®Core™ i5-750 2.66 Up To 3.20 GHz 4/4 95W No $196
Intel® Xeon® X3450 2.66 Up To 3.20 GHz 4/8 95W Yes $241
Intel® Xeon® X3430 2.4 Up To 2.80 GHz 4/4 95W Yes  

2.LGのスマートフォンがMoorestownを採用

  2010年1月7日から10日に掛けてLas Vegasで開催されたCESで,IntelのOtellini社長が,同社のMoorestownプラットフォーム(CPUはLincroft,チップセットはLangwell)を採用したLG ElectronicsのGW990スマートフォンをデモして見せました。OSはMoblinで,720pのHDビデオの表示ができるそうです。

  携帯電話の世界では,圧倒的にARMプロセサのシェアが高く,x86ベースのCPUがに使われたのは,これが最初ではないでしょうか?

3.NVIDIAが新しいTegraプロセサを発表

  2010年1月7日にNVIDIAはデュアルコアのARM Cortex CPUと同社のGPU,ビデオエンジンを搭載したNew Tegraプロセサを発表しました。消費電力は500mWで1080pのビデオ処理が出来るのが売りです。ARM CPUのクロック周波数は最大1GHzとなっています。TSMCの40nmプロセスで製造され,現在のスマートフォン用のプロセサ(これが何を指すのかは不明ですが)と比較して10倍速いと書かれています。

  この新Tegraは既に量産が始まっており,50以上の製品が開発中と述べています。

4.MarvellとQaulcomのCPU開発

  2010年1月7日のThe Inquirerが,Marvell社がARMv7アーキテクチャの4コアプロセサを開発と報じています。Marvell社はARMのアーキテクチャライセンシーで,独自に開発した高速コアを搭載するArmadaというプロセサ製品を作っていますが,その後継となるものと思われます。

  また,QualcomはARMのCortexコアを使用する1GHzのSnapdragonプロセサを作っており,既に,GoogleのNexus Oneスマートフォンなどに採用されていますが,2010年1月8日のThe Registerが,45nmプロセスで1.3GHzにクロックアップしたプロセサ8X50Aを開発中と報じています。また,その先には1.5GHzの8X72が予定されています。8X50Aは,今年末ころには製品に搭載され,8X72は今年末までにはサンプル提供の予定だそうです。

  更に,2010年1月8日のEE TimesがQualcomがTSMCと共同で28nmテクノロジを開発中で,2010年中ころにも最初のテープアウトと報じています。QualcomはARM Cortexコアを使用するSnapdragonプロセサを作っており,これらを28nmプロセスに移行すると思われます。TSMCは,High-K Metal Gateの28HPと酸窒化膜をつかう低電力の28LPプロセスを開発中とのことです。一方,QualcomはGlobal Foundryとも40nm,そして将来の28nmの開発契約を結んだとのことです。

  なお,2010年1月8日のThe Inquirerが,HPが低価格のPCにSnapdragonを使うことを検討していると報じています。HPはVIAのプロセサを使ったNetbookも出しており,この辺の価格帯ではIntelべったりではないようです。

5.富士通のPRIMEQUESTサーバを使う東証のArrowheadが稼働

  2010年1月4日に富士通と東証は,次世代株式売買システム「Arrowhead」が稼働を開始したと発表しました。従来,数秒かかっていた注文応答が,5msと3ケタ近く改善されています。と,いっても,やっと,欧米の主要証券取引所と同程度になったということのようです。

  システムは富士通のItaniumサーバであるPRIMEQUESTを使い,3重化して高信頼を実現しています。

 現状では,過去のピーク負荷の4倍の処理能力を持っており,今後も常にピーク値の2倍のキャパシテイーを確保するように,必要に応じて1週間程度で拡張を実施できるように考えられているとのことです。しかし,Tukwilaも遅れに遅れており,いざ拡張という時に,Itaniumベースの富士通サーバがあるかどうかの方が心配です。

@701078

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