最近の話題 2010年3月27日

1.NVIDIAがFermiベースのGTX480,470を発表

  2010年3月26日のThe InquirerがNVIDIAのFermi GPUを使うGTX-480とGTX-470グラフィックボードの発表を報じています。

  NVIDIAの製品のページによると,GTX480の方は,CUDAコア数は480でシェーダクロックは1401MHz,GDDR5のグラフィックメモリ容量は1.5GBでクロックは924MHz,メモリインタフェースは384ビットでバンド幅は177.4GB/sとなっています。消費電力は250Wで6ピンと8ピンにコネクタでの電源接続が必要となります。

  また,GTX470は448コアでクロックは1215MHz,GDDR5メモリは1.2GBでクロックは807MHz,メモリインタフェースは320ビットでバンド幅は133.9GB/s,消費電力は215Wで6ピンのコネクタ2個を必要とします。

  機能的にはDirectX11をサポートし,テセレーション機能が加わり,また,3D立体表示サポートなどが新らしいところです。

  GTX480とAMDのHD5870(2チップ搭載のHD5970ではない)との性能比較のグラフが載っていますが,1.1倍から1.5倍程度高い性能を示しています。2010年3月27日のマイコミジャーナルが詳細なベンチマーク記事を掲載していますが,まあ,HD5870には若干勝っているものが多いという感じなので,このグラフと似たような印象です。しかし,3DMark VantageのGT1テストのピーク電力が351W,GT2では353Wで,これは同じ条件でのHD5870の247Wと244Wより100W以上大きい消費電力です。

  リテール価格はGTX480が$499,GTC470が$349程度としていますが,PCWatchの記事では国内価格は6万円と4万円程度と書かれています。

  Fermiは512コアを搭載しているのですが,GTX480では32コアのSMを1個,GTX470では2個の不良を許容する製品設定になっています。これはPS3のセルプロセッサでもやられた方法であり,Demerjian氏の言うように歩留まりが非常に悪いためであるとは言い切れません。

2.CrayがミッドレンジのCX1000スパコンを発表

  2010年3月24日のHPCwireが,CrayのCX1000スパコンの発表を報じています。

  CX1000は,トップエンドのXT6とデスクサイドのCX1の中間を狙った製品で,今回発表されたCX1000-Cは7Uのブレードシャシーに下10枚,上8枚のハーフハイトのブレードを収容し,上側の2枚分は冷却用のファンブレードだそうです。各ブレードは6コアのXeon 5600(95Wか80Wのチップで,130Wはサポートされていません)を2個搭載できます。メモリスロットは12枚で,4GB DIMMなら48GB,8GB DIMMなら96GBのメモリを搭載できます。

  そしてシャシーは36ポートのSingle QDR InfiniBandスイッチを持ち,これで各ブレードに接続しています。また,オプションで外部接続用の24ポートのGbit Ethernetのスイッチも取り付けられます。また,Cray Cluster Managerを使って最大4台のシャシーを接続したシステムが作れます。お値段はミニマム$100Kでフルラックのハイエンドの構成では$700K程度となっています。

  CX1000-CシャシーはN+1冗長の6.5KW の電源を持ち,ピーク時には最大8.2KWを供給できると書かれています。また,ウルトラキャパシタ―のバックアップがあり,250ms以下の瞬断に耐えられるそうです。

  OSはWindows HPC Server 2008とRHEL5だそうです。

  CX1000-Gモデルは,同じ7Uのブレードサーバですが,ハーフハイトでダブルワイドのGPUブレードを9枚搭載します。このブレードは2ソケットのXeon 5600とNVIDIAのM1060 GPU 2枚を搭載しています。そして,DIMMスロットは6スロットで,QDR InfiniBandは2ポート出ています。しかし,もうすぐFermi GPUを使ったアクセラレータボードが出るという期待から,こちらに飛びつく顧客はいないのではないかと思われます。

  また,今回は詳細は発表されませんでしたが,128コアSMPで大容量共通メモリをサポートするCX1000-Sというシステムも開発されています。プロセサとしてはNehalem EXを使うと見られていますが,標準では8チップ64コアまでのSMPしか作れず,何らかのQPI接続を拡張するチップセットをCrayが独自に開発しているか,あるいは他所から買ってくると見られます。

3.IBMがCELLブレードの供給停止を発表

  2010年3月23日のThe Registerが,IBMは,来る6月25日をもってCELLチップを2個搭載するQS21ブレードの供給を停止すると報じています。このQS21はTop500 2位のRoadrunnerに使用されているもので,まだ,3年やそこらは使うでしょうから,その間に必要となる保守部品はストックしておくのでしょうね。Top500 2位のRoadrunnerに使用されているQS22ブレードの供給は継続されます。

  2009年11月26日のThe Registerは,次世代PowerXcellチップを使うQSZ2の計画も中止と報じており,IBMはCELLの開発は止める方向のようです。まあ,CELLを止めてもPOWER7の系列とBlueGeneの系列があり,そんなにたくさんやってはいられないというところでしょう。

  そういえば,4月14日からのCool ChipsでCELLを作ったJim KhaleがPOWER7について講演しますね。

@727532

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