最近の話題 2010年4月10日

1.AMDのPhenom U X6のTurbo Core

  2010年4月8日のAnandtechがAMDのPhenom U X6プロセッサのTurbo Coreに関して,AMDのリークと思われるスライドを掲載して報じています。これらのPhenom Uプロセッサの発表は2Q(1品種は3Q)の予定だそうです。

  IntelはTurbo Boostの名称で,チップ温度に余裕がある状態ではコアのクロックを上げるという手法をサポートしており,これを追撃するのがAMDのTurbo Coreです。

  品種としては3.2→3.6GHzクロック,125Wの1090Tから2.6→3.1GHz,95Wの1035Tまでの6コア4品種と4コアで3.0→3.4GHzクロックで95WのAMD Phenom U X4の計5品種が出るそうです。ここで→の後の数字がブーストされたクロック周波数です。

  このブーストは,3つ以上のコアの使用率が低くなると電源電圧を上げて,アクティブなコアのクロックを3.2GHzから3.6GHzというように高速化します。IntelのNehalemではパワーゲートでコアごとに電源オフにできるのですが,Phenomはこのような回路は持っていないので,低負荷のコアの電源電圧も上がってしまうので,それらのコアのクロックは800MHzに落とします。

  6コア全部が3.2GHzで動いているのに対して,3.6GHzが3コア,0.8GHzが3コアになったとするとトータルGHzでは19.2から13.2に減少します。これで消費電力が同じとすると電源電圧は20.6%アップしているという計算になります。クロックを12.5%アップするのに電源を20%上げるというのは妥当な線です。

  掲載されたスライドではコアがCステートになりTurbo Coreモードに入るという絵がありますが,具体的にどういう風に低負荷と判定して800MHzにクロックを落とすのかは,いまいち,良く分かりません。ソフトが介入するのではなく,ハードが自動的に判定すると書かれていますが,ソフトが知らないところで勝手にクロックがピョコピョコ変わっても良いもんでしょうかね。低負荷とは言え,急にクロックが1/4になると使用感が変わるなんてことは無いのでしょうか?

  まあ,この手のターボテクノロジは,並列に実行できない部分は一つのコアのクロックを上げ,並列に実行できる部分は通常のクロックで全コアを動かすという風にすれば,単純なAmdahlの法則の計算より全体の処理時間を短縮できるという点で良いアプロ―チだとは思います。

2.IntelのSandy Bridgeの品揃え

  2010年4月9日のPCWatchに後藤さんが,Intelの次世代のSandy BridgeはノートPCからMPサーバまで投入されると書いておられます。最初のSandy Bridgeは来年初め,早ければ今年末に登場の予定で,超低電圧版からMPサーバ用まで来年中に揃うとのことです。

  後藤さんの記事を読んで戴ければ良いのですが,掻い摘んで紹介すると,Sandy BridgeはWestmereと比較するとAVXと呼ぶ256ビット幅のSIMDの実装とGPUの内蔵が大きな改良点です。

  製品としてはデスクトップ用は2コア,4コアと8コアが予定され,現在の最上位が6コアであるのに対してこれが8コアに増強されます。そして,L3$の容量はコアあたり1.5MBと書かれています。また,メモリはアンバッファードのDDR3-1066とDDR3-1333の2チャンネルサポートとなっています。

  上位のサーバ用ではDDR3-1600までをサポートし,低電圧版やレジスタード,低負荷DIMMなどもサポートされ,また,PCIeも倍速のGen3がサポートされるそうです。しかし,最上位のSandy Bridge EXでもQPIは2チャンネルで,8ソケット対応は次世代のIvy Bridgeになると書かれています。また,Nehlem EXで採用されたFBDIMM2改めSMIメモリインタフェースがどうなるのかは後藤さんの記事には書かれていません。

  それから,ノートPC用の低電圧版,超低電圧版も来年に登場するそうです。

 

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