最近の話題 2010年4月24日

1.Sandy BridgeのCPU-Z画面

  2010年4月21日のSemiAccurateがXtremeSystemsのJCornel氏のポストとしてSandy Bridgeシステムと思しきシステムのCPU-Z画面のスクリーンショットを掲載しています。それによると,CPUはIntel Sandy Bridge,テクノロジは32nmで,電源電圧は0.986Vとなっています。そして,クロックは2.4GHz(正確には2.3946GHz)となっています。また,Instructionsの欄にはAES,AVXが見えます。

  測定されたシステムは2コア4スレッドで,各コアのL1$は8wayで各32KB,L2$は256KBで8wayとなっています。そして,L3$は3MB 12wayとなっています。

  また,Windowsのタスクマネージャのスクリーンショットも掲載されていますが,簡字体でない漢字で書かれているので台湾版のWindowsのようで,さもありなんという感じで,このポストの信憑性を増しています。

  もちろん,Photoshopなどを使えば偽のスクリーンショットは作れますが,誤魔化しても年末には本物が出荷されるのでバレてしまう訳で,そんなこともしていないだろうと思います。

  また,ソケットの部分の写真で,刻印がLGA-115Xとなっており,現世代の1156とは異なることを示唆しています。これは後藤さんの記事などで1ピン少ないLGA-1155という新ソケットと書かれているのとも符合します。

  CPUのSteppingは2となっており,これで出荷されるのか,まだ改版が入るのかは分かりませんが,少なくとも初期のサンプルが台湾のOEMに出ているというのは確からしいと思います。

2.中国が初の国産CPUを搭載したスパコンを開発

  2010年4月21日の人民日報オンライン版が中国が初の国産CPUを使うスパコンの開発に成功したと報じています。

  中国はTop500の5位の天河一号を作っていますが,CPUはIntel,GPUはAMDのRadeonとキーコンポーネントは米国製です。これに対して,今回報道されたKD-60システムは,中国で開発されたGodson(龍芯) 3Aプロセッサを80個使用してピーク性能で1TFlopsと書かれています。中国科学技術大学と深セン大学との共同開発で,大きさは,洗濯機くらいだそうです。

  ということはGodson 3AのCPUチップあたり12.5GFlopsで,Xeonのシングルコア程度の性能ですから,まだ,見劣りがすると言えます。また,設計は中国でも製造は仏伊のSTMicroと思われますので,その点でも 国産?という気もしますが,多くのLSIがTSMCで作られており,Intelでも露光装置はオランダのASMLや日本のNikonを使っており,純国産というのは線引きの問題と思います。

  それはともかく,米国以外での汎用プロセッサの開発としては,ヨーロッパでは英国のARMや,国際宇宙ステーションのコントローラに使われているSPARCチップを供給している スエーデンのAeroflex Gaisler程度で,アジアでは富士通のSPARCと中国のGodson程度しか残っていません(台湾のVIAのチップは米国のCentaurの開発)。差別化はCPUではなく,その上のソフトだという意見も聞かれますが,ITの基盤を作るIntelやMicrosoftの好決算をみると,やはり基盤を押さえることは重要だと思います。また,中国は軍事も技術も,一旦,事があれば米国の 製品が入らない状況を想定して,それでも米国に対抗していけるというレベルを目指して着々と手を打っているという感じがします。

  翻って,我が国では赤字国債を増発して大盤振る舞いする選挙対策のバラマキ政策ばかりで,キリギリス日本は,アリ中国に負けてしまうのではないかと心配です。もちろん,長期的に見れば,人口や国土が桁違いに広い中国にGDPなどの 国家全体の指標で勝てないのは無理からぬ話ですが,この国をどうするのかを考えて下さい,民主党さん。そのためには,参院選で勝って単独で両院で過半数が必要?う〜〜ん,そうなんですかね〜〜?

3.GoogleがAgnilux社を買収

  2010年4月20日のCNETなどがGoogleがAgnilux社を買収すると報じています。

  Appleは,2008年4月に電力効率の高いPowerPCプロセッサを開発していたP.A. Semi社を買収し,そのメンバーがiPadに使われているA4プロセッサを開発したと見られています 。しかし,2010年3月13日のCNETは,PA Semiの創立者でCEOであったDan Dobberphul氏は既にAppleを去りAgniluxに行った報じており,元PA Semiの開発チームのかなりの主要メンバーがAppleを去り,Agnilux社を設立していたと見られています。

  Agnilux社のWebページは既に無くなっておりアクセスできません。また,報道によると,Agniはサンスクリット語で火を意味し,luxはラテン語で光を意味するという程度の情報しかなく,何をやっていたのかは謎です。

  この会社をGoogleが買収した意図としては,Chrome OSとAndoroidを動かすハードウェアの開発というのが一つの推測で,iPadに対抗してgPadなどを作ろうとしているというものです。もう一つの推測は,AgniluxはCISCOと提携して低消費電力のサーバ プロセサを作ろうとしていたと見られており,Googleはこのチームを買収してサーバ向けに低消費電力プロセサを開発するというものです。

  ビジネス的には前者の方が攻めのプランですが,全体では200万台とも言われるGoogleのサーバファームですから,1台のサーバの消費電力を50W減らせれば全体では100MWの電力削減で,年間100億円程度のコスト削減になるので,十分,CPU開発費を賄えます。ということで,守りの プランとしてもMake Senseだと思います。

@737169

 

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