最近の話題 2010年5月1日

1.Sandy Bridgeの詳細情報

  2010年4月28日のPC Watchに後藤さんがSandy Bridgeの詳細な情報をすっぱ抜いた記事を書いておられます。

  それによると,デスクトップとローエンドのサーバ用のシングルソケット用は1155ピンのSocket H2でQPIは無し,QPI 1本の2ソケットローエンドは1356ピンのSocket B2,QPI 2本の製品は2011ピンのSocket R,最上位のQPI 3本の製品のソケットは不明となっています。

  Socket H2版の製品のCPUコア数は最大4個で,コアあたり1.5MBのL3$を搭載します。TDPは95Wと65W。メモリはDDR3 2チャネルでDDR3-1333で各チャネル2枚のUDIMMが接続できます。また,I/OはPCIe Gen2 20レーンでGen3にはならないと書かれています。そしてDMI2 x4とFDIが出ており,これでCougerpointと呼ぶPlatform Controller Hub(PCH)を接続します。

  Socket B2の製品は最大8コアを搭載し,コアあたりのL3$も2.5MBに増強します。そしてメモリのDDR3が1チャネル増え,1.35V電源のDDR3Lに対応します。また,RDIMMやLoad Reduced DIMMにも対応するそうです。速度はDDR3-1600に対応しますが,その場合は1チャネル1DIMMに制限されます。そして,こちらはPCIe Gen3対応です。また,QPIも現在の6.4GT/sから7.2GT/sや8GT/sにスピードアップします。Patsburg PCHとの接続はDMI2 x4で行われます。

  Socket Rではメモリチャネルが更に1チャネル増えて合計4チャネルになります。最大速度は1600ですが,この場合は1DIMM/チャネルです。一方800MHzに制限されますが,3DIMM/チャネルを可能として,メモリ容量の欲しい用途に対応しています。また,PCIe Gen3も40レーンに増加しているそうです。

2.IntelのAtom製品計画

  2010年4月26日のThe RegisterがDigitimesの記事をひいて,IntelのAtomの製品計画を報じています。Intelは今年の1月にDMIインタフェースをサポートするN450とN470を出しましたが,その後継としてDDR3 DRAMをサポートするN455とN475が登場し,さらに新チップセットを使うデュアルコアのN500が6月頃に出ると書かれています。

3.AMDが6コアPhenom U X6をお買い得値段で発表

  2010年4月26日にAMDは6コアのPhenom UX6を発表しました。サーバ用の6コアのInstanbulはかなり前に出ており,それのデスクトップPC向けということで,技術的に目新しいことはないのですが,注目すべきはお値段です。

  3.2GHzクロックのPhenom UX6 1090Tが$295で,Intelのトップエンドのデスクトップ用プロセサが
$999という感じの値付けであるのに対して1/3以下のお値段で,コアあたりにすれば$50を切るというお買い得です。そして,2.8GHzクロックの1050Tは$199です。

  これらのチップは6MBのL3$を内蔵し,3コア動作にするとターボコアでそれぞれ3.6GHzと3.3GHzまでクロックが上げられます。

  2010年4月29日のEETimesの報じるIDCのMPUのシェア調査では,2010年1QのデスクトップPCのプロセサのAMDのシェアは28.0%で0.6%の低下とのことで0.6%増加して71.7%となったIntelに押され気味ですが,この低価格6コアはパンチがありそうな感じがします。但し,利幅は薄い筈で,どの程度損益に貢献するのかはわかりませんが。

4.HPがTukwila Itaniumベースのブレードサーバを発表

  2010年4月27日のThe RegisterがHPの新Itaniumブレードサーバについて報じています。2月20日の話題で紹介したTukwila(製品名はItanium 9300)ですが,初めてHPから製品が出てきました。

  最初の製品はIntegrity BL860C i2,BL870C i2,BL890c i2の3種のブレードで,チップセットはIntelのBoxboroとのことです。インタフェースをQPIに統一しXeon 7500と同じチップセットが使えるようになっています。

  BL860c i2はItanium 9300プロセッサ 2ソケットのフルハイトのブレードで,32枚のDDR3 DIMMを搭載できます。そしてBL870c i2は,このブレードを2枚組にしてQPIで接続した4ソケットシステム,BL890c i2は 4枚組で8ソケットのSMPシステムとなっています。ブレードシャシーとしてはc3000 ,c7000が使用できます。

  最低構成の基本システムのお値段は,BL860c i2が$6,490,BL870c i2が$13,970,BL890c i2が$30,935となっています。

  また,今回はトップエンドのSuperdome 2もブレード構成となり,HPのサイトには8枚のブレードが搭載された写真が載っています。しかし,発売時期は今年の遅い時期とのことで詳細は発表されていません。

5.AppleがIntrinsityの買収を確認

  2010年4月27日のThe RegisterがNY Timesの記事を引いて,AppleがIntrinsityを買収したことを認めたと報じています。

  Intrinsityは昔から,高速のチップを設計する技術を持った会社で,2009年8月1日の話題でSamsungに協力してHummingbirdと呼ぶ1GHzクロックのARM Cortex A8プロセサを開発したことを紹介しています。

  どうも,PA Semiの設計者は,先週の話題でGoogleの買収を紹介したAgniluxに流れてしまい,iPadなどに使用されているA4プロセサはHummingbirdをベースとしてIntricityの技術者が開発したもので,その設計エンジニアを内部に取り込んだということのようです。

6.ブラジルが244TFlopsのCRAY XT6を導入

  2010年4月29日のThe Registerが,ブラジルのInstituto Nacional de Pesquisas Espaciais が244TFlopsのCRAY XT6を導入すると報じています。このシステムは異常気象の予報に使われるとのことです。予算は保守を含めて$20Mとなっています。

  INPEはSX-3,SX-6などを導入した歴史もあり,NECのユーザだったのですが,今回はCRAYになってしまったようです。

7.Sandia研が代替エネルギー研究用スパコンRed Mesaを稼働

  2010年4月27日のHPCWireが,Sandia国立研究所がRed Mesaと呼ぶ180TFlopsのスパコンを稼働したと報じています。このシステムは代替エネルギー関係の研究に使用されるとのことです。

  Oracle(以前のSun)のNehalemブレードを使うこのシステムは,Glacier Doorと呼ぶ冷却バックドアを使い,排気温度は吸気より若干低いとのことで,熱をコンピュータルームに拡散させないで冷却効率を上げています。そして,ノード間の接続は全て光ケーブルを使うInfiniBandとなっています。

  

 

 

 

 

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