最近の話題 2010年5月15日
1.NVIDIAのBill Dally CTOがEckert-Mauchly賞を受賞
ACMとIEEE CSは2010年度のEckert-Mauchly賞を現NVIDIAのCTOであるBill Dally氏に贈ることに決定したと発表しました。Dally先生のMITやStanford時代のインタコネクトネットワークとパラレルコンピューティングに関する貢献が評価されたものです。Eckert-Mauchly賞はコンピュータアーキテクチャ関係では最高の賞で,Dally先生,おめでとうございます。
なお,正式の受賞は6月にフランスで開催されるISCAで行われることになっており,今回はアナウンスだけです。
Stanfordのディレクトリをチェックすると,Dally先生はStanfordの教授の地位はそのままですが,Faculty On Other Payrollsとなっていて暫く休職中の扱いになっているようです。
2.MarvellがARMベースのサーバチップを開発中
2010年5月10日のEETimesがMarvellが40nmプロセスを使うマルチコアのサーバ向けARMプロセッサを開発中と報じています。予定通りにいけば,今年末までに発売になるとのことです。
チップの詳細は明らかにされていませんが,40nmプロセスを使いコアをタイル状に並べ,豊富なI/Oをサポートすると述べており,IntelのSingle Chip Cloudのような感じのチップかも知れません。
x86に比べて性能あたりの電力は1/5以下になるとのことです。
また,少なくとも1社がMicrosoftのWindowsサーバをARMに移植するという作業を行っており,別の会社がARMでのx86仮想化(エミュレーション)に取り組んでいるとのことです。
MarvellはIntelのXScale ARMのビジネスを買い取り,現在はArmadaシリーズのARMコアプロセッサを開発してきており,ARMプロセッサの開発に関しては長い歴史をもっています。
3.AMDはFUSIONプロセサをTSMCで製造か?
2010年5月13日のEETimesが,Digitimesの記事を引いてAMDはFusionプロセサの製造にTSMCを使うと報じています。
AMDのプロセサは従来は自社製造で,Global Foundryとして分離後もGFで製造を行ってきましたが,それをライバルのTSMCで製造するというのはGFにとってはダメージです。
TSMCのバルクプロセスを使うのは,現在使っているSOIに比べて安いことが理由ではないかと見られています。GFもCharteredを買収し,28nm世代からはバルクプロセスを提供する予定ですが,28nm世代まで待てないということでしょうか。
また,AMDのグラフィックス側である旧ATIはTSMCでGPUを作っており,これは現在も継続しているはずで,その点ではGPU側はファウンドリは変わらないことになります。
4.フランスのGENCIがSGIスパコンを増強
2010年5月6日のHPC WireがフランスのGrand Equipement National de Calcul Intensif (GENCI)がクワッドコアXeonを2688チップ使用するSGIのAltix ICEシステムを導入すると報じています。今回の増設分は,ピーク性能は120TFlopsでメモリ量は48TBとなっています。既に設置されているAltix ICEを加えると,全体では267TFlopsになるとのことです。
そしてI/Oの多いアプリケーションをサポートするため250TBのSGIのInfiniteStorage 4600 RAIDが付いており,175K IOPS,21GB/sの転送速度となっています。
5.NECがItaniumサーバを発表
5月1日の話題でHPのTukwila Itaniumベースの製品発表を紹介しましたが,2010年4月27日にNECもNX7700シリーズのItaniumサーバを発表していました。
64ソケットまで拡張できるNX7700i/7320H-256とブレードモデルのNX7700i/7010B-8,-16,-32(それぞれ8コア,16コア,32コア)とエントリーのラックマウントモデルのNX7700i/7010E-8の合計5機種です。ブレードモデルは5月下旬からの出荷で,その他の2機種は10月〜12月となっています。
ブレードモデルはマシンの仕様や写真を見るとHPのものと同じで,共同開発と思われます。