最近の話題 2010年5月29日

1.東工大のTSUBAME2.0はNEC-HP連合が受注

  2010年5月25日に東工大はNEC-HP連合がTSUBAME2.0を受注と発表しました。TSUBAME1.0はNEC-Sunだったのですが,今回はNECのパートナはHPに変わりました。

  システム構成ですが,発表文によると「約 2900 ソケットの最新の Intel Westmere EP + Intel Nehalem EX に内包された約 1 万7 千個の x64 CPU コアによる「スカラ演算」と、約 4200 枚の最新型 Fermi コアを採用する NVIDIA Tesla GPGPU に内包された約 188 万個の演算コア(CUDA Core)による「ベクトル演算」が組み合わさった「ベクトル・スカラ混合型アーキテクチャ」による世界 トップクラスの 2.4 ペタフロップスの高演算性能、および毎秒 0.7 ペタバイトの高メモリバンド幅」となっています。

  CPUはWestmere EPとNehalem EXとなっていますが,合計コア数から見て大部分は6コアのWestmere EPと思われます。クロック周波数は公表されていませんが,仮に2.93GHzのx5670を使用しているとすると,全体で200TFlops程度のピーク性能になります。そしてTesla20が4200枚ですから,1個あたり515GFlopsのピーク性能で,全体では2163TFlopsとなります。両者の合計は約2.4TFlopsで計算は合っています。

  メモリバンド幅はGPU側が約0.6PB/sで,全体が0.7PB/sとするとCPU側は0.1PB/sで,ソケットあたりにすると34GB/sという計算になります。Westmere EPにDDR3-1333が3チャネルだと32GB/sで,元の0.7PB/sの有効数字からみると,十分,辻褄のあう数字です。

  そして,ノード間接続はVoltaire 社の「フ ルバイセクション・マルチレイル・QDR インフィニバンドネットワーク」(バイセクシ ョンバンド幅毎秒 200 テラビット以上) となっています。そして,ストレージは「最新のSSD技術と高密度ハードディスクの混合技術による毎秒0.66テラバイトの世界最速の合算データI/O性能と、DataDirect Networks社の7ペタバイト以上の国内スパ コン最大容量の高信頼階層ストレージ。」 となっています。

  今年の11月1日までには稼働の予定であり,11月のTop500にはデータを登録すると期待されます。ピーク性能でいうと昨年11月のトップのJaguarの2.33PFlopsをわずかに上回るのですが,大部分のピーク性能がFermiなので,ここでどの程度の効率を出せるかが鍵で,Jaguarを上回るスコアを叩き出せるかどうかが見物です。遠藤先生,頑張って下さい。

2.フランスCEAのTera 100スパコンがパワーオン

  2010年5月27日のHPCWireがフランス原子力庁のTera 100スパコンがパワーオンしたと報じています。Tera 100は4200台のBULLのBULLX Sシリーズサーバを接続しており,Xeon 7500(Nehalem EX)で14万コア,ピーク性能1.25PFlopsのシステムです。

  ヨーロッパのPFlopsスパコンとしてはFZJのJUGENEがありますが,これは米国製のBG/Pシステムで,ヨーロッパで開発されたPFlopsスパコンとしては,これが最初です。

  用途は核兵器の管理で,米国のASCと同じような用途のようです。

3.CRAYが次世代スパコンBakerを発表

  5月30日から開催されるISC '10に先立って,Crayが次世代スパコンであるBakerを発表したと201年5月25日のThe Registerが報じています。

  これまでのCrayマシンはXTシリーズだったのですが,今回はXEシリーズとなり,BakerはXE6というのが正式名称です。

  Crayは3年前にAMDのBudhapest CPUの遅延で大打撃をこうむったことから,売り物が無くならないよう慎重にひとつづつ主要コンポーネントを替えるという作戦をとっており,今回の目玉は,従来のSeaStarに代るGeminiインタコネクトです。プロセッサはXT6でG34ソケットを採用しているので,12コアのMagny-Coursの評価が終わり次第,投入されるものと思われます。

  The Registerに掲載された図によると,Geminiは,2本のHT3リンクを持ち,それぞれが2個のG34ソケットのOpteronをサポートします。そしてHT3に繋がるそれぞれのNICはSB NETLINK BLOCKと書かれた箱につながっています。この箱から左に矢印がでており,LO PROCESSORと書かれています。そしてNETLINK BLOCKから8本の線で48-Port YARC-2 Routerにつながっています。そしてYARC-2 Routerから3ペアの双方向のリンクが掛かれています。

  しかし,システム全体では従来のXTマシンと同様の3Dトーラスで,XT6マシンのSeaStar2+モジュールをGeminiモジュールに交換してXE6にアップグレードできるとのことで,YARC-2がどう使われているのか,イメージが掴めません。

  そして,このGeminiの48ポートの合計のバンド幅は168GB/sと書かれています。また,GeminiはSeaStar2+に比べてレーテンシは1/3以下に短縮されているそうです。

4.Intelは科学技術計算用にはLarrabee開発を継続

  2010年5月25日のCNETなどが,IntelのBill Kircos氏のBlogへの書き込みを報じています。それによると,IntelはLarrabeeをディスクリートのGPUとして販売することは,近い将来には行わないが,HPC用には開発を継続すると述べています。

  また,5月30日からハンブルグで開催されるISC '10においてIntelのKirk Skaugen VPが基調講演を行うのですが,その中でLarrabeeの今後の方向性についてもより詳しいこのを述べると書かれています。

5.OracleはOpteronベースのサーバを販売中止か

  2010年5月27日のThe Registerが,Oracleは,SunのOpteronベースのサーバ製品を販売中止すると報じています。

  5月にオーストラリアで開催されたSun顧客を集めたミーティングでOracleのShane Siglerディレクタが,1種類のx86アーキテクチャのプロセッサに集約し,Magny-Coursを含むAMDプロセッサを使用するサーバの新規開発は行わない。また,Oracleは,現在,Opteronベースの製品のEOL(End-Of-Life)を進めていると述べたとのことです。しかし,この発言を伝えたブログの内容は,現在ではずっと弱い表現に変わっており,Opteronベースのサーバを止めるというのは,OracleとしてConfirmした情報とはなっていません。

@748116

 

 

 

  

 

 

inserted by FC2 system