最近の話題 2010年10月9日

1.「京」スパコンの完成前倒しに補正予算100億円要求

  2010年10月6日の日経が,文部科学省は,「京」スパコンの2011年度の製造費285億円のうちの100億円程度を 今年度の補正予算で要求する方針と報じています。先週の話題で紹介したように,富士通は「京」スパコンの出荷を開始しており,お金さえ早く貰えれば,今年度により多くの筐体を納入できるということでしょう か。

  事業仕訳で前倒し費用が削られ,現在の完成予定は2012年6月ですが,今回の補正予算要求が通れば,3か月程度前倒しができるとのことです。

2.HPが東工大のTSUBAME2.0に使用される新サーバを発表

  2010年10月5日のHPCWireが ,HPがSL6500トレイ筐体と,そこに入れる各種トレイサーバを発表したと報じています。SL6500は4Uのラックマウント筐体で,その中に,半 幅で1Uの厚みのトレイ状のサーバを8台収容できます。

  トレイサーバとしては,1UでXeon 5600を2個搭載できるSL170s G6と,2UでXeon 5600を2個と,NVIDIAのM2050,またはM2070を3台搭載できるSL390s G7があります。また,SL390sはオンボードでMellanoxのConnectX2を搭載しており,アドオンボードなしで40GbpsのInfiniBand,あるいは10GbEが使えるようになっています。

   SL390s G7は2.4GHzクロックのXeon 5600 1個に6GBのメモリを搭載する基本構成のトレイが$2,259,3.46GHzクロックのX5677を2個と24GBのメモリを搭載するトレイが$7,279となっていますが,GPUを入れたバージョンの価格は発表されていません。

  東工大のTSUBA2.0はSL390s G7を1432枚使用します。また,TSUBAME2.0ではInfiniBandが2本必要で,もう一方のInfiniBandはPCI expressのアドオンボードでまかなううようです。

3.Sandy Bridgeの製品情報

  2010年10月4日の4gamerが,OEMのベンダーから取材した結果ということで,Sandy Bridgeの製品情報を載せています。日本語なので,そちらを見て戴ければ良いのですが,一応,記録のために書いておきます。

  それによると,通常電圧版のデスクトップ用はCore i7-2600が4コア,8スレッドでクロックは3.4GHz,ターボ状態で3.8GHzとなっています。それにIntel HD Graphics 200という内蔵GPUがついています。GPUのクロックは850MHzですが,ターボで1350MHzまで上げられます。このチップの,TDPは95Wです。

  それから,クロックが3.3GHzと3.1GHzのi5-2500とi5-2400があます。i5の2品種は4コアですがHTをサポートしていません。その下に2コアで3.3GHzクロックのi3-2120と,3.1GHzクロックのi3-2100があります。i5-2400以下はGPUがHD Graphics 100となっています。

  上位のHD Graphics 200は12EUでターボも1350MHzですが,100の方は6EUでターボも1100MHzに制限されています。ハイエンド側のCPUはディスクリートのより強力なGPUを付けることが多いので,ここにHD Graphics 200を付けるのはどうかという気もします。

  低電圧のデスクトップ版は2.8GHzクロックのi7-2600Sを筆頭に,i5が4種,i3が1種となっています。i7-2600Sはクロックは通常電圧版より0.6GHz低いのですが,ターボ状態では同じ3.8GHzまで上がります。そしてTDPは65Wです。しかしGraphicsは100となっており,あちこちで細かい差があります。

  ノート版はi7が4種でi5がi5が2種で,i3がありません。ナンバー的にはハイエンド側の品種が多いのが特徴です。最上位のi7-2920XMは4コア,8スレッドでクロックは2.5GHz(ターボ3.5GHz)でGPUクロックは650MHzに下がっています。そしてTDPは55Wです。i7-2850QMとi7-2750QMは4コア8スレッドでクロックは2.3GHzと2.2GHzでTDPは45W,2コア,4スレッドのi7-2620QM,i5-2540M,i5-2520Mは,TDPは35Wで,クロックはそれぞれ2.7GHz,2.6GHz,2.5GHzとなっています。

  ノート用は電圧をかけて電気を喰わせれば速く動くチップなので,ターボの伸びが大きく,i7-2720QMは定格が2.2GHzに対してターボでは50%増の3.3GHzとなります。しかし,ここまで増速するには,どれくらいの電圧をかけているのでしょうね。

  そして,サーバ/ワークステーション向けのXeonはE3-1280以下11品種で,E3-1280はクロック3.5GHzで4コア,8スレッド,GPU無でTDP 95Wとなっています。その次のE3-1275はクロックは3.4GHzになりますが,HD Graphics cs 200というGPUを搭載しています。というように5種がGPU搭載,残りの6種はGPU無というラインナップです。サーバ用は95W,80Wが中心ですが,4コア,2.4GHzクロックで45WのE3-1260L,2コア,2.2GHzクロックで20WのE3-1220Lという省電力品種があります。

  2010年10月6日のSemiAccurateによると,サーバ用はE3,E5,E7があり,その後の最初の数字は何ソケットまで対応するかを表すとのことです。そして,その次の数字がソケットを表します。4gamerのリストにあるサーバプロセッサは全てE3-12で始まっており,E3シリーズの1ソケット用で,ソケット2はLGA-1155であるという意味だそうです。

 

  

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