最近の話題 2010年11月6日
1.IntelがAchronix社のFPGAを受託製造
2010年11月1日のSemiAccurateがIntelがAchronix社のFPGAを受託製造する契約を結んだと報じています。
Achronix社はIntelの22nmプロセスを使ってSpeedStar 22iと呼ぶ1.5GHzで動作する高速の品種と0.75GHzで動作する高密度の品種を製造するとのことです。このFPGAには19.9-28Gbps,1-12.5GbpsのSERDES,10,40,100GbitのEthernet MAC,PCI expressの1,2,3,DDR2/3などがサポートされるそうです。
業界で他社を1.5世代リードしているIntelのプロセスを使えれば,Achronixとしてはライバルに先行する製品が作れ,多少,高いお値段を払ってもビジネス的に意義があることは明らかですが,Intelのメリットはあまりクリアーではありません。
IntelのBill Kircos氏のBlogポストでは,売上は僅かでIntel全体の1%よりずっと少ないとのことで,大きなビジネスではありません。
将来的にSamsungのように受託Fabを拡大するという可能性も否定できませんが,CPUのような高いマージンが取れるというビジネスではないと思います。
私の推測ですが,IntelはFPGAをCPUなどのチップに組み込むことを考えているのではないでしょうか?そのためにプロセスをFPGAにも使えるようにチューニングし,Fab提供のバーターでAchronixのFPGA技術の使用権を得ているというのは,あり得ないことではないと思います。IntelはAtomベースの組み込み 用途に力を入れており,この分野では,少し,プログラマブルな要素が入っていて製品をカストマイズできるというのは魅力的だと思います。
2.GPGPUを買うかBlue Geneを買うか?
2010年11月4日のHPCWireが「GPGPUを買うかBlue Geneを買うか?」と題する記事を掲載していまうす。中身はSC10で11月15日に発表される予定のWarwick大の論文がベースです。
この論文はNAS-LUというNASAの並列ベンチマーク(NPB)をGPUに移植して,その性能をBlue GeneやNehalem,Opteronと言った汎用CPUと比較しています。なお,NAS-LSはナビエストークスの方程式を解く空力のプログラムです。
NPBは問題規模が何レベルが定義されており,Warwick大のチームはAからCレベルまでは実測し,その結果をもとに解析的な性能モデルを作って,大規模はD,Eレベルの問題を解くのに必要な時間を予測しています。
最後のEレベルの結果で言うと,256台のC2050 GPUを使ったシステムが230秒程度,8192コアのBlue Gene/Pシステムは210秒程度で,ほぼ似通った性能になっています。BG/Pは4コアチップですから,チップ数でいうとFermi 256個とBG/P 2048個で,BG/Pは約8倍のチップ数を必要とします。しかし,この規模のBG/Pは33kW程度の消費電力であるのに対して,GPUシステムは約60kWを消費します。
しかし,GPUシステムはスケーラビリティーは悪く,C2050を16倍の4096台使っても16KコアのBG/Pに負けます。
また,論文も記事もお値段には触れていませんが,C2050 256台と8KコアのBG/Pだと,GPUの方がかなり安そうです。
@801043