最近の話題 2010年11月13日

1.Marvellの4コアARMチップはサーバ向け

 2010年11月8日のEETimesがARM Technology Conferenceにおいて,Marvellが開発中のArmada XPチップのターゲットはサーバと発表したと報じています。

 省電力という点からサーバにARMチップを使うというトライアルはなされてきており,6月19日の話題で紹介したSeamicro社のように多数のARMコアを使うサーバを発表した会社も出てきていますが,これまでMarvellやQualcomなどが開発してきたARMベースのチップは携帯機器用でサーバをメインターゲットにしたものではありませんでした。

 それが1.6GHzクロックのARM A9コアを4個集積するArmada XPと呼ぶチップはサーバが主要ターゲットで,2MBのL2$を搭載し,800MHzのDDR2/3メモリコントローラを内蔵,さらに16チャネルのSerDesを内蔵し,これらは,USB,PCIe2.0,SATAなどに使えると書かれています。

 Marvellは既にArmada XPのサンプル出荷を始めているそうです。

2.AppleはXserveサーバを発売中止

  2010年11月8日のThe RegisterなどがAppleがXserveサーバの発売を中止したと報じています。

 Appleがサーバを作っていることさえあまり知られていませんが,Xserveは,かってバージニア工科大がクラスタを自分で作ってTop500の7位になったこともありました。

 しかし,iPhoneやiPadの好調とは違って,あまり売れなかったらしく,今回,2011年1月31日が注文のデッドラインと発売中止を宣言しました。保証期間などの契約は遵守し,増設のディスクモジュールは2011年末まで発売を継続するとのことです。

 Appleはサーバに関しては短期で発売中止した前科があり,2002年にPowerPCベースのXserveを発売開始したときには,今回はそんなことはないと述べていたのですが,やはりダメでした。

 大学ではMac OS X on Xserveで動かしているサービスを学内に提供しているところもあり,Xserveが無くなるのは困る,それなら普通のIntelサーバでMac OS Xを動かしてくれという声も出ているようです。

3.AMDがサーバプロセサロードマップを発表

  2010年11月9日のThe RegisterがAMDのAnalyst Dayでのロードマップの発表を報じています。それによると,2〜4ソケット用の6000シリーズは2011年には8/12/16個のBulldozerコアのInterlagosが出て,1〜2コアの4000シリーズは2011年には6/8個のBulldozerコアのValenciaが出ることになっています。これらは6.4GT/sのHT-3とDDR3をサポートし,InterlagosはHT-3とDDR3を各4チャネル,Valenciaは各2チャネル装備しています。これらのチップはGlobal Foundriesの32nmプロセスを使用します。

  また,これらのチップは現在の6100と同じG34,4100と同じC32ソケットを使用しするので,同じマザーボードに挿すことができます。

  そして,2012年には32nmプロセスを使用し,次世代Bulldozerコアを使用するプロセサを出します。2〜4ソケット用のTerramarは最大20コアを搭載,1〜2ソケット用のSepangは最大10コアです。また,エンスージアスト向けのハイエンドデスクトップには最大10コアのKomodoを出すことになっています。

4.AMDがFusionチップを発表

 2010年11月9日のCNETがAMDの最初のFusionチップの発売を報じています。従来,Ontarioのコードネームで開発されていたチップは,消費電力9Wでクロックが1.0GHzのデュアルコアのC-50と1コアで1.2GHzクロックのC-30の2品種です。どちらもRadeon HD6250 GPUを内蔵しています。

 そしてZacateは消費電力18Wで,1.6GHz,デュアルコアのE-350と1.5GHz,シングルコアのE-240で,内蔵GPUはRadeon HD 6310となっています。

 11月9日のAnalyst Dayにおいて,このOntarioは出荷を開始したと発表されました。

 OntarioはAtomに比べるとクロックは低いのですが,O-o-Oなので,まあ,性能的には近いところまで行くと思われます。消費電力はAtomベースのシステムより大きいのですが,GPUはDX11サポートで,Atomのシステムの組み込みグラフィックスよりも大幅に強力です。

 なお,2010年11月10日のPCWatchの後藤さんの記事によると,TSMCの40nmプロセスで作られるBobcatコアは45nmプロセスのK10コアの半分程度の面積で,Atomコアより小さいとのことです。

 そして,2012年には28nmプロセスを使う2コアのKrishnaと4コアのWichitaを出す予定です。これには1W以下の消費電力の次世代Bobcatコアを使用し,当然,GPUはDX11サポートです。2011年のOntarioはタブレット用には少し電力が大きく,このKrishnaとWichitaがAMDの初のタブレット向け製品となります。

 また,2012年には次世代Bulldozerコア10コアとDX11 GPUを組み合わせたデスクトップやハイエンドノート用のTrinityが出ることになっています。

5.フランスCAEのTerra 100が1.05PFlopsを達成

 2010年11月9日のHPCWireが,フランスCAEのTera 100システムがLinpack 1.05PFlopsを達成し,ヨーロッパで初の1PFlops超のシステムとなったと報じています。

 Tera 100はBull社のSシリーズを4370台接続したシステムです。計算エンジンは17480個のXeon 7500で,GPUは使っていません。ピークFlopsは1.25PFlopsとなっていますから,ピーク比は84.8%です。そして,メインメモリは300TBで20PBのディスクを接続しています。

 

 

  

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