最近の話題 2010年11月27日

1.SC10でIBMがBlue Gene/Qを展示

 11月16日から開催されたSC10で,IBMは20PFlopsのSequoiaシステムの構成要素であるBlue Gene/Qノードを展示しました。2011年11月22日のThe Registerが写真付の記事を載せています。

 また,先週の話題で紹介したように,BG/Qは1/2筐体のシステムがTop500では115位,Green500ではトップになりました。

 プロセサチップは18コアで,16コアが計算ノード,1コアがLinuxを動かす制御ノードで,残りの1コアはスペアだそうです。また,5次元(+/-)ともう1本の合計11本のインタコネクトポートを持ち,1本はI/Oドロワーとの接続で,5次元は,2枚のボードのペアに1次元,そして,16×16×16のトーラスの構成に3次元で,これで8Kチップで,この8Kチップの塊を残りの1次元で繋ぐような説明でしたが,あまり,良く理解していません。リンクスピードは片側2GB/sと言ってました。そして,筐体内のリンクは電気で,筐体間のリンクは光です。

 クロックは1.6GHzで,各コアは8Flop/Cycleで,16コアですから,チップのピーク性能は204.8GFlopsで,1/2筐体では512チップですから104.86TFlopsとなります。従来のBG/L,BG/Pはピーク比で80%を超えるLINPACK値を出していたのですが,今回は65.35TFlopsと62.3%に留まっています。これほど下がる理由も考えられないので,時間が無くて十分チューニングが出来なかったのではないかと思います。

 そして,ボードにはプロセサチップ1個とDDR3 DRAMチップが直接はんだ付けされています。DRAMはボードの表裏を合わせると72チップ搭載できます。そしてプロセサ側は空色の熱伝導ペーストを介してアルミの削りだしの放熱板がつき,この放熱板を水冷したレールにクランプするという構造で放熱しています。

 コンピュートドロアーにはこのボードが32枚収容できます。そして,筐体の上側はミッドプレーンを挟んで表裏8個のドロアーが搭載され,下側にも同様に合計16個のドロアーが搭載されます。

 Blue WatersのPOWER7ノードほど消費電力が多くないので,多少,簡単な実装という感じですが,それでも非常に密度が高くて綺麗で,IBMの実装には感心させられます。富士通も京コンピュータのノードボードと筐体を展示していたのですが,実装技術の点では,かなり,見劣りがします。

2.Green500???

 本来,Green500はTop500にランクされたシステムのLINPACK値/消費電力をランクするのですが,どうも一致していません。まあ,Green500にサブミットした消費電力値がTop500のものとは違うというケースもあるので,完全に一致しないといけないという訳でもないのですが。

 Top500リストを.xlsでダウンロードして,自分でRmax/POWERを計算してソートしてやると,第1位は変わらずBG/Qですが,2位は1176.4MFlops/Wで,GRAPE-DRの81ノードシステムとなります。そして3位は938.1MFlops/WでXeonとC2050 GPUで作ったNCSAのクラスタです。

 そして4位にGRAPE-DRの100ノードシステム,5位にTSUBAME2.0,6位に京コンピュータと続くことになります。

3.IntelがFPGA付のAtomを発売

  2010年11月22日のEE Timesが,IntelのFPGA付のAtomの発売を報じています。Stellartonのコードネームで開発されていたこの製品は,E600Cシリーズという名称で6種のチップが発売され,E665CT,E645CT,E665C,E645Cの4種は60日以内,残りのE625CTとE625Cは来年1Qの出荷と書かれています。

  ハイエンドの製品は1.3GHzクロックのAtomと400MHzのグラフィックスブロックを持ち,消費電力3.6Wで,お値段は$106。ローエンドの製品は,それぞれクロックが600MHzと320MHzとなり,消費電力2.7Wで,お値段は$61だそうです。

  37.5mm角のパッケージに,このAtomプロセサとAltera社の60,000+論理要素のFPGAが入っています。FPGAは350ピン以上あり,3.125Gbpsのトランシーバも入っています。

  組み込み用ですから,7年間の供給保証で,温度範囲も−40〜+85℃という製品もあります。

  11月6日の話題で紹介したAchronicsのFPGAも,これを一歩進めた形で利用することを考えているのでしょうね。

4.AMDのデスクトッププロセサロードマップ

  2010年11月18日のVortezがリークされたAMDのデスクトッププロセサのロードマップを報じています。

  それによると,Zambeziは8コア,8MB L3$で125Wと95Wの製品が,2011年2Qの中頃。6コア,8MB L3$,4コア4MB L3$の製品が1か月遅れ程度で出ることになっています。

 そして,GPUを集積したAPUのLlanoは以前の予定から遅れ,2011年2Qの終わりからの出荷になっています。4コアでBeavercreek GPUを集積し,100Wの製品,同じく3コアで100Wの製品,2コアでWinterpark GPUを集積し,65Wの製品が出ることになっています。

 しかし,11月23日のSemiAccurateは,歩留まり問題で遅延していたLlanoは,問題が解決してスケジュールが回復しており,場合によってはQ2の早い時期にも出荷される可能性があると書いています。

 また,デュアルコアでLoveland GPUを集積するE350,シングるコアでLoveland GPUを集積するE240という製品は今年12月に出る予定となっています。E350,E240は18Wとなっており,Desktop APUというスライドに入っていますが,ノート向けに近いと思われます。

@808345

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