最近の話題 2010年12月11日

.ローエンドMacBookはIntelの内蔵グラフィックを採用

 2010年12月9日のCNETが,Sandy Bridgeチップを使う13インチスクリーン以下のローエンドMacBookはSandy Bridgeの内蔵グラフィックを使い,ディスクリートのGPUは搭載しないと報じています。なお,Sandy Bridgeは来年1月5日から開催されるCESに合わせて発表されると見られています。

 従来はCPUとしてCore 2 Duoを使い,NVIDIAのグラフィックス内蔵のチップセットを使っていたのですが,12月7日のPCWatchに後藤さんが書いているようにSandy Bridgeの内蔵グラフィックは大幅に改善されているので,これで十分ということなのでしょう。その方が,コストも安いし,電力も節約でき,重量も軽減できます。

 従来は,Intelのチップセットの替りにNVIDIAのチップセットを使うとGPUも入っているという感じだったのですが,Nehalem世代からは,ライセンス問題でNVIDIAはDMIが使えないので,このようなチップセットが作れなくなっています。

 ハイエンドのMacBook Proはディスクリートグラフィックを使うと見られていますが,こちらもAMD製と観測されており,NVIDIAのチップがAppleのPC製品に使われるかどうかは微妙という状況だそうです。

2.IntelのLight Peakは光を使わない?

 2010年12月9日のCNETが,業界筋の情報として,来年前半に実用化されるIntelのLight Peakは光ファイバではなく,銅線を使うと報じています。

 これまでのIDFなどでの情報は,Light Peakは10Gbpsの光ファイバ接続で,PCからのI/Oの接続を1本で賄うと説明されてきたのですが,この報道が本当なら,少なくとも最初は,光ファイバ化をあきらめて電気伝送に切り替えたようです。

 しかし,伝送速度は10Gbpsの双方向同時転送で,性能は光ファイバで計画されていたものと変わらないとのことです。やはり,10Gbpsで近距離なら,銅線の方が安上がりということでしょうか?

3.スタートアップのNuPGAがモノリシック3Dプロセスを発表

 2010年12月9日のEE Timesが,NuPGA社のモノリシックの3Dプロセスの発表について報じています。

 普通の3D実装は,複数のチップをTSVなどで接合して作るのですが,NuPGA社の方式は,下層のチップは普通のチップと同様に配線まで作って置き,それにもう1層のシリコンチップを接合して2層のチップを作るというものです。

 上層にチップは,別のウエファに,まず,トランジスタを作り,その後,水素をトランジスタより少し下に入るようにイオン打ち込みして,水素の入ったところから劈開します。これはSOIウエファを作るスマートカットと同じ方法です。そうすると非常に薄いトランジスタチップができます。当然,これはハンドリングには薄すぎるので,上側のガラス板にくっつけて扱います。そして,このトランジスタチップの裏側を低温酸化してから,下層のチップにくっつけます。これは原子間引力でくっつきます。

 その後,IntelのHigh-K Metal Gateプロセスと同様に,ダミーゲートを除去して本当のゲートで置き換え,更に薄いシリコン層を貫通するビアや配線を作ります。

 ポイントは,高温の処理を必要とする拡散のアニールなどは別ウエファの状態で済ませて置き,ウエファを接合してからのプロセスが400℃以下で済むので,下層チップのトランジスタや配線にダメージを与えないというところです。

 筆者はプロセスの専門家ではないので確かなことは言えませんが,まあ,出来そうなプロセスフローです。上層のトランジスタチップの厚みは1ミクロン以下にもできると思うので,通常の配線層の絶縁膜のビアと変わらない密度でビアが形成できるというメリットはありますが,総合的にみて,TSVを使う普通の3D実装と比べて,どの程度メリットがあるのでしょうかね。

4.SGIのPUE 1.06のコンテナデータセンター

 2010年12月8日のThe RegisterがICE Cube Airと呼ぶSGIの3世代目のコンテナデータセンターの記事を掲載しています。

 長さが8フィートと短いコンテナではコンテナの中腹にドアを付け,4本のラックを左右に配置する構造です。ラックは通常の40Uのものより背が高く,51Uとなっています。このコンテナの入力電力は148kWで,各ラックの電力は最大35kWとなっています。

 また,20フィートのコンテナで10ラックを収容する中型モデルと,20フィートコンテナ2台を単位とする大型モデルもあり,いずれも,最大,4つの基本単位を連結して運用することができます。

 ICE Cube Airは非常に効率の高いファンと3段の蒸発冷却システムを備えており,PUE=1.06という非常に高い効率となっています。また,チラーに接続することも可能だそうです。

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