最近の話題 2011年1月22日

.Samsungが20nmプロセスを発表

  2011年1月18日のEETimesがSamsungの20nmプロセスの発表を報じています。この20nmプロセスはロジック向けでファウンドリ-ビジネスにも使用するとのことです。バルクプロセスで12層の銅配線,超Low-K層間絶縁膜,歪み技術とHigh-Kメタルゲートとなっています。

  Samsungは32nm,28nm世代ではGate Firstのプロセスを使っているのですが,この20nmプロセスはIntelと同じGate Lastになるとのことです。露光はArF液浸で,Source Mask Optimizationや二重露光で対応するそうです。2012年の2Hにリスク量産,本格量産は2013年1Qからとなっていますが,まだ,EUVの適用は無理という判断でしょうか。

2.IntelがイスラエルのFabに$2.7Bをかけて22nm対応にアップグレード

  2011年1月18日のThe Inquirerが,Intelga$2.7Bを掛けてイスラエルのKiryat Gatファブを22nmに対応させると報じています。その結果,Kiryat Gatはイスラエルで2番目の22nm対応ファブになるそうです。

  Intel Israelの責任者のFassberg氏は,労働者を雇い始めており,今年12月の操業開始の予定と述べています。これは先週の話題で紹介した今年後半には22nmのIvy Bridgeの量産開始というOtelline社長の発言と一致します。

3.Tileraが$45Mを調達

  2011年1月18日のCNETなどが,タイルプロセサを開発,販売しているTilera社 が$45Mのファンディングを受けた報じています。投資したのはArtis Capital Managementを中心とする投資団ですが,CISCOやSamsungの投資会社も参加しています。

  Tileraのプロセサを使って台湾の大手のQuantaがSQ2というサーバを販売しており,SGIも同社のブレードサーバにTileraのボードを組み込むという製品を発表しています。浮動小数点アクセラレータにはなりませんが同社のTileGX 64は64コアで,整数系の問題に関しては強力なアクセラレータになるようです。

  同社は,ビジネスが立ち上がってきており,投資を集めるのは,今回が最後になると予想しています。

4.Azulの 高速JavaプラットフォームZing

  2007年9月29日の話題で紹介したように,Javaアクセラレータを開発販売していたAzul社は,ハード設計部隊を解雇し,その後,会社を畳んだのかと思っていたのですが,読者のY氏から,x86サーバでJavaの実行を高速化するZingという製品を出しているということを教えて戴きました。

 そして,Y氏はCESに参加するので,その帰りにAzul社に寄って話を聞いてくるとのことで,事前にメールで質問事項などを打ち合わせて,聞いてきて戴きました。  

  Azulは2006年12月9日の話題で紹介したように,Vega 2というプロセサ自社開発し,それを使うJavaアクセラレータを開発販売していました。Vega 2は48スレッドを並列に実行する超マルチスレッドプロセサで,Javaの実行速度を改善していたのですが,もう一つ,メモリ管理機構を使ってガーベッジコレクションを高速化することで実行性能を上げていたのだそうです。

  プロセサの自社開発を止めたので超マルチスレッドは出来ないのですが,このメモリ管理機構を使ってガーベッジコレクションの性能を上げるという技術をx86プロセサで実現するZingと呼ぶJavaのランタイム製品を開発,販売する会社として活動を続けているとのことです。

  Y氏が聞いてこられた情報を私なりに解釈すると,ZingのJVMはページテーブルを操作して,不要になったオブジェクトに割り当てられていたページをInvalidにして物理メモリを回収したり,ガーベッジコレクションで移動したページにあるオブジェクトのアクセスを検出して参照元のアドレスを付け替えるなどの方法で,ソフトウェアオンリーのガーベッジコレクションに比べて大幅に性能が高いとのことです。

  これは原理的に理解できるのですが,ページテーブルの操作をアプリに解放してしまうとセキュリティーが問題になるので,ZingとそのJavaアプリは一つの仮想マシンで動かし,アプリ間の分離はVMMの分離に頼っているようです。従って,x86でもEPTやNPTをサポートしているプロセサでないと使えません。

  ガーベッジコレクションにメモリ管理機構を使うというのは良い考えと思いますが,仮想SMPなども同じようなことをやって居る筈で,Zingの技術が特許などで防衛できるのでしょうかね。

 

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