最近の話題 2011年4月30日

1.中国のスパコン開発

  2011年4月26日のHPCWireがIDC HPC User Forumでの中国の科学院のLiang Yuan氏の講演について報じています。

  現在の中国のTop500首位や3位のシステムはIntel CPUとNVIDIA GPUであるが,中国製のGodson 3Bプロセサをスパコンに使うことに注力しているとのことです。これに関しては,今年のISSCCでのWeiwu Hu教授の講演で,Dawningの300TFlopsマシンに使われることが明らかになっています。

  そして,現在の天河1Aは2.5PFlopsですが,2012年から2013年には10PFlops,その2年後には100PFlopsを開発するという目標について言及したとのことです。

2.中国のモバイルプロセサ龍芯2Hが近々テープアウト

  2011年4月28日のSemiAccurateが,中国のLoonsun(龍芯,あるいはGodson)2Hプロセサが数週間以内にテープアウトされる予定と報じています。

  Longson 2Hは2Gと同じコアのMIPS64アーキテクチャの4way SuperscalarのOut-of-Orderプロセサで,64KB+64KBの1次キャッシュと512KBの2次キャッシュを持ち,1GHzクロックの動作時の消費電力は4Wとなっています。

  そして,Vivante社の設計のGPUとメモリインタフェースを内蔵しており,ARMベースのタブレット用プロセサと対抗するものと考えられます。

3.LGがARMライセンスを取得

  2011年4月26日のSemiAccurateが,韓国のLG ElectronicsがARMのCortex A9とA15のライセンスを取得し,独自のコアを開発すると報じています。

  LGは携帯などのプロセサはTIのOMAPを使ってきているのですが,OMAPはLGのライバルのSamsung製で,これに依存したくないということのようです。ただし,LGはファブを持っていないので,台湾のTSMCかUMCで製造することになるとみられています。

  SamsungはAppleのA4,A5プロセサを製造しているのですが,同時にスマートフォンやタブレットも製造しており,Appleと特許侵害で訴訟合戦を繰り広げています。最終製品が市場で競合すると,半導体部門としてはやりにくいところです。

4.AMDのZacateの電源制御(訂正)

  先週の話題で,LlanoとBulldozerはNMOSのスイッチを集中配置し,BobcatはPMOSスイッチを分散配置している。Cool Chipsで講演したFoley氏にBobcatがPMOSにした理由を質問したら,「知らない」という答えであったと書きました。これは事実で,私は,各プロセサの設計チームが独立に判断しているのではないかという印象を持ったのですが,それは間違いでした。

  発表スライドをよく見たら,SOIプロセスのプロセサではVSS側にスイッチを入れているのに対して,ZacateではPFETを使っているという表現がありました。つまり,Zacateは40nmのバルクプロセスで製造されるので,PMOSのスイッチにしたということのようです。バルクプロセスの場合,PMOSは大きなトランジスタが必要になるけれど,GIDLリーク電流が少ないので,PMOSにしたのではないかと思われます。

  なお,IntelのSandy Bridgeも,バルクプロセスでPMOSスイッチという構成です。

  しかし,Llanoは従来のコアの設計を流用しているので,電源スイッチは周囲にリング状に配置する必要があったが,Zacateは完全な新設計なので,分散配置したという説明は分かりますが,同じく新設計であるBulldozerコアはVSS Footerというまとまった領域があり,この部分に電源スイッチが集中配置されているようです。この理由は良くわかりません。

@859937

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