最近の話題 2011年11月26日

1.Intel 4004生誕40年を祝う

  ちょっと遅ればせの紹介ですが,2011年11月15日にIntelは,最初のワンチップマイクロプロセサである4004の生誕40年を祝いました。

  4004は当初,日本のビジコム社が電卓用のLSIの製造を依頼したのですが,Intel側の担当のHoffは,電卓専用のビジコムの設計よりプロセサ的な作り方を提案し,最終的にこちらが採用されました。当初はビジコム用のカスタム製品であったのですが,ビジコムが値下げを申し入れたときに,Intel側は競合しないメーカーには外販しても良いという権利をバーターで手に入れ,4004として売り出したのが1971年11月で,それから40年にあたるというわけです。

  4004のトランジスタ数は約2300ですが,最近では数Bトランジスタのプロセサが作られており,トランジスタ数はこの40年で100万倍に増えています。

  また,4004のクロックは740KHzで8サイクルに1命令の実行であったのに対して,現在の8コアで3GHzクロックのプロセサは仮に1命令/サイクルとしても26万倍速くなっています。そして,4004は4ビット単位の処理であったのに,現在のプロセサは64ビット単位で一回に16倍のビット数を処理できます。これを単純に掛けると,おおよそ400万倍の処理能力を持っていることになります。この40年の成長は著しいですね。

2.Intelが低電力サーバチップ出荷開始

  2011年11月24日のEE Timesが,IntelがSandy BridgeベースのTDP 15Wのサーバチップの出荷を開始したと報じています。

  32nmプロセスで製造され,正式名称はPentium 350で2コアと3MBのキャッシュを集積しています。低電力なので,コアのクロックは1.2GHzと低速で,ターボブーストはありません。メモリは2チャネルでDDR3の1066と1333をサポートしています。そしてサーバ用ですからメモリはECCをサポートしています。

  各コアは2スレッドのHyperThreadingをサポートし,VTもついていますが,Tursted Executionはサポートしていません。

3.AMDがBulldozerベースの8,16コアチップを発表

  2011年11月14日のThe Inquirerが,AMDのOpteron 4200(Valencia)と6200(Interlagos)シリーズCPUの発表を報じています。コアはbulldozerで,各コアに1MBのL2$を内蔵しています。4200は1チップで構成され,6200は2チップをパッケージ内で繋いで16コアとなっています。2チップなので,6200はメモリチャネルが4chで,HyperTransportが4本でています。一方,4200はメモリが2chでHyperTransportは3本です。そして,L3$も6200は16MB,4200は8MBとなっています。

  最上位の6282SEは16コアで,クロックが2.6GHz,消費電力が140Wです。そして,クロックを下げると電力は115Wになり,低電力用途では クロック1.6GHzで85Wという6262HEがあります。

  クロックだけで言うと6220は3.3GHzですが,この製品は4コアしかありません。シングルスレッド性能とメモリバンド幅は重要だけど,スレッドの数はあまり必要としないという用途むきです。

  4200シリーズは最上位の4282がクロック3.3GHzで,これは8コアです。そしてTDPは95Wなので,6220と比べてコア数は2倍,電力も20W低いということになります。そして,低電力側では2.5GHzクロックで65Wの4274HE,1.6GHzで35Wの4256EEがあります。

  製品によって異なりますが,ターボコアで0.6〜1.0GHz程度のクロックアップが可能です。

  メモリはDDR3-1600をサポートしています。

  Bulldozerは,Intelには無い新命令としてFMA4とXOPをサポートしていますが,2011年11月4日のThe Inquirerは,GCCはこの2つの命令をサポートすると報じています。

4.AMDの28nm APUの製造はTSMCか?

  2011年11月23日のEE Timesが,AMDがGlobal Foundriesでの28nm世代のAPU Brazosの製造をキャンセルし,TSMCに切り替える報じています。これが事実とするとGlobal Foundry に取っては大きな痛手です。

  AMDは32nmプロセスの製品群についてはGlobal Foundriesを使うと表明していますが,28nmについては態度を表明しておらず,Global Foundriesでの28nmプロセスの立ち上げがうまく行っていない(値段が下がらないとほぼ同義語)という可能性があります。

5.富士通が東大情報基盤センターから1.13PFlopsのFX10スパコンを受注

  2011年11月14日に富士通は,東大の情報基盤センターから1.13PFlopsのFX10スパコンシステムを受注したと発表しました。このシステムは2012年4月から稼働とのことです。

  東大の発表によると,このシステムはFX10 50筐体で,4800計算ノード,ピーク1.13PFlopsのシステムで,これにETERNUS DX80 S2 150台からなる合計1.1PBのローカルファイルとETERNUS DX410 S2 80台からなる2.1PBのグローバルファイルが付きます。ローカルファイルはPRIMERGY RX300 S6 2台をMDSとして使用し,グローバルファイルはPRIMERGY RX300 S6 8台をMDS,ETERNUS DX80 S2 4台をMDT,PRIMERGY RX300 S60 4台をOSSとして使用しています。

  また,PRIMERGY RX200 S6 8台からなるログインノード群と16台からなる管理サーバ群と,外部に接続するルータが付いています。

  日立が納入した東大情報基盤センターの140TFlopsのT2Kシステムは2008年6月の稼働開始で,それから4年弱での新システム導入です。東大のセンターは1965年のHITAC 5020の昔から日立の牙城で,今回,メインのシステムを受注したということは,富士通にとっては大勝利です。「京」との互換性が評価されたと考えられ,NEC-日立連合が撤退した「京」の開発を続行した成果と言えます。

  これで富士通はFX10のスパコンを1システム受注し,販売目標まで残り49システムとなりました。

@935917

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