最近の話題 2011年12月3日

1.SamsungがデュアルCortex-A15チップのサンプル出荷を開始

  2011年12月1日のEE Timesが,SamsungがCortex-A15デュアルコアのタブレット用プロセサExynos 5250のサンプル出荷を開始したと報じています。Cortex-A15を実装したチップの出荷としては世界初です。

    プロセスは32nmのHigh-K Metal gateで,クロックは2GHzだそうです。Dhrystone性能は14BIPSで,現状の1.5GHzクロックのデュアルコアCortex-A9と比べて2倍の性能とのことです。

  Exynos 5250は2560×1600のWQXGAディスプレイに対応しており,そのため,メモリバンド幅は12.8GB/sになっています。そして,ディスプレイの消費電力を抑えるため,静止画の時はパネルがリフレッシュを行うPSRに対応しています。

2.京大がCrayのXE6を導入

  2011年11月29日にCRAYは,京都大学の次期スパコンの納入業者に選定されたと発表しました。2012年の前半に300TFlopsのCray XE6を納入し。そして,2014年には400TFlopsのCascadeを追加するとのことです。 東工大や筑波大には米国のメーカーのスパコンが入っていますが,旧七帝大の大学センターに海外のメーカーのマシンが入るのは初めてです。

  先週の話題で, 日立の牙城であった東大のセンターのスパコンを富士通が取ったという話題を紹介しましたが,京大のセンターはこれまで富士通の牙城で,これがCRAYに取られたのは富士通にとって大きな痛手です。 旧七帝大の大学センターのメーカーロックインも崩れてきたということでしょうか。

3.IBMがMicronのHMCを製造

  2011年12月1日にIBMとMicronは,IBMがMicronのHybrid Memory Cubeを製造すると発表しました。製造プロセスは32nmのHigh-K Metal gateで,IBMのEast Fishkill工場で製造されます。

  プロセサの性能向上にDRAMのメモリバンド幅の伸びが追いつかず,性能の制約となっていますが,それを解決する有力な提案がMicronのHybrid Memory Cubeです。DRAMチップのバンド幅が足りないのは,主にピンの制約で,チップ内には多数のサブアレイがあるので,これらを並列に読み出しに使えば,バンド幅は10倍以上にできます。

  ということで,プロセサチップとの接続を行うロジックチップの上に4枚とか8枚のDRAMチップを載せ,各DRAMチップから多数の信号線を出してロジックチップと接続するというのがHybrid Memory Cubeの基本的な考え方です。このロジックチップとDRAMチップの接続は,本数が多いので,TSV(Through Silicon Via)が必須です。TSVでシリコン基板を貫通してコントローラチップに接続するので,DRAMからの信号伝送距離が短く,消費電力も小さくなります。

  このため,ExaFlopsのスパコンでは,NVIDIA陣営もIntel陣営もメモリテクノロジとしてはHMCに期待しています。当初は,値段の点でHPCしか使えないかも知れませんが,TSVが一般化して値段がこなれてくれば,携帯などでも使われていくと考えられています。

  MicronはこのHMCの規格を業界標準として作り上げるために,各社に声をかけてHMCコンソーシアムを作っています。現状では,Samsung,Intel,Altera,Xilinxなどがメンバーに入っていますが,現状では,IBMは入っていません。

 

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