最近の話題 2012年1月14日

1.Sequoiaの最初の4筐体がLLNLに到着

  2012年1月12日のHPC Wireが20PFlopsスパコンSequoiaの最初の4筐体がローレンスリバモア国立研究所(LLNL)に到着と報じています。

  SequoiaはIBMのBlue Gene/Qプロセサを使い,96筐体で20PFlopsを実現する予定で,この最初の4筐体分が納入されたということです。そして,全筐体が納入されるのは4月まで掛り,その後のインテグレーションを経て96筐体システムの検収が行われるのは9月の予定となっています。

  こうなると,2012年11月のTop500にLINPACK値が登録されるのは確実で,Roadrunnerの時は納入前にIBMの工場で全システムを展開してLINPACKを測って登録したという前歴もあるので,4月に96筐体が揃うとなると,6月のTop500にLINPACKの結果を出してくるというのも ,十分,可能性があると思います。従来の実績から見て,Blue Geneはピークの80%程度のLINPACK値は出せると思われ,そうなると,6月のTop500では「京」はトップの座を奪われるということになりそうです。

2.ARMの最大の顧客はIntel

  2012年1月11日のEE Timesが,Nomura Equities Researchが顧客向けの投資情報として発表した資料のARMの顧客リストを報じています。元情報はBloombergの2011年11月3日の資料だそうですが,この野村の資料によると,Intelは,2010年のARMの売り上げの$631.2Mの7%を払った最大の顧客だそうです。

  そして,Intelに続いて,TSMCが5.7%,Samsungが5.7%,TIが4.6%,NECが3.5%,STが3.5%で,それ以下,ZTE,Broadcom,AMD,Infineonで,Appleが2.1%,Qualcommが2.0%,Fujitsu,UMC,Lenovoと続いています。

  トップ顧客のIntelですが,どこにARMのIPが使われているのかは不明です。また,2010年の結果とはいえ,Appleが2.1%で10位というのもちょっと意外です。

3.Global FoundriesのNYのFab 8が稼働開始

  2012年1月9日のEE Timesが,Global Foundriesがニューヨーク州に$4.6Bをかけて建設しているFab 8が稼働を開始したと報じています。予て協力関係にあるIBMとの共同開発のSOIプロセスで,32nmのLSI製造を開始したとのことです。

  Fab 8は全体が完成すると30万平方フィート(約3万平方メートル)のクリーンルームを持ち,月産6万ウエファとなり,米国内では最大規模の半導体工場となるそうです。

  ドレスデンのFabで製造している32nm SOIプロセスのAMDのInterlagosの歩留りが悪く,入手が遅れたために,CrayのOak Ridge国立研究所へのTitanの納入が遅れて,年内に検収が出来ず,結果としてCray2011年の決算が赤字になったと言われていますが,このFab 8が動き出せば状況は良くなるのでしょうかね。

4.OLPCがXO 3.0タブレットを発表

  途上国の子供一人ひとりにコンピュータをという非営利団体のOne Laptop Per Childが,XO3.0タブレットを発表したと2012年1月6日のEE Timesが報じています。そして,ラスベガスで開催されたCESで,プロセサなどの主要部品を提供しているMarvell社のブースに展示されたとのことです。

  プロセサはMarvellのArmada PXA618 SoCでメモリは512MBです。これにAvastar WiFiチップが付いています。そしてディスプレイは1024×768の解像度で,通常の液晶かPixel Qi社の太陽光のもとでも(私の記憶では,太陽光で見る 反射型の動作ではモノクロだったと思う)読めるパネルが選べます。 そしてストレージは4GBのFlashメモリです。

  MarvellのArmada 618はARM v7アーキテクチャのMarvellの独自設計のシングルコアプロセサで,クロックは1GHzとなっています。そして,1次キャッシュは32KB+32KBで2次キャッシュは256KBです。それにGPUや1080pのビデオのエンコーダ/デコーダ,イメージシングプロセサ,暗号処理エンジンなどが集積されています。

  途上国の環境で使えるように防塵などに配慮されており,また,太陽電池と2次電池を搭載したカバーや手回し発電機でも動かせるとのことです。消費電力2Wのこのタブレットは,1分間,手回しで発電すると10分動作させられるそうです。

  お値段は$100程度で,3月からの出荷開始ですが,既にニカラグアとウルグアイから7万5000台を受注しているそうです。ただし,販売は途上国の教育プロジェクト向けのロットの販売だけで個人向けの販売や通常のストアなどでの販売 は行っていません。

5.IntelがMedfieldを発表

  CESにおけるIntelの携帯やタブレット向けのMedfieldを発表を2012年1月10日のEETimesが報じています。CPUは32nmプロセスのSaltwellで,製品名はAtom Z2460となっています。シングルコアですが,2D/3Dグラフィックス,1080pのビデオデコーダ,エンコーダ,ビデオイメージのエンハンス,イメージシグナルプロセサ,セキュリティー,暗号化プロセサなどを集積したSoCとなっています。ということで,前述のMarvellのArmada 618と同じような機能を集積しています。しかし,他社はARMでデュアルコアからクワッドコアに行こうという状況ですから,どの程度,優位があるのかという気もします。

  クロックは1.6GHzで,消費電力は800mW以下と従来の予想より低く抑えられています。ただし,オーディアのコーデックやHSPA+モデム,WiFiなどは外付けチップが必要です。

  これまでもIntelは携帯やタブレット向けと銘打った製品を発表してきたのですが,ARMベースのTIとかBroadcomなどの製品に歯が立たず失敗してきています。しかし,今回は,Lenovoが中国市場向けのK800スマートフォンに採用し,2012年前半にも出荷とのことです。また,Googleが買収したMotorola Mobilityも採用を決め,2012年後半にはスマートフォン,あるいはタブレットも出るとの観測で,各種周辺を含むSoC化が他社に追いついてきたのと800mW以下という電力が効いたようです。

 

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