最近の話題 2012年4月7日

.1.東大の1.13PFlopsスパコンOakleaf-FXが運用開始

  2012年4月2日に,東大情報基盤センターは1.13PFlopsの新スパコンOakleaf-FXの運用を開始したと発表しました。2011年11月26日の話題で,このシステムの富士通の受注を紹介しています。

  このシステムは,京のプロセサの商用版である16コアのSPARC64 \fxを使う富士通のPRMEHPC FX10を50筐体からなり,ピーク演算性能は1.13PFlopsとなっています。そして,総メモリ容量は150TBとなっています。これに富士通のETERNUS DX80 S2 150台からなる1.1PBのローカルファイルシステムと,ETERNUS DX410 S2 80台からなる2.1PBのグローバルファイルシステムが付いています。

  ファイルシステムはLustreベースで富士通が拡張を行ったFEFSが使われ,MDSやOSSにはPRIMERGY RX300が使われています。

  このシステムは,本郷ではなく,東大の柏キャンパスの新センターに設置されています。

  また,現在,東大は140.1TFlopsのT2Kスパコンを運用しており,この後継として2014年度〜2015年度にヘテロジニアスな計算ノードを有するポストT2Kに更新する予定で,このシステムのピーク演算性能は数10〜100PFlopsと書かれています。

2.富士通が九大,近畿大からFX10スパコンを受注

  2012年4月4日に富士通は,九州大学の情報基盤センターからPRIMEHPC FX10システムと,PRIMERGY CX400 PCクラスタからなるスパコンを受注したと発表しました。

  このシステムのFX10部分は,8筐体からなりピーク演算性能181.6TFlopsとなっています。メモリ容量は24TBで,それにETERNUS DX80 S2 25台からなる345.6TBのローカルファイルシステムと,同じくETERNUS DX80 S2 17台からなる230.4TBのグローバルファイルシステムがついています。

  PCクラスタ側は,Xeon E5-2600 デュアルソケットのCX400が1476ノードで,ピーク演算性能510.1TFlops,総メモリ量は184.5TBです。そして,共有ファイルはETERNUSDX80S2 74台ならなり,4.032PBとなっています。

  両者を合わせた演算性能は691.7TFlopsで,FX10側は7月から,PCクラスタ側は9月から運用開始の予定です。

  また,富士通は3月29日に近畿大学からPRIMEHPC FX10を受注したと発表しました。近畿大のシステムはシングルラックモデルで1筐体で,ピーク演算性能は2.5TFlopsとなっています。メモリ容量は384GBです。 シングルラックでも最大96ノードを収容できるのですが,近畿大のシステムは12ノードと最小規模の構成です。

  このシステムで開発したソフトは京でも動くというのが採用の理由に挙げられています。

  東大のシステムを含め,これでFX10の受注は3システムで,目標まで残り47システムとなりました。また,受注した筐体数は合計で59筐体です。

  と書いたのですが,読者の方から,富士通はプレスリリースをしていないが,岡崎の自然科学研究機構に入った1筐体96ノードのシステムが商用1号機とのご教授を戴きました。岡崎の計算科学研究センターのページにその存在が 書かれています。ということで,受注は4システムで,目標まで46システムに訂正します。

3.DEEPのハードウェアはEuroTechが供給

  2012年4月5日のHPCWireが,EUのExascaleプロジェクトであるDEEP(Dynamical Exascale Entry Program)の主導者のドイツのFZJがハードウェアをEuroTechに発注したと報じています。

  DEEPはEuroTech社の製品であるXeon E5-2687Wブレードを使うHPC10-10を使うクラスタシステムにBoosterと呼ぶ計算アクセラレータを付けると書かれています。現在主流のデュアルソケット程度の汎用プロセサノードにGPUを付けるという形ではなく,汎用クラスタスステムにBoosterという塊を付けるという感じの記述で,従来の方式と比べてスケーラビリティーが高いということですが,詳細は不明です。

  このBooster側のハードウェアもEuroTechが供給することになります。このシステムを使ってExascale向けのソフトウェアスタックを開発するのに使われるようです。ただし,今回の発注額は1.2Mユーロですから,それほど規模の大きいシステムではないと思われます。

  アクセラレータの塊を付けるという考え方は,先週紹介した筑波大のHA-PACSのTCA部と同じような考え方です。

 

 

  

  

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