最近の話題 2012年4月14日
.１．北京IDFで６WのマイクロサーバCPUに言及
Intelのデータセンターとコネクテッドシステム部門のGMのDiane Bryant氏は，北京でのIDFでの基調講演で，Centertonというコードネームで開発中のマイクロサーバ向けのAtomプロセサについて言及したと2012年4月12日のThe Inquirerなどが報じています。
このチップは，64ビットアーキテクチャでメモリのECCやVT-ｘなどサーバ向けの機能を搭載し，2コアでTDPは6Wと非常に低くなっており，マイクロサーバにはうってつけです。そして，今年の後半に出荷の予定だそうです。
さらに，22nmプロセスを使うIvy Bridge系のXeon E3プロセサは，22nmプロセスに移行することにより消費電力が低減でき，現在のSandy Bridg系のE3プロセサが15W，25W，45Wというラインナップであるのを10W，15W，40Wに下げられると期待して いるとのことです。これらの22nmのXeon E3プロセサは今四半期の後の方（つまり6月）に出荷の予定です。
２．Intelの次々世代のHaswell
2012年4月12日のPCWatchに笠原氏が「Haswellが作り出す新しいデジタルデバイス市場」という記事を書いています。Sandy Bridgeの次世代であるIvy Bridgeは間もなく出荷されると見られていますが，OEMメーカーは既にその次のHaswellベースの製品開発を始めており，そのあたりからの情報 のようです。
それによると，Haswellには2つのダイと３つのパッケージバリエーションがあるとのことです。4コアでグラフィックスがGT3/GT2と強力なダイと，2コアでGT2/GT1というダイがあり，前者は標準電圧で47/57W，後者は37Wだそうです。2コアのダイは電源電圧を下げたULT版，チップセットであるLynx Point-LPと2つのチップを同一パッケージに載せたShark Bayという製品は15Wになると書かれています。
4コア版は各コアに2MBのLLCがあり，計8MBの3次キャッシュを持ち，AVXもAVX2.0に拡張され，AES-NIにも新命令が追加されるようです。
また，Shark BayはCPUの電力の削減だけでなく，パーツメーカーとも協力してプラットフォーム全体の電力効率化を実現しており，アイドル電力は1/4程度に減少するとのことです。
Windows 8ではConnected Standby状態を16時間続けても，バッテリの消耗は5%以下を実現しないとロゴが付けられないという条件があるそうですが，これをクリアするには無線LANなどのコネクションはは維持しながら，消費電力を0.1〜0.2W程度に抑える必要があります。プロセサとメモリ，それ以外の部品での電力効率の改善などで，Shark Bayではこれをクリアできると書かれています。
３．英国気象庁がPOWER775スパコンを導入
2012年4月12日のHPC Wireが英国気象庁に60Mポンドを投資と報じています。その中で，11Mポンド余りがスパコンの調達にあてられます。Department of Energy and Climate Change(DECC）が7.43Mポンドを拠出し，Department for Environment Food and Rural Affairs（Defra)が3.76Mポンドを拠出しています。
DECCのお金でPOWER775 6筐体，Defraのお金でPOWER775 2筐体とデータアーカイブ用のストレージを購入したと発表されています。そして，このシステムは既に3月に納入と設置が終わっているそうです。
POWER775は，3.84GHzクロックのPOWER7を256コア(32チップ）搭載するドロアーを構成単位として，4ドロアーを1筐体に収容します。従って，この英国のシステムは8192コアのシステムです。POWER7コアは8FP演算/サイクルなので，コアあたりの倍精度浮動小数点演算性能は30.72GFlops，ドロアーは7.864TFlopsとなります。
このシステムは32ドロアーなので，ピーク演算性能は251.7TFlopsという計算になります。そして，お値段は約14.4億円と言ったところです。また，POWER775 1筐体は1.24Mポンド，1.6億円となります。計算すると，アーカイブストレージは1.28Mポンドとなります。このアーカイブは，3台のサーバと2台のテープ格納装置からなり，3.3PBの容量となっています。
昨年11月のTop500では，英国気象庁は7680コアのPOWER7のスパコンを2台（62位と63位）持っていることになっていますが，これに追加して設置したのでしょうかね。