最近の話題 2012年5月5日

.1.ビッグデータ性能を測るTPC-DSベンチマーク

  Transaction Processing Performance Councilの新ベンチマークテストであるTPC-DSについて2012年5月1日のThe Registerが報じています。

  TPC-DSは大規模小売業のオペレーションをモデルするもので,店舗の売り上げが50%,30%がカタログセールス,20%がオンラインストアという売り上げ構成で,販売,在庫管理,出荷に加えて,マーケティング,不正の検出,顧客の動向分析など,現実の小売業で必要とされる多岐な業務を想定して作られています。ということで,TPC-C/Eのようなトランザクション処理と,TPC-Hのようなアドホックなクエリやデータマイニングなどのディシジョンサポート処理を含んでいます。

  データベースの規模としては,100GB,300GB,1TB,3TB,10TB,30TB,100TBとシステム規模に応じたサイズが決められています。

  TPC-Cはシステム性能の向上から,巨大なストレージを必要とするようになり,トランザクション処理性能のベンチマークは,現在では,その後継のTPC-Eに移っていますが,TPC-EとTPC-Hを総合したベンチマークとしてTPC-DSが流行るかどうかは,今後の様子を見る必要があります。

2.TSMCが28nmプロセスでCortex-A9のクロックを3.1GHzに向上

  2012年5月3日のEETimesが,TSMCが同社のモバイル用高性能プロセスである28nm HPMプロセスで製造したCortex-A9プロセサは通常の動作条件で,3.1GHzクロックを達成したと報じています。

  Cortex-A9コアを使用するモバイル用SoCはNVIDIAのTegra3など多くの品種が出ていますが,これらは40nmのプロセスで製造されており,多くは1.5GHz程度です。TSMCのR&D担当副社長のCliff Hou氏によると,28HPMプロセスでは従来の40nmプロセス(40LPG?)に比べて,同じ動作条件で2倍高速に動作するそうです。

3.ConveyがHC-2ハイブリッドコンピュータを発表

  Convey社はHC-1というx86CPUにFPGAのアクセラレータを接続するハイブリッドコンピュータを販売しており,遺伝子マッチングなどの専用処理をFPGAで実現することで,高性能を出しています。この後継のHC-2の発表を2012年4月24日のHPC Wireが報じています。

  このHC-1は2008年に製品化され,CPUはFSBを使うXeon5400を使い,FPGAもFSBで接続していました。今回は,これをWestmereベースのXeon X5600,あるいは,Sandy BridgeのXeon E5-2600に変え,FPGAとの接続もPCI Expressに変更しています。また,HC-1ではデュアルソケットの一方だけにCPUを入れ,もう一方にはFSB接続のためのFPGAを入れていたのですが,HC-2ではPCI Express接続になったので,2ソケットともCPUを入れられるようになりました。これにより,CPUが速くなるだけでなく,接続できるメモリの増大,PCI ExpressによるIO接続バンド幅の増大などが実現されています。

  使用するFPGAはHC-1と同で,基本モデルはXilinxのVertex-5,exモデルはVertex-6となっています。しかし,用途によっては4個のFPGAを駆動するのには1個のCPUでは能力が不足していたとのことで,2ソケットのCPUで性能が改善できるとしています。ということで,HC-2はHC-1の2〜3倍のアプリ性能を実現できるとしています。

  Convey社の売り上げの36%は遺伝子マッチングなどのBioinformatics分野,21%が政府機関(NSAなどのデータマイニングを含む),18%が国立研究所などの研究機関,17%が電話会社などのTelco分野だそうです。

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