最近の話題 2012年6月2日

1.2012年1Qのサーバ市場はUnixとメインフレームが足を引っ張った

  2012年5月30日のThe RegisterがGartnerのサーバ市場の調査結果を報じています。

  それによると,市場全体での売り上げは$12.44Bで,前年同期と比べて1.8%の減少です。しかし,台数ベースでは2.35M台で1.5%の増加となっています。

  地域的には,台数ベースで,西ヨーロッパが6.4%減少し,東ヨーロッパが16%増というのを除くと,殆どの地域で微増とのことです。売り上げでは,震災からの回復で,日本が10.6%というのが目立つのですが,その他の殆どの地域では微減です。また,最大市場の米国は,台数で3%増,金額では0.2%増と,これも低い伸びです。

  x86ベースのサーバは2.3M台に近付き,1.7%の増加,金額では$8.95Bで5.6%の増加となっています。

  メーカー別のx86サーバの売り上げでは,HPが678,874台のProLiant x86マシンを販売し,売上$2.97Bで第1位です。そして,503,450台のPowerEdgeなどを販売し,売上$1.86BのDELLが第2位です。第3位は245,968台で$1.33BのIBMが続いています。そして第4位は85,210台,$386.2Mの富士通です。富士通は台数で14.4%,金額で14.6%増加したのですが,まだ,3位のIBMとは大差の4位です。

  そして,CISCOはx86サーバの台数を70.9%伸ばして40,498台として,Oracleを抜いて5位に躍り出ました。CISCOはサーバ全体では5位には入っていないのですが,売り上げは72.4%増の$335Mとしており,躍進中です。David YenもSunからCISCOに移って正解という感じです。

  RISCとItaniumの市場は45,719台で,売上は$2.21Bで15.2%の減少と縮小を続けていますが,その中でIBMはHP-UXとOracleのシェアを奪い,IBMのAIXサーバは4.6%増の$1.24Bの売り上げとなり,その中でPowerシステムは20,210台と9%の増加です。

  HP-UX/Itaniumマシンは台数で40.2%減少して5,455台,売り上げは$382.1M,OracleのSolaris/SPARCマシンは18,850台で,売り上げが25.7%減って$453.8M,富士通は1,055台で,売り上げは53.8%減って$58.3Mとなっています。ただし,富士通は「京」の売り上げの変動で減少が大きくなっています。

  メインフレームは全メーカー合計で2,256台で,売り上げは$1.28Bで19.7%の減少です。

  大型のUnixやメインフレームは仮想化によるサーバコンソリデーションで台数が減少しているという面があると思われるが,この調査からは何とも言えないと書かれています。

  市場規模で言うと,x86サーバは$8.95B,Unixは$2.21B,メインフレームは$1.28Bで,合計は$12.44Bで,約72%がx86サーバとなっています。

2.DELLのARMベースサーバCopper

  2012年5月29日のThe Registerが,DELLのARMベースサーバのCopperについて報じています。

  ARMベースの低電力,高密度サーバに対する関心が高まっており,HPはProject Moonshotの中で,Redstoneと呼ぶARMベースのサーバを開発し,一部の顧客に試験提供しています。HPのRedstoneはCalexeda社の32ビットのARM Cortex-A9コアを4個集積したECX-1000プロセサを使い,4Uのシャシーに288ノードを収容できます。Calexedaのチップはインタコネクトを内蔵しており,2Dトーラス,メッシュ,ファットツリーなどの接続ができ,最大4096ソケットまでの構成が可能となっています。

  これに対して,DELLのCopperはMarvell社のArmada XP 78460を採用しています。Armada XP 78460は40bitアドレス拡張を含んだARMv7-MPアーキテクチャのSheeba PJ4Bコアを4個搭載し,クロックは1.6GHzで動作します。そして,2MBの共通L2$,ECC付のDDR3-1600コントローラ,4チャネルのPCI-Express2.0,2ポートのSATA,3ポートのUSB,4ポートのGbE,4Gbpsのパケットエンジン,2台のセキュリティーエンジンなどを集積しています。これで,消費電力は15Wです。

  Copperサーバは,このSoCに1枚の8GB DIMMと1台の3.5インチハードディスクを接続したものが1ノードで,ブレードにこれを4ノード分搭載しています。そして,3UのC5000シャシーに12枚のブレードが入ります。3Uに48ソケットですから,4Uに最大288ソケットのRedstoneと比べると密度は見劣りしますが,3.5インチのディスクが入っており,用途によって向き不向きがあると思われます。また,HP,DELLともに 評価用の試験提供の段階で,お値段は発表されていないので,コストパフォーマンスは比較できません。

  DELLは,このサーバのハードウェアは1年以上前に出来ていたのですが,ARMの上で動くソフトが少なく,使える範囲が見えてくるまで試験提供の位置づけであった のですが,ARMサーバ用のUbuntuやFedra Linuxや,Hadoop,クラウド用のOpenStackなどが動くようになり,ARMサーバがx86サーバより高密度で低電力という使い方が見えてきたとのことです。

  

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