最近の話題 2012年6月16日

1.AMDがARMコアをAPUに組み込み

  2012年6月12日のEE Timesが,AMDがARM Cortex A5コアをAPUに組み込むと報じています。

  ARMのセキュリティー機構であるTrustZone機能を利用して,AMDのAPUのセキュリティ機能を強化する目的です。AMDは独自にセキュリティー機構を開発することを計画していたのですが,業界標準となっているARMのTrustZoneを使う方が顧客のためにもなるということで ライセンスを決断したとのことです。

  なお,AMDのAPUのCPUはx86,GPUはAMDのRadeonからは変わりません。

  また,1月14日の話題で紹介したように,IntelはARMの最大の顧客であり,TrustZoneのような表から見えるところではないと思いますが,IntelもARMコアを大量に使っています。

2.AMDがFusion Developer SummitでSeaMicro Opteronボードを公開

  2012年6月14日のSemiAccurateが,AFDSで元SeaMicroのCEOで現在はAMDのVPのAndrew Feldman氏が公開したOpteronベースのボードの写真を載せています。

  搭載されているCPUは8コアで4chのDRAMインタフェースという未発表のOpteron製品で,これにAMDが買収したSeaMicroのインタコネクトLSIが搭載されているとのことです。

  AMDがSeaMicroを買収する話を紹介したのは3月3日の話題ですから,4か月弱でボードを完成したことになります。

3.SGIが第二世代のUVスパコンを発表

  2012年6月14日のHPC Wireが,6月18日から開催されるISCにおいて,SGIがUVシリーズの第2弾であるUV 2000を発表すると報じています。UVシリーズはSGIの独自技術であるNUMALinkを使ったccNUMAで巨大共通メモリを実現しているマシンで,巨大な共通メモリを必要とするアプリには 強力なマシンで,日本では北陸先端大に入っています。同大のS先生に伺うと,分散メモリのIntelサーバと比べて,それほど高くない,つまり,ccNUMAの上乗せコストは小さいとのことでした。

  今回のUV 2000は,前世代のUV 1000と比較するとCPUコア数が4096個と倍増し,メモリ容量は64TBと4倍になっています。なお,分散メモリの場合は,スイッチ経由で繋げば,コア数や総メモリ量に制限はないのですが,ccNUMAの場合はキャシュコヒーレンシの管理機構が扱えるコア数やメモリ量を増やす改良が必要になります。そのため,NUMALinkもUV 1000のNUMALink5からUV 2000では,NUMALink6になっています。NUMALink 6では速度なども改良されているのかも知れませんが,この報道では不明で,来週の正式発表を待つ必要があります。

  UV 2000では,Xeon E7ではなく,安価な4ソケットサーバ用のCPUであるXeon E5-4600使い,64ソケット搭載のラックでピーク11TFlopsを実現しています。最大規模は4ラック 512ソケットで,ピーク演算性能は88TFlopsとなります。また,PCI Expressの拡張シャシーにNVIDIAのGPUやIntelのMICをアクセラレータとして接続することができるようになって おり,更に演算性能を上げることが可能です。

4.富士通がオーストラリア国立大から1.2PFlopsスパコンを受注

  2012年6月15日に富士通は,オーストラリア国立大学から1.2PFlopsのスパコンを受注したと発表しました。このスパコンは富士通のPRIMERGY CX250 3592ノードからなるPCクラスタシステムで,ピーク演算性能は1.2PFlopsとなり,南半球では最大規模のスパコンとなります。稼働時期は2013年初旬となっています。

  このシステムの価格,インタコネクト,メモリやファイル容量などは発表されていません。なお,このシステムは富士通のPCクラスタとしても最大規模です。富士通はオーストラリアでは比較的強いとは言え,Appro,HP,Dellなどを抑えて受注したところを見ると,相当,安い値段を提示しているのではないかと思われます。

  また,富士通とオーストラリア国立大学は将来のスパコン環境に関する共同研究について合意し,この共同研究ではPRIMEHPC FX10を利用する予定とのことです。

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