最近の話題 2012年8月18日

1.ARMとGlobal Foundriesが20nmプロセスとFinFETで協力

  2012年8月13日のThe Inquirerが,ARMとGlobal Foundriesが20nmプロセスと,FinFETプロセスで協力を発表したと報じてます。7月28日の話題で,ARMとTSMCがFinFETプロセスの開発で協力するという話題を紹介しましたが,これと同様に,ARMコアをGlobal Foundries社の20nmプロセスとその先のFinFETを使用するプロセスに対して最適化するというものです。

  この協力にはCortexプロセサだけでなく,Mali GPUも含まれているとのことです。

  TSMCとの協力と同様に,ARMにとってはライセンス先の会社がTSMCだけでなく,Global Foundriesも選択できるようになり,ライセンス先の幅が広がります。一方,Global Foundriesにとっては設計ルールの開発やIPの開発パートナが出来,完成の暁には,ARMコアを使うSoCの製造というビジネスが舞い込んでくるというわけです。

2.CRAYが次世代スパコンのCascadeでNVIDIA Kepler GPUのサポートを発表

  2012年8月15日のHPC Wireが,次世代スパコンCascadeでのKepler GPUをサポートするというCRAYの発表を報じています。今年6月の発表時点では,アクセラレータとしてIntelのXeon Phiのサポートしか表明されていなかったのですが,今回,NVIDIAのKeplerの採用が発表されました。

 現在のXK6ではNVIDIAのTeslaを採用しており,CascadeでXeon Phiしかないとすると,これまでCUDAで書いたプログラムをOpenCLなどに移植する必要がでてきて,ユーザからブーイングが出てくるのは目に見えており,まあ,当然のサポートという感じです。

3.東大物性研が富士通のPrimeHPC FX10スパコンを導入

  2012年8月16日に富士通は,東大物性研から,FX10スパコンを受注したと発表しました。構成は4筐体,384ノードでピーク演算性能は90.8TFlops,メインメモリは12TBとなっています。それに,ログインノードなどとしてPRIMERGY 12台,合計126.9TBのETERNUSストレージが付くという構成です。

  日経新聞によれば,受注額は約5億円と見られるとのことで,50筐体で46億円の東大のOakleaf-FXと比べると若干高めですが,ストレージの比率などで金額も変わるので,まあ,同レベルのお値段と言えます。

  FX10は「京」の商用化マシンであり,このマシンでプログラムを開発しておけば,「京」に持って行ってそのまま動かせるという点で,戦略プログラム 分野2「新物質・エネルギー創成」の研究やアプリケーション開発などに活用するとのことです。

  384ノードしかないので,「京」の8万ノードまでスケールするかどうかはこのシステムでは確認できませんが,それ以外の問題点は潰せるので,「京」用のプログラムを開発するには威力を発揮しそうです。

  これでPrimeHPC FX10の受注は,台湾中央気象庁に続き7システム目で,目標まで残り43システムとなりました。ノード数では東大が4800,九大が768,岡崎と神戸大が各96,近畿大が12で,台湾中央気象庁のシステムが東大と同じ規模と 仮定して,今回の物性研の386を加えると,合計は10956ノードとなり,「京」の1/8強のノード数となります。また,販売されたシステムではありませんが,富士通の沼津工場にも,今回のシステムと同じ4筐体384ノードのシステムが設置されています。

4.SC12へのDoEの参加は?

  先週の話題で,松岡先生のTwitterをひいて,SC12から米国の国研の展示が消えるという話題を紹介しましたが,2012年8月14日のInsideHPCがこの件を報じています。

  GSAスキャンダルの結果,DoEでは,一つのイベントの費用が$100Kを超える場合は副長官の決裁が必要。DoE全体での一つのカンファレンスの費用の上限は$500K。ただし,例外規定はある。一つの部門から,一つのイベントに15人を超える参加は禁止。という副長官からのお達しが出ているそうです。

  DoEの広報によると,DoE,DoD,NOAA,NASAなどの国の研究所からのSC12への出席者数は参加者全体の10%以下であり,影響は大きくないとのことですが,これらのビッグユーザからの参加が落ち込むと,企業がブース出しを控えるという影響も懸念されます。

 

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