最近の話題 2012年12月22日

1.Samsungが14nm FinFETのテストチップのテープアウトを発表

  2012年12月20日のEE TimesがSaumsungの14nm FinFETテクノロジのテストチップのテープアウトを発表したと報じています。テストチップはARM Cortex-A7プロセサ,Near Vtで動作するSRAM,アナログIPなどの複数のテストがあるとのことです。

  2012年12月20日のPCWatchの後藤さん記事のように14nmといっても配線は,それほど微細になってはいないという面もありますが,それでも2重露光が必要になり,更に上下の隣接層との関係などで,デザインルールは加速度的に複雑になってきているとのことです。これにFinFETが加わると,更にデザインルールが追加され,EDAでの対応が重要になります。

  ということで,CadenceがRTL-to-sigoffフローとチップインテグレーションとベリフィケーションのツールを提供し,Synopsysのツールを使って低電力SRAMを含むIPをFinFETを使うように最適化し,14nm FinFETプロセスに対するバリデーションや製造関係の最適化を行っているとのことです。

2.MIPSの買収合戦はInaginationが勝利

  2012年12月20日のEE Timesが,MIPSの買収合戦はInmanigationが勝利と報じています。

  当初,Imaginationが$60Mでの買収を提案したのですが,11月24日の話題で紹介したように,DSPメーカーのCEVAが$75Mでの買収を提案して割り込んできました。これに対して,Imaginationは買収額を$100Mに引き上げて応戦し,CEVAは,これを超える出費は得策でないとの判断から,再提案をしないことを決め,Imaginationが勝利ということになったとのことです。

  当初より$35M高い買収額で,Imaginationは$22Mを借入でまかなうと見られています。

3.IntelがClover TrailはTegra3を超えると発表

  2012年12月20日のEE Timesが,NVIDIAのTegra-3を使うMicrosoftのSurfaceと,Clover Trailを使う Windows 8タブレットを並べてデモし,性能はTegra-3と同等で,消費電力は最大0.5W少ないことを示したと報じています。Insigt64のNathan Brookwoodもこの低電力に驚いたというコメントが載っています。

  低電力となった理由ですが,Imagination社のグラフィックスプロセサが,NVIDIAのものより低電力になっているためと述べられています。

  また,2012年12月17日のSemiAccurateもMicrosoft SurfaceとClover Trailを使うAcerのIconia W510タブレットで各種のベンチマークを流し,27Whourのバッテリを搭載するIconiaの方が,31.5WhourのSurfaceよりも若干ですが,バッテリ寿命が長いことを確認したと報じています。

4.NVIDIAがDARPAの組み込みプロセサプロジェクトを受託

  2012年12月12日にNVIDIAは,DARPAのPERFECT(Power Efficiency Revolution For Embedded Computing Technologies)プログラムの一環である超高エネルギー効率の組み込みプロセサを開発するプロジェクトを受注したと発表しました。期間は5年間で,約$20Mのプロジェクトということです。

  戦場で兵士を補助する情報機器は電力の制約が厳しく,性能が制限されています。PERFECTはプロセサのエネルギー効率を高めて高性能機器の搭載を可能にするというプロジェクトで,今回,NVIDIAが受注したOspreyプロジェクトは,車両や航空機に搭載されたカメラなどのセンサーから現在のシステムよりも大量の情報を取り入れ,それをリアルタイムで分析して,監視や車の自動操縦を行う技術を飛躍的に高めるというのが目的です。

  現状の組み込み用プロセサは1GFlops/W程度の性能ですが,7nm半導体プロセスを使って,75GFlops/Wを達成することを目標にしています。ただし,PERFECTのページによると,実際にハードウェアを作るのは目標に入っていなくて,シミュレーションなどで,実現可能であることを示せばよいと書かれています。

  この発表では,NVIDIAのアーキテクチャ研究部門のシニアディレクタのSteven Keckler氏が説明をしていますが,Keckler先生はテキサス大オースチン校の准教授が本務の筈で,掛け持ちは大変そうです。

5.マイナビのSC12のレポート

  マイナビが拙著のSC12のレポート記事を掲載しています。

  SC12 - HPC Challengeでは今年も京スパコンが大活躍 

  SC12 - 種々の問題が続出した超大規模並列スパコン「Sequoia」の立ち上げ

  SC12 - Top500 1位となったスパコン「Titan」とその現状

  SC12 - Intelが語ったExaScale実現に向けたビジョン

  SC12 - Xeon Phiを使うテキサス大学のスパコン「Stampede」

  SC12 - スパコンなどの大規模システムではDRAMはどの程度故障するのか?

  Top500 1位となったTitanや2個のSequoiaの発表を聞くと,まだ,故障率が高いようで,やはり,巨大スパコンは信頼度が大問題という感じです。

  SCに行っても,読者受けのする記事を書こうとすると,Top500上位のシステムの発表とかGordon Bell賞とかのセッションを中心聞くことになり,テクニカルな論文発表を聞く時間はほとんど取れないのですが,その中で時間を明けて聞いたのが,このリストの最後のDRAMエラーの論文です。Jaguarスパコンの11か月のDRAMエラーログを分析して,フォールトの頻度を分析した良い論文だと思います。

@1076299

 

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