最近の話題 2013年2月9日

１．DELLが株式非上場会社になると発表

　　先週の話題で，DELLをDellが買収かという話題を紹介しましたが，2013年2月5日にDELLはMachael Dell氏とSilver Lakeに買収されると発表しました。

　　買収額は1株あたり$13.65で，買収のうわさの流れる直前の1月11日の株価より25%高い額で，買収総額は約$24.4Bになります。DELLの役員会は買収を承認しており，当局の承認と株主の投票で可決されれば買収が決まります。

　　2013年2月5日のEE Timesによると，Dell氏が個人で資金を出すのと，Silver Lake Partners，Dell氏の所有する投資会社などが買収資金を出し，Microsoftも$2Bを貸すとのことですが，出資の割合は明らかにされていません。また，Dell氏は，DELLの約14%の株を持っています。

　　買収後もMichael Dell氏はPresident & CEOの職を続けるとのことです。

２．HPCのストレージではDDNがダントツのシェア

　　2013年2月6日のHPC Wireが，Top500の上位100システムの2/3がData Direct Networks社のストレージを使っていると報じています。また，Top500全体でも，ストレージでのDDN　1社のシェアは，すべての他社のの合計を超えるとのことです。また，バンド幅でも他社の合計を超えるとのことです。

　　京スパコンのようなシングルベンダーのシステムは違いますが，東工大のTSUBAME2.0のように，計算ノード，ストレージ，インタコネクトなどを個別にベストの製品を選んで組み合わせるシステムではDDNのSFA12Kは圧倒的に支持されています。

３．Global Foundriesのプロセスロードマップ

　　Common PlatformTechnology ForumでのGlobal Foundriesの半導体プロセスのロードマップの発表を，2013年2月8日のSemiAccurateが報じています。

　　それによると，2013年後半に20nmの低消費電力の20LPMを出し，2014年前半に14XM，2015年後半に10XMを出すというロードマップになっています。

　　20LPMは20nmルールのプレナー構造のMOSトランジスタですが，14XMでFinFETを使うことになっています。しかし，14XMの配線は20LPMそのままで，14nmルールにシュリンクはされません。しかし，トランジスタが小さくなる分，チップ面積もある程度は減り，消費電力も減ると見られています。

　　2015年の10XMでは第二世代のFinFETと10nmルールにシュリンクされた配線になる予定です。

　　また，Common Platoform Technology Forun全般については，2013年2月8日のPC Wathcに福田さんの記事があります。

４．CinecaのEuroraフォローアップ

　　先週の話題で3150MFlops/Wを達成したインタリアのCinecaのEuroraスパコンを紹介しましたが，2013年2月4日のThe Registerがその分析記事を載せています。

　　それによると，EuroraのノードはIntel Xeon E5-2687Wを2ソケットとNVIDIAのK20 GPUを2台，それにAlteraのStratix V FPGA，16GBのDDR3 DRAMと160GBもSSDを搭載しているとのことです。

　　水冷のAurora Tigonボードは，水冷パイプを埋め込んだアルミの板をコアとして，一方にCPUボード，もう一方に2台のK20を搭載していると思われます。Eurotechのボードは以前の製品でも，電気のコネクタと冷却水のコネクタが並んでおり，ボードをバックプレーンに差し込むだけで全ての接続ができます。この点は，水は専用のコネクタのついたホースをつなぐ必要がある「京」の構造よりスマートに出来ています。

　　そして，ボードへの電源の供給はDC 48Vとのことです。ACからDC 48Vを作り，48VからCPUやGPUチップが使う1V程度にDC-DCで落とすという方式は，DC 12Vを使う方式に比べて同一電力の場合の電流が1/4であり，損失が減り，電力効率が改善されます。CrayのXC30などもDC 48V給電を使っています。

　　Aurora TigonはNVIDIAのK20だけでなく，IntelのMICも搭載できるようになる予定で，Cinecaとしては両方を試す予定とのことですが，現状でのコメントは，性能ではK20の方に歩があるが，プログラムの作り易さの点ではMICの方に歩があると見ているとのことです。