最近の話題 2014 年2月8日

1.IBMが半導体部門の売却を検討か?

  2014年2月7日のEE Timesが,Financial Timesの記事を引いて,IBMが半導体部門の売却先を探すために,Goldman Sachsを雇っていると報じています。IBMは,この件に関しては何も発表しておらず,情報のソースは,内部の事情に詳しい関係者とのことです。

  IBMは,半導体部門の売却を過去にも検討したことがあったのですが,x86サーバ部門のLenovoへの売却など,ハード関係のビジネスから,ソフト,サービスビジネスへの転換を急いでいることから,今回は,これまでよりも,実現の可能性が高いと見られています。また,Virginia Rometty氏がIBM初の女性CEOになり,人が変わったことからも,過去とは異なる判断をする可能性があると見られています。

  IBMはGlobal Foundries(GloFo)とSamsungとチームを組んで,Common Platformという共通の半導体プロセスを開発しています。IntelとIBM,GloFo,Samsung連合が最先端プロセス開発の2強で,IBMが抜けるというのは非常に大きな影響が出てくると見られています。

  売却先として,GloFoの名前が上がっていますが,GloFoが,IBMと同レベルの研究開発投資を行うかどうかは分かりません。また,GloFoはアブダビの国営の投資会社が保有する会社であり,米国の最先端の技術や研究者が外国企業に流出してしまうのは問題として,当局が許可しないという可能性もあります。2014年2月5日のThe Register

  半導体部門はPowerPCをAppleに供給したり,CELLプロセサをソニー,東芝と共同開発してPS3にチップを供給したりしていたこともあるのですが,主要顧客はIBM社内で,売り上げも下がってきているということで,開発投資に見合ったリターンを上げられていないと見られています。

2.理研は来年度からExaスパコンの開発に着手

  2014年2月3日のMSN 産経ニュースが,理研は来年度から京スパコンの100倍の性能の次世代スパコンの開発に着手すると報じています。2020年に世界最高水準での運用開始が目標と書かれており,2020年3月頃の引渡しかと思われます。

  同時に行える計算の数を京の100倍に引き上げるとのことで,ピーク演算性能は1ExaFlopsを超えることになります。消費電力は30〜40MWで,設置面積は京を超えないとのことですが,京の運用を継続しながらの設置はできないので,別の建物を建てる必要がありそうです。

  総事業費は1400億円で,京の2割増しとなっています。

  そして,理研の計算科学科学研究機構の組織図にエクサスケール・スーパコンピュータ開発プロジェクト準備室というのが付け加わりました。

3.DARPAが自己消滅チップの開発をIBMに委託

  オサマ ビン ラディンを襲撃して殺害した時,1機のUH-60 Black Hawkヘリコプターが破損し,現場に残されてしまいました。襲撃隊員はそのヘリコプターを爆破して離脱したのですが,完全に粉々になった訳ではなく,パキスタンが中国に機体の調査を許して,軍事機密が中国に漏れたと見られています。

  このような問題がないよう,DARPAは,破壊指令を出すと粉々に壊れてしまうチップを開発しようとしており,IBMに3.4Mポンドで開発を委託すると,2014年2月5日のThe Registerが報じています。

  ストレスをかけた状態で固めたガラス基板の上に半導体チップを載せ,ヒューズなどでストレス解消の引き金を引くと,ガラスが粉々に割れ,その上の半導体チップも粉々になるという仕掛けだそうです。

  先月には,DARPAはBEAに,不要になると溶けてなくなるセンサーの開発を$4.5Mで委託しており,不要になると消えてなくなるVanishing Programmable ResourcesというVAPRプロジェクトを推進しています。

  

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