最近の話題 2014 年4月19日

1.SamsungとGlobalFoundriesgが共通の14nmプロセスを立ち上げ

  2014 年4月17日のEE Timesが,SausungとGlobalFoundriesが共通の14nmプロセスを準備中と報じています。 Sausung は,今年2月に14nmFinFETプロセスを開発しており,今年の遅い時期には,量産を開始する予定とのことです。そして,GlobalFoundries は,このプロセスのライセンスを受け,来年の早い時期に量産を開始するのだそうです。

  最初に提供される14LPEプロセスは,早期に市場投入したいというユーザ向け で,20nmのプレナープロセスと比較して,性能は20%アップ,消費電力は35%減,チップ面積は15%減とのことで,メタルピッチは20nmプロセス からあまり縮まっていないようです。

  そして,両社はその後,14LPPプロセスを提供する予定です。LPPはLPEより 15%性能が高く,値は挙げていませんが,電力も減るとのことです。

  2社が同じプロセスを提供することは供給の安定性が増し,QualcommやApple などの大手ユーザに取っては歓迎すべきことです。

  もともと,IBM,Samsung,GlobalFoundriesがCommon Platformを提供するという体制だったのですが,今回,IBMが入っておらず,IBMは最先端の半導体プロセスの開発から離脱したのではないかとみ られます。半導体部門の売却の噂が流れる状況では,十分な開発費が得られないのかもしれません。

  両社は20nmプレナーのノードは短命 で,直接,28nmプロセスから14nm FinFETへのジャンプを行う会社も多くなるとみています。

2.AMDが64bit ARMサーバチップのサンプル出荷を開始

  2014 年4月18日のThe Registerが,AMDが64bit ARMアーキテクチャのSeattleチップのサンプル出荷を開始している と報じています。決算発表後の電話インタビューで,同社のRory Read CEOが明らかにしたとのことです。また,製品版は4Qに出荷予定となって います。

  同社のLisa Su SVPによると,SeaMicroのファブリックは,AMDにとって差別化要因であると認識しているが,それは長期的なもので,4Q発売のARMサーバチップには含まれな いとのことです。また,このSeattleチップを使うSeaMicroシステムはAMDのビジネスプランに入っているが,Seattleチップの発 売と同時にはならないとのことです。

  なお,同社のQ1の決算は,売り上げ が$1.397Bと,前年同期の$1.09Bからは28%の伸びですが,前期との比較では12%のマイナスです。そして,利益はノンGAAPでは$12M の黒字,GAAPでは$20Mの赤字で,まあ,ほぼ儲けなしといったところです。

3.Avagoが30Gb/s SERDESテクノロジをMicronにライセンス

  2014 年4月11日のHPCWireが,Avago Techologies社が,28nmのLow Power 30Gb/s SERDESテクノロジをMicronにライセンスするという発表を報じています。Avagoは,IBMのPOWER755サーバやBG/Qにも採用 されているSERDESの大手です。

  Micronは,このテクノロジを次世代 のHMCに使用する予定とのことで,現在は最高でも15Gb/sのHMCのリンクのバンド幅が,5月に発表予定の第二世代のHMCでは2倍になりそう です。

4.統数研が128TBのメインメモリの新スパコンAを導入

  2014 年4月4日に統計数理研究所は,SGIのUV2000 2台からなり,5120プロセサコアを持ち,合計で128TBという巨大共有メモリを持つスパコンを導入すると発表しました。このスパコンは巨大共有メモ リを活かして, データ同化を行うのが主目的で,システムの愛称は公募で「A」に決まったとのことです。

  データ同化は,気象学,海洋学の分野で生まれたシミュレーション手法で近年急速に研究領域が広がっているとのことです。

  また,分散メモリ型の統計科学スパコン(愛称「I」)を7月に稼働の予定です。Iは,ピーク演算性能が196TFlops以上で,合計では128TBの メ モリを持ちます。また,1年以内に演算性能を336TFlops以上に増強の予定です。さらに,Dell製のサーバ69ノードからなる共用クラウド計算システ ム「C」を導入し,統計計算のための仮想環境をユーザに提供するとのことです。

  愛称Aは, Assimilation(同化),Advanced(高等の, 上級の),愛称Iは, Intelligence(知能),Investigate(研究する),愛称CはCloud(クラウド,雲海),Community(共同社会)から名付け られており, それぞれアルファベット1文字で日本人,外国人ともに覚えやすく,呼びやすい。とのことです。それはその通りですが,あまりにジェネリックなような気もします。まあ,K Computerというのもありますから…

  3つそろうとAIC(故 赤池弘次記念ウェブサイト赤池記念館 )となり,というあたりが命名の本音のような気がします。

5.筑波大がXeon Phiを使う1.001PFlopsのCOMA/PACS-\スパコンを導入

  2014年4月14日に筑波大は, ピーク性能が1.001PFlopsの新スパコンCOMA(Cluster of Many-core Architecture proceessors)を導入し,4月15日から運用を開始すると発表しました。筑波大は東大,京大と共同で開発したT2Kスパコンを運用していたのです が,2014年3月10日に東大のT2Kの運用終了をもって,T2Kの利用が終了しました。そしてCOMAは,このT2Kの後継として導入したものです。

  COMAはCray製(といっても買収されたApproの方ですが)の分散メモリのスパコンで,393計算ノードで構成され,各計算ノードに2台の Xeon Phi(SE10P)を接続しています。ノード単体のピーク演算性能は2.547TFlopsで,全体では1.001PFlopsとペタの大台に乗ります。HA-PACS もTCAを加えるとペタFlopsを超え,筑波大はペタのシステムを2システム持つことになります。

  COMAの計算ノードはFDRのInfiniBandで結ばれ,フルバイセクションバンド幅を持つとのことです。そして,1.5PBのRAID6の Lustreファイルシステムが接続されます。

  また,COMAは,筑波大のPACS開発の歴史の9番目のシステムにあたることから,PACS-\とも呼ばれます。

  


inserted by FC2 system