最近の話題 2014 年5月24日

1.東芝が3D NANDファブを建設

  2014年5月22日のEE Timesが東芝の3D NAND Flash工場の建設を報じています。四日市工場内の古いFab2を取り壊し,提携しているSan  Diskと共同の出資で,3D NAND Falsh用のファブを建設するとのことです。

  NAND Flahは微細化にともない,情報を記憶する電子の数が減少する,隣接した記憶素子のアクセスに伴う雑音が増加するなどの問題が厳しくなり,頑張っても,今後1世代か2世代しか微細化ができないと見られています。このため,各社は縦方向に記憶素子を積む3D NANDの開発を行っています。

  学会発表では東芝のBiCSが最初でしたが,Samsungが昨年8月にTCATという構造の3D NAND量産を発表しています。Samsungの3D NANDは垂直方向に24素子を積み上げているので,個々の素子は従来のものより大きくでき,上記の微細化の問題が大幅に緩和されます。

  一方,3D化のためには細い直径の深い穴を掘る必要があり,製造が難しいのですが,大規模な量産工場を建設するということは,製造上の問題をクリアして,かつ,平面での微細化を推し進めるよりもコストを下げられるという技術を確立したということでしょうね。

  今回の東芝の新工場は2014年9月から建設を開始し,2015年夏には完成の予定ですが,この3DNAND専用工場の完成を待たず,Fab3とFab4の既存の設備を使って,2015年後半には3DNANDの量産を開始するとのことです。

  東芝は2012年に直径50nmの穴を開けて,16層に素子を積むデバイスを学会発表していますが,来年に量産を開始する3D NANDの層数や素子サイズについては発表されていません。

2.Saumsungは中国の西安に3D NANDの量産工場を建設

  2014年5月20日のEE Timesが,Saumsungの3D NAD量産工場の建設を報じています。この工場の建設は2012年9月から着工しており,今年末には完成の予定とのことです。工場は23万平米の敷地を持ち,アセンブリやテストのラインも備えるとのことです。

  Micronも今年末には3D NANDを出すといわれており,2015年後半には3D NANDが立ち上がることになりそうです。

3.IBMと富士フィルムが磁気テープの記録密度を62倍に改善

  2014年5月19日のEE Timesが,IBMと富士フィルムが磁気テープの記録密度を62倍に改善し,標準のLTOカートリッジに154TBを記憶できるようになったというという発表を報じています。

  オーディオカセットもVHSビデオテープも,身の回りから姿を消し,磁気記録は鉄道の切符くらいでしか見かけなくなってしまいました。また,コンピュータの情報の記憶もハードディスクやNAND Flashを使うSSDが主流になっていますが,大量のデータを保存するという用途ではGBあたりのコストが安く,巻いておいておけるので,情報の体積密度が高いという特徴から,磁気テープは健在です。

  今回,富士フィルムは,垂直方法に揃えたBaFeのナノ粒子を塗布したメディアを作り,IBMが高密度の書き込みヘッド,読み出しヘッドを開発し,177nmというトラック幅で60万ビット/インチの記憶密度を実現したとのことです。そしてH-Infinityと呼ぶコントローラで標準偏差が10.3nmという高精度のトラック追従を実現し,結果として,線形密度を56%向上し,トラック密度を27倍向上しています。

  これは85.9Gbit/in2の密度で,蒸着型のメディアを使えば100Gbit/in2m可能とのことで,この技術で今後10年は2年で2倍の密度向上のペースを維持できるとのことです。

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