最近の話題 2014年7月12日
１．IBMが半導体の研究に$3Bの投資を発表
2014年7月10日のThe Inquirerが，向こう5年間に半導体関係の研究に$3B(約3000億円）を投資するといIBMの発表を報じています。
7nmとそれ以降のシリコンテクノロジの研究とシリコンに替わるカーボンナノチューブなどの次世代デバイスの研究が2本の大きな柱で，IBMの半導体関係のイノベーションを推し進め，将来のリーダーシップを確保するためとのことです。
研究チームのメンバーはニューヨーク，カリフォルニア，そしてヨーロッパから集められるとのことです。そして，大学などとの共同研究にも費用を投じるとのことです。
そして，研究チームはシステム性能やエネルギー効率の点で，現在のものとは何桁もの改善を目指すそうです。
また，既に着手しているシリコンフォトニクス，新しいメモリテクノロジ，量子コンピューティングとコグニティブコンピューティングの研究にも投資されるとのことです。
２．PanasonicがIntekの14nmプロセスでSoCを製造
2014年7月7日のEE Timesが，Panasonicが，Intel Fabの6番目の顧客となり，14nmプロセスの低電力版を使ってSoCを製造すると報じています。
話はこれだけで，どんなSoCが何時頃出てくるのかなどの情報は全くありませんし，製造ボリュームに関しても触れられていません。
しかし，Panasonicを加えたことは，IntelがFabビジネスに本気であることを裏付けています。また，IntelのFabビジネスの責任者のRikhi氏は，これまでパッケージングは社内でやってきたが，近々，外部の複数の会社とも話を始めると述べています。
３．スパコンのビッグタイトルはアジアのマシンが独占
Top500の1位と新に提案されているHPCGの1位は中国の天河2号が取り，Green500の1位は東工大のTSUBAME-KFC，Graph500の1位は京コンピュータを使って東工大が取っています。
更に，HPC Challengeは京コンピュータ，GreenGraph500も九大と全てアジアのマシンと松岡先生は書いておられます。昨年のSC13では，HPCCのG-randomAccessはIBMのPOWER775システムが1位で，その後，京がこれを上回ったという話は聞かないのですが？
４．Crayが総額$174Mを超えるTrinityスパコンを受注
2014年7月10日のHPCWireがCrayが総額$174Mを超えるTrinityスパコンを受注したと報じています。NNSAの核兵器の安全管理をシミュレーションで行うためのマシンで，現在のCray XE6のCieloスパコンの後継となるものです。マシンはCascadeのコードネームで開発されてきたCray XC30で，約270ラックになるそうです。そして，保守なども含めて総額$174Mを超える契約とのことです。
計算ノードはHaswell CPUとNight Landingアクセラレータからなり，全体では30PFlopsを超えるが，どの程度超えるかは，これらのチップの詳細がきまっていないので不明とのことです。そして，7PBのFlashを部rstBufferとして持ち，バンド幅は5〜7TB/sです。さらに82PBのSonexionストレージが付き，1.7TB/sのsustainedのバンド幅を持つとのことです。
Top500のLinpack値には，あまり興味がないが，使用する実アプリで，現在のCieloマシンの6〜8倍の性能を達成したいとのことです。
導入は2つのフェーズに分割されており，最初のフェーズはHaswellだけで，第2フェーズでNight Landingを増設するようです。検収は2015年の遅い時期と2016年に行われる予定とのことです。
なお，設置場所はLos Alamosで，SandiaとLivermoreの3つのNNSAの研究所が使う予定です。
５．D-Waveが$30Mを調達
2014年7月10日のGigaomが，D-WaveがFidelity Canada Fund,，Goldman Sachs,，Business Development Bank of CanadaとDraper Fisher Jurvetsonから，合計$30Mの投資を集めたと報じています。
D-Waveのマシンが本当に量子コンピュータであるかどうかについては，まだ，議論のあるところですが，少なくとも，他の方法より圧倒的に速く解ける問題もあり，意味があるマシンという評価は定着して来ているようです。
ということで，$30Mを集めることに成功したわけです。同社は1999年の創立以来，合計で$160Mを集めたことになります。