最近の話題 2014年7月19日

1.Imaginationがウェアラブル向けの小型GPUを発表

  2014年7月16日のEE Timesが,Imagination TechnologiesのIoTやウェアラブル向けの小型GPUの発表を報じています。このPowerVR Series5XE GX5300と呼ぶGPUコアは,28nmプロセスで作られ面積は0.55mm2で,業界最小サイズとのことです。

  小型ですが,250MHzクロックで1GFlopsの演算性能を持ち,最大250MPixel/sの処理能力を持っています。そして,720pのビデオを扱えるとのことです。250MHzで1GFlopsですから,4演算/サイクルで,NVIDIAで言えばCUDAコア2個分ですから,確かに小型のGPUです。

  ImaginationのPVRTCテクスチャ圧縮をつかっており,従来のソフト描画に比べると,少ないCPU負荷で,高解像度の絵を表示できます。

  なお,Series5 GPUはエントリレベル向けのIoTがターゲットで,よりハイエンドのスマートウォッチなどはSeries6 GPUで対応して行くとのことです。

2.IntelがOracle向けにXeon E7-8895 v2を開発

  IntelはGoogleやFacebookなどの大手のサーバメーカに対してXeonチップのカストマイズを行っているのですが,2014年8月18日のThe Registerが,コアのオンオフやクロック周波数をソフトウェアで制御できるプロセサチップをOracleに提供すると報じています。

  これらの機能は,個別には既に提供されているものですが,オンにするコアの選択,クロック周波数の設定,アイドルコアのCステートの指定の全ての機能を備えたものは,今回のE7-8895 v2が初めてとのことです。

  このチップは15コアを搭載していますが,必要に応じて動かすコアを変えることができ,通常のクロックは2.8GHzですが,6コアだけなら3.4GHz,1コアだけなら3.6GHzまでクロックを上げられます。並列度がなく,1コアでしか実行できない部分は,1コアで3.6GHzクロックに上げれば,30%弱,高速で処理できることになり,性能が上がります。OracleはアプリからOSまで全てのソフトを握っており,どのような処理を行うかが分かっているので,それに合わせて制御すれば,電力や性能を最適化できます。

  この技術は,近く製品化されるExadata X4-8マシンに使われるとのことです。

3.富士通が半導体製造から撤退か

  2014年7月18日の日経などが,富士通が半導体の製造から撤退と報じています。三重工場を台湾のFabの聯華電子(UMC)に,そして会津若松工場を米国のオンセミに段階的で売却し,半導体の製造から撤退すると報じています。

  直近は黒字を計上したようですが,微細化にともなう高額の投資は大きな負担で,利益も見込めないということから,半導体製造からの撤退は課題であったのですが,なかなか条件が折り合わず,それがやっとまとまったということのようです。

  ただし,富士通は,これは当社が発表したものではなく,三重工場と会津若松工場について「『生産撤退』は考えていない」,半導体事業の構造改革の一環として「他社との事業提携を念頭にさまざまな可能性を検討しているが,具体的に決まったものはない」というリリース文を発表しています。

  いずれにしても,富士通のスパコンもCPUはTSMCでの製造に既に移行しており,コンピュータなどのハードウェアビジネスには大きな影響はないと思われます

4.AppleとQualcommがFabをTSMCからSamsungに切替か?

  2014年7月17日のThe Inquirerが,AppleとQualcommがTSMCからSamsungにFabを切り替えるという可能性について報じています。

  7月16日のTSMCの決算発表の後に,KGI証券のアナリストのMichale Li氏が,AppleやQualcommなどの大手は,2015年Q2以降の14nmのスマホ用のチップをTSMCではなく,Samsungから可能性が高いというレポートを発表し,TSMCの株が6%近く下がったそうです。なお,Li氏はどのようにしてその情報を入手したかは明らかにしておらず,確認はとれていません。

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