最近の話題 2014年7月26日

1.中国のAllwinnerやActions Semiが年末までに64bit ARM SoCの供給を開始

  2014年7月23日のThe Registerが,中国のAllwinnderが,64bitのARM SoCの供給を開始すると報じています。そして,10月のHong Kong Electronics fairでは,開発システムをデモするとのことです。

  このチップはARMv8-Aアーキテクチャのコアを持ち,4Kのビデオコーデック,H.265サポートと書かれていますが,コア数,クロックなどは明らかにされていません。

  また,The Registerは,Action Semiconductorも先月にARM Cortex-A50ファミリのコアをライセンスし,64bitのモバイルSoCの開発を発表しており,このチップも今年末までに出てくると報じています。

  LinaroがAndroid Open Source ProjectのARMv8-Aアーキテクチャへの移植に成功しており,64bit ARMプロセサを使う環境は整ってきており,タブレットマーケットでも64bitの競争が激しくなると予想されます。

2.ポスト「京」は加速部を落とし,汎用部だけの構成に変更

  2014年7月24日に, ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会 の第4回(公開)があり,その場で「資料4-1 フラグシップ-2020 プロジェクトについて」 が配布されたとのことです。

  このフラグシップ2020の説明ページによると,「従来の計画からの大きな変更は,「加速部」といわれていたものがなくなくなり,「汎用部」だけのシステムになったことです。」と書かれています。

  当初は,汎用に加えて,メモリ帯域重視型と演算重視でメモリ削減型の3種のシステムが検討されていたのですが,先にメモリ帯域重視が落ち,今回,演算重視の加速部が落ちたようです。結局,残るのは「京」の時と同じ汎用型だけになるようです。

  色々なユーザをカバーするという点では汎用型は良いのですが,GPU搭載スパコンが多くなっている現状に鑑みて,本当にコストパフォーマンスの良いシステムができるのか心配ではあります。

3.SC14のプログラム公開

  スーパーコンピューティング最大の学会であるSC14は,11月16日から21日にかけてニューオルリーンズで開催されますが,そのスケジュールが公開されました。日本からの論文は3件で,東工大の青木先生のところのASUCAの論文,松岡先生のところのネットワークの故障の回避に関する論文と,理研AICSのGPUアプリのカーネルフュージョンに関する論文です。この理研AICSの論文も,元は東工大の丸山さんが著者ですから,3件とも東工大関係の論文です。

  松岡先生のTwitterでは,東工大はHPCの(国内全体の)予算の2%しか使っていないが,過去6〜7年のSCで採択された論文の3/4は東工大関係だと書かれています。SCでの論文採択だけがスパコンセンターの評価基準ではないでしょうが,東工大が高い成果をあげ,それが日本のスパコンを引っ張っているというのは確かです。

  個人的に聞きたい論文発表は,IBMがBG/Qに陽子線を当ててエラーの発生とリカバリを評価した論文です。

  なお,Gordon Bell賞の候補論文は,まだ,発表されていません。

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