最近の話題 2014年8月2日

1.AMDが64bit ARMの開発キットを発売

  2014年7月30日にAMDは,Seattleのコード名で開発されている64bit ARMアーキテクチャのOpteron A1100シリーズプロセサを搭載する開発キットの発売を発表しました。

  A1100シリーズはCortex-A57コアを4個あるいは8個搭載し,最大4MBのL2$と最大8MBのL3$を載せています。メモリは2チャネルのDDR3/4サポートで転送速度は1866MT/sとなっています。IOはx8のPCI e3.0とSATA3が8ポート,10GbEが2ポートとなっています。それにARMのTrustZoneのサポートと暗号化とデータ圧縮のコプロセサが入っています。

  今回の開発キットは,4コアのA1100が1個に16GBのDDR3メモリが付いたmicroATXボードで,Fedra Linux,ボード搭載のIOのドライバ,ApatchやMySQLなどの標準的なサーバアプリが含まれています。お値段は$2,999とのことです。

2.ポスト「京」スパコンを開発するフラグシップ-2020

  文科省のサイトにポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会(第4回)配布資料が公開されています。大部分は,ポスト「京」は,このような問題を解くために使うべきという資料ですが,その中に,フラグシップ―2020プロジェクトについてという資料があります。

  ここにポスト「京」をどのような形で実現しようかという案が示されています。作成したのは文科省の研究振興局 参事官(情報担当)付 計算科学技術推進室となっています。

  ポスト「京」は2020年に世界のトップレベルのスパコンを目指すものであり,我が国のフラグシップスパコンと位置付けています。そして,単なる計算速度だけでなく,次世代の技術に基づき,誰もが使いやすく,成果の出せるスパコンであることをFuture LAtency core-based General-purpose Supercomputer with High Productivityという名称に込めているとのことです。

  京の後継機ということから資産の継承できるアーキテクチャを考えており,汎用CPUを用いたメニーコア型アーキテクチャで,ネットワークの構造は京の多次元トーラスを踏襲するとのことです。システム構成のイメージ図が載っているのですが,京とほぼ同じ絵で,違いはチップに搭載されるコア数が増えている点と,インタコネクトが内蔵されているというくらいです。

  我が国が強みを持つコア技術は確保した上で,汎用品の活用や国際協力の推進により,効果的・効率的に開発と書かれており,GPUコアについては国内での開発で,GPUなどのアクセラレータは使わない構成と考えられます。

  LINPACK性能だけでスパコンの性能や性能/費用を比べるのは間違っていて,アクセラレータが良い解とは限りませんが,多額の税金を投入するプロジェクトであり,ターゲットとする課題に対して,本当に性能/費用が良い解であるかどうかを示して貰いたいところですね。

3.Dongarra先生らが新しいスパコン論文誌を創刊

  2014年7月28日のHPCwireが,Jack Dongarra氏とモスクワ州立大のVladimir Voevodin氏が,Jounal of Supercomputing Frontiers ad Innovations"という学術雑誌を創刊したと報じています。ピアレビューされたスーパーコンピューティング関係の論文が掲載されるとのことです。Editor in Chiefは,このお二人ですが,10人居るAssociate Editorsには東工大の松岡先生が入っています。

  刊行は年4回で,オンラインで公開されるとのことで,第1巻は既に公開されています。巻頭を飾るのは,Toward Exascale Resilience: 2014 updateという論文で,著者は,Franck Cappello, Al Geist, William Gropp, Sanjay Kale, Bill Kramer, Marc Snir という有名人です。



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