最近の話題 2014年9月6日
1.PEZY社が1024コアPEZY-SCを発表
2014年9月5日にPEZY Computing社は,NEDOの助成を受けて開発していた1024コアのPEZY-SCが完成し,事業展開を始めると発表しました。
同社は,512コアのPEZY-1というプロセサとそれを使ったシステムなどを販売していますが,PEZY-SCはその次世代のプロセサで,コア数を1024と倍増し,また,PEZY-1は単精度浮動小数点演算だけだったのですが,PEZY-SCでは倍精度浮動小数点演算もサポートしています。
PEZY-SCは,独自開発の演算コアを1024個と,補助CPUとしてARM926 を2コア搭載し,メモリはDDR3/4を8チャネルサポートし,最大メモリバンド幅は153.6GB/sに達します。また,Ultra Wide IOも2チャネル持ち,この部分のメモリ帯域は102.4GBとなります。IOはPCI Express Gen3で×8を4チャネル備えています。
クロックは733MHzで,単精度のピーク演算性能は3TFlops,倍精度のピーク演算性能は1.5TFlopsとハイエンドのGPU並の性能です。そして,消費電量は60Wとのことで,単純に計算すると,単精度では50GFlops/W,倍精度では25GFlops/Wとなります。
このチップを256個使って200TFlops級のスパコンを作り,国内の研究機関で試験運用する計画があり,Top500入りとGreen500での上位10位以内入りを狙うとのことです。
今回のプレスリリースには書かれていないのですが,過去の東工大の発表ではPEZY Computing(東京都千代田区、齊藤元章社長)と書かれたものがあります。この齊藤氏は,シリコンバレーにTeraReconという会社を設立し,世界初のリアルタイムCT再構成システムを開発した齊藤氏と考えられます。齊藤氏は現在は関与していないようですが,TeraRecon社は米国の本社以外にドイツ,イタリア,ブラジル,日本に支店を置き,医用画像処理の分野では頑張っているようです。ということで,齊藤氏は,開発型のベンチャー企業を立ち上げ成功させた実績の持ち主です。
なお,PEZYはPeta,Exa,Zetta,Yottaの頭文字を並べた命名で,今後40〜60年間プロセサの開発にコミットすると意気軒昂です。
2.ImaginationがMIPS64アーキのWarrior I6400を発表2014年9月2日のThe Registerが,ImaginationのWarrior I6400プロセサの発表を報じています。
I6400のコアは,デュアルイシューのインオーダ設計で,2スレッドのSMTをサポートしています。パイプラインはコンパクトな9ステージとのことで,それほどハイエンドを狙ったコアではなさそうです。
1次キャッシュは命令,データともに32-64KBでECC付きとなっています。そしてデュアルイシューの128bit SIMD演算器が付き,整数,SP,DPの演算ができます。
ARMv8は新しい命令を定義しているので,32bitのARMv7のバイナリとは互換性が無いのですが,MIPS64はMIPS32のデータサイズを64bitに拡張したもので,MIPS32のコードもそのままで動くというのが売りの一つです。
3.Intelが2in1向けのCore Mを発表4.VIAがAtom対抗製品を開発中か
2014年9月4日のThe Registerが台湾のVIAが,子会社のCentaur Technology社で,非常に低電力の4コアx86プロセサを開発中かという噂を報じています。
これだけの記事ですが,本当とすれば,スマホやタブレット市場にx86アーキのAtom対抗製品が出てくることになります。
2014年9月3日のThe Registerが,NECの2U筐体に46チップのAtomプロセサを収容するサーバについて報じています。日本国内では先月に発表されたのだそうですが,国外(シンガポール)での展示は初めてとのことです。
小型のボードにC2000 Atomと32GBのDRAMと128GBのSSDを搭載し,それを2U筐体に18枚を2列と3列目には10枚で,合計46枚収容するとのことです。ただし,2枚は管理用に使われるので,実際に仕事をするのは44チップとなります。CPUは2.4GHzクロックのC2750か1.7GHzのC2730が選択できます。
また,サーバボードを減らして,1TBのHDDを入れることも可能です。そして,2台のEthernetスイッチモジュールが含まれ,10GbE 8ポートと40GbE 2ポートが出ています。
2014年9月3日のThe Registerが,Intel は2016年に,強制労働などで採掘,精錬された材料を半導体の製造に使わない体制に移行するという発表を報じています。金,タンタル,タングステン,錫などの材料は,倫理的に正しい採掘で得られた原料だけを使っていると承認された精錬所の製品しか使わないようになるとのことです。
当初,EUから提唱されたこの考えにIntelは賛同し,今年の1月に方向性を発表していましたが,今回は具体的に,切り替え時期を明言したものです。