最近の話題 2014年12月20日

1.JCAHPCのスパコンは30PFlops規模で国内最大

  2013年3月に筑波大と東大は、「最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC: Joint Center for Advanced High Performance Computing)」を設置したことを発表しました。

  JCAHPCのページには,「スーパーコンピュータシステムの設計では,既存のスーパーコンピュータ製品にとらわれず,先端技術をタイムリーに取り込んだスーパーコンピュータを設計し,システムソフトウェアの核となる技術である,OS,プログラミング言語,数値計算ライブラリなどを他の組織とも連携しながら研究開発していきます。本システムは,2015年4月以降に設置,運営・管理する予定です。」と書かれていますが,具体的にどのようなスパコンになるのかについては発表されていません。

  これに関して,首都大学東京主催のワークショップでの筑波大の朴教授の発表を,2014年12月16日のマイナビニュースが報じています。それによると,JCAHPCに設置するスパコンは,ピーク演算性能が30PFlopsで,京コンピュータを3倍近く上回り,国内最大規模となるとのことです。そして,アクセラレータとしてはメニーコアのKnight Landingが使用されるとのことです。

  
2.SGIが国防総省から3.9PFlopsのスパコンを受注

  2014年12月18日のHPCwireが,SGIがAir Force Research Laboratoryから,3.9PFlopsのICE Xスパコンを受注したと報じています。SGIは,2014年10月30日にもU.S. Army Engineer Research and Development Center から4.6PFlopsのICE Xシステムを受注しており,連続の受注獲得です。これらの調達はDoDのHigh Performance Computing Modernization Program (HPCMP)の一環です。

  AFRLのシステムはXeon E5-2699 v3を使う計算ノード3576ノードからなり,NVIDIAのGPUを持つノードとIntel
のXeon Phiを持つノードがそれぞれ178ノード含まれています。また,このシステムには12.4PBのSGIのInfiniteStorage 5600ストレージが含まれています。

  受注額は$30.75Mとのことで,単純に割り算をすると,$7.9M/PFlops,あるいは$7900/GFlopsとなります。ただし,これは12.4PBのストレージを含んでいますし,多分,保守料なども含んだ金額だと思います。


3.SC14でNVIDIAがExaScaleへの道について発表

  2014年12月16日のマイナビニュースが,SC14でのNVIDIAのExaScaleへの道という発表について報じています。それによると,プロセサチップは,現在のGPUのような(ただし,倍精度演算器は16個と少ない)スループット最適化されたコア(Throughput Optimized Core)512個とCPUのようなレーテンシ最適化されたコア(Latency Optimized Core)8個,メモリコントローラは8個,NICは100GB/sのものを4個搭載し,7nmプロセスで製造され650mm2とのことです。クロックは1GHz,電源電圧は0.65Vで消費電力は230Wという見積もりです。メモリにはHBMを使い,バンド幅は4TB/sとのことです。

  このチップの演算性能は16TFlopsで,この計算ノードをキャビネットに384個収容し,200キャビネットで,1.3ExaFlopsを23MWで実現するという目論見です。

  このためにはエネルギー効率を25倍に引き上げる必要がありますが,7nmテクノロジだけでは4倍程度の改善しか得られません。ということで,回路やアーキテクチャの6種の改善案を示していますが,その内容はマイナビの記事を参照して戴くということで,ここでは割愛します。

  そして,このアーキテクチャでのHPLとDoE指定の6種のミニアプリの性能を評価した結果,効率の改善は13倍から30倍に分布していて,4つのアプリでは目標の25倍を超えますが,3種のアプリでは25倍に届かず,更に努力が必要という結論です。
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