最近の話題 2015年1月24日

1.Oracleが低価格データセンターサーバを発表

  これまでOracleは,ExaDataなどの高性能,高価格のデータセンター機器を提供していたのですが,今回,X5と呼ぶ低価格の機器を発表したと,2015年1月21日のThe Registerが報じています。

  旧Sunのプロセサやサーバの開発部隊が
Oracleのデータベースソフトが効率良く動くアーキテクチャのサーバハードウェアを作り,それを活かすようにデータベースをチューニングするというコデザインで,コストパフォーマンスの高い高性能のサーバを提供してきたOracleですが,多くのユーザはCISCOのUCSのような安いサーバに行ってしまうということから,やはり,安いものを買うという市場に攻め込む必要があるとEllison CEOが宗旨替えをしたとのことです。

  サーバで見ると,27台のCISCO UCS M4ブレード(合計972コア)の値引き後の値段は$912Kで年間の保守料が$62Kですが,Oracleの27台のX5サーバ(合計972コア)は正価で$562Kで,年間の保守料は$22Kとのことです。また,ストレージやソフトも安く,18TBのストレージが,CISCOはディスカウント値段で$104Kに対してOracleの正価は$46K,ソフトもLinux OSとVMM,と管理ソフトがCISCOは$265K+年間166Kの保守料ですが,Oracleはソフトはサーバに付属でタダ,保守料が年間$45Kとなっており,全体ではOracleは正価で$608Kに対してCISCOは値引きしても$1281K,保守料はOracleが$73K/年に対してCISCOは$200K/年となっており,Oracle X5を正価で買ったとしても半値以下という安さです。

  コストパフォーマンスの高いシステムの方が一定の処理を行うためのコストは安いのですが,それはシステムがフルロードで動いている場合の話で,処理する仕事が少ないときには,性能が高い必要はなく,高性能,高価格のシステムの処理コストは高くついてしまいます。こういうことを考えると,やはり,安いシステムにお客が集まるというのは避けられないと思います。
  

  当然,Oracleも対抗してくると思われ,ユーザとしては望ましい状況になりそうです。

2.Windows 10は無料配布

  2015年1月21日のThe Registerが,Windows 10はリリースから12か月は無料でダウンロードできるようになるというMicrooftの発表を報じています。ただし,Windows 7,windows 8.xあるいはWindpws Phone 8.1を使っていることが条件です。そして最初の12か月にダウンロードしたWindows 10は,その機器では,その後もサポートが受けられて継続して使えるとのことです。

  無料配布はAndroidやiOSに対抗して,Windowsのシェアを上げることには貢献すると考えられますが,しかし,Windows OSのライセンスはMicrosoftの収益の大きな部分を占めており,少なくとも短期的には売り上げの減少要因です。また,長期的にもペイするかどうかは難しいところです。そして,これまでは新しいWindowsのリリースと同時に,新しいOSを快適に動かすハードが売れるというサイクルでPCビジネスは動いており,Windows 7を使っていたハードウェアでWindows 10が動くとなると,PCの売り上げをブーストする効果は無く,ハードメーカーにとってはメリットがありません。

  Microsoftは,Windows Phone 8.1でCortanaの提供を開始しましたが,CortanaはBingの検索サービスを使っており,或る意味ではBingのフロントエンドになっています。Microsoftは,このように,処理の実体はクラウドで手元のデバイスは,フロントエンドという考えを進めており,一つのOSがPCでもタブレットでもスマートフォンで使えるようになるとのことです。

  
OSの実体はクラウドのサーバで動けば,タブレットで実行していた状態を,そのまま別の場所にあるPCに移動して実行するようなことが可能になります。Microsoftは,PCやタブレットのOSを無料にして,サーバで動かす機能を充実して,そこからお金を取るというビジネスモデルを志向しているのではないかと思われます。

  そしてOfficeなども
一つのアプリがどのシステムでも使えるというUniversal Appsになるとのことです。他社のアプリ開発者にも,同じように,一つのアプリがどのシステムでも使えるという開発を推奨して行くとのことです。

  Windows 10のプレビュー版は昨年9月から提供されており,既に170万コピーがベータテストとして使用しているとのことです。
しかし,Windows 10の正式版が何時,提供されるかは発表されませんでした。

3.MicrosoftがHoloLensを発表

  2015年1月21日のThe RegisterがMicrsoftのゴーグル型のデバイスHoloLensの発表を報じています。HololensはCPUとGPU,そしてHolographic Processorと呼ぶ第3のプロセサを内蔵しており,透明のレンズ面にホログラムを表示する機能をもっています。そして,Windoes 10のHologramatic APIでサポートされ,音声コマンドでホログラムを操作することができるとのことです。

  また,HoloLensはユーザの瞳を追跡し,見ている場所にカーソルを移動することができます。更に,腕や指の動きを追跡することもでき,指や手の動きで,ホログラムを動かすこともできます。

  ただし,デモに使用されたHoloLensは,エレクトロニクスや電池を収容すると見られる15cm×30cmで厚みが5cm程度の大きな弁当箱が付いており,ゴーグル自体も如何にも試作品という感じで,商品化には距離がありそうという感じだったそうです。

  HoloLensのデータを変換して3Dプリンタに出力することもでき,発表の会場ではHoloLensを使ってドローンを3Dプリントするデモを行ったとのことです。そして,事前にプリントして作ったドローンを飛ばして見せたそうです。

  このHoloLensの開発にはNASAのJPLが協力しており,JPLはCuriosityローバーが測定した火星の地形データをホログラムにして地図を作り,7月末までに,この地図でローバーを制御できるようにするとのことです。

  Google Glassはプライバシー保護の点から,一般販売は取りやめになってしまいましたが,HoloLensはプライバシーの問題はなく,純粋に使い勝手が評価されることになると思われます。なお,HoloLensはメガネが透明でGoogle Glassのように周囲が見えないということはなく,MicrosoftはKinectでノウハウを貯めているので,トライアルを行った記者は,使いやすそうと書いています。

4.Amazonがネットワークチップの会社を買収

  2015年1月22日のWallstreet Journalが,AmazonがイスラエルのAnnapurna Labを買収すると報じています。Annapurnaは,何を開発しているかを全く発表しておらず,従って,なぜ,Amazonが買収するのかも不明なのですが,Annapurnaの創立者のAvigdor Willenz氏はGalileo Technologiesというネットワークの通信チップを開発する会社を作り,2000年にMarvelに$2.7Bで売却したという経歴の人で,Annpurnaもネットワーク関係のLSIを開発していると見られています。

  データセンターの運用コストを下げられる中級のネットワークチップを開発しているという関係者の話もあり,AmazonはAWSのデータセンターの運用コストを下げるという観点で,独自の通信チップの開発に乗り出すというのは有り得る話です。2015年1月23日のThe Registerの記事では,サーバなどのコストは下がっているのに通信のコストは上がっており,ネットワークコストの改善が一番の課題というAWSの関係者の発言が紹介されています。

  買収価格ですが,Wallstreet Journalの記事では関係者の話として$350Mから$375Mと報じられています。

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