最近の話題 2015年2月7日

1.ARMが最上位のCortex-A72コアを発表

  2015年2月3日のEE Timesが,ARMの最上位コアCortex-A72の発表を報じています。また,Mali-T880 GPU,CoreLink CCI-500も同時に発表されました。

  A72は,現在のスマホの主流の32ビットアーキテクチャのCortex-A15と比較して,75%少ない電力で,性能は3.5倍とのことです。また,現在の最上位のA57の2倍の性能で,電力は半分という報道もありますが,A72の詳しい仕様は明らかにされていません。また,Mali-T880は4Kビデオを120fpsで処理できるとのことです。キャッシュコヒーレントなインタコネクトであるCCI-500は,従来のものと比べて2倍のバンド幅を持ち,30%性能が向上しているとのことです。

 そして,A72はA53とペアにしてbig.LITTLE構成を組むことができ,2016年のスマホとしては,これを4ペア搭載し,消費電力は2〜2.5Wといった感じになると述べられています。

 また,HiSilicon,MediaTek,Rockchipなど10社以上が既にA72のライセンスを受けているとのことです。A72はTSMCの16nm FinFETの16FF+で物理設計を行ったPOP IPとしても提供され,このPOPを使えば2.5GHzクロックで(消費電力的に)連続動作できるそうです。


2.RadioShackが倒産。Sprintが最大1750店舗を利用

 TV,オーディオ機器,携帯電話,ディジカメ,PC,タブレットなどと並んで,電子部品や電子工作などを販売してきたRadioShackですが,遂に,2015年2月5日にChater 11に基づく破産を裁判所に申請しました。現状で,全米に4000店舗をもち,ちょっとしたショッピングセンターには必ずあるというお店で,ちょっと部品やケーブルなどが足りないときには重宝なお店です。

 昔のPCの初期のころには自前のTRS-80というコンピュータを発売し,Apple 2やCommodore PETなどと競い,お店も賑わっていたのですが,私の場合は,最近では買いたい商品もなく,前を素通りする店になってしまいました。

 そして,最近では11 4半期連続赤字という苦しい経営が続いていましたが,昨年11月には,資産が$1.2Bに対して,負債が$1.39Bと債務超過に陥り,遂に倒産ということになってしまいました。昔は結構利用させて戴いたお店で,無くなるのはちょっと淋しいものがあります。

 4000店舗のうち,1500〜2400店舗は,RadioShackの最大の株主であるStandard Generalの子会社のGeneral Wirelessが買い取るという方向で話が進んでいます。また,General WirelessとSprintの間で,最大1750店舗に,1/3の面積を占めるSprintの製品とサービスを販売する店内店舗を設置するという方向で話が進んでいます。現在,Sprintのショップは1100店舗なので,この取引が成立すれば,Sprintのショップ数は倍増かそれ以上となりそうです。ソフトバンク傘下のSprintの反転攻勢となるかどうかが注目されます。

 なお,General Wirelessに買い取られない店舗は閉店になるとのことです。

3.Intelのシリコンフォトニクスは遅延か

 2015年2月4日のThe Registerが,インテルのシリコンフォトニクスは,最初の試作品は指定の温度範囲での動作ができず,作り直しが必要になっているとのことです。なお,問題の原因は判明しており,現在,修正を組み込んでいるところだそうです。

 Intelは2013年4月のIDFで100Gbit/sの光伝送をデモし,今頃は。製品を出荷しているという計画であったのですが,この作り直しのため,光モジュールの出荷は2016年にずれ込むとのことです。

4.Turingの暗号解読ドキュメントを発見

 2015年2月4日のThe RegisterがAlan Turingの暗号解読ドキュメントが発見されたと報じています。

 情報理論の巨人であるAlan Turingが,2次大戦中は,Bletchley Parkでドイツ軍の暗号解読にあたっていたことは有名ですが,解読に使われたマシンやドキュメントは,秘密を保持するために,戦後に全て廃棄することになっており,殆ど,遺物が残っていません。

 しかし,Turingが取り組んでいたドイツ海軍のエニグマ暗号の解読に使ったドキュメントがBletchley Parkの建物の屋根で見つかったとのことです。どのような順に同じシンボルが出てきたかに従って,紙に穴をパンチし,2枚の紙を重ねて穴が一致すれば,解読の手がかりが得られるというTuringが考案した解読法に使われたもので,当時の貧弱な建物で,吹き込む隙間風をふさぐために,不要になったパンチ紙を屋根の穴に詰め込んだものが,大改修の際に発見されたのだそうです。

  発見されたのは2013年9月だそうですが,この度,解禁になり,Bletchley Parkで,来月から展示されるそうです。



  
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