最近の話題 2015年3月7日

1.IBMがDeep-LearningのAlchemyAPIを買収

  2015年3月5日のEE Timesが,IBMがAlchemyAPIを買収し,同社のDeep-LearningをWatsonに適用すると報じています。同社は,クラウドベースの非構造データの分析やリアルタイムデータ分析の機能を提供している会社で,IBMはAlchemyAPIのDeep-LaerningとWatosonの認知能力を組み合わせて,サービスの高度化を図るとのことですが,具体的にどのような機能が提供されるかは明らかにされていません。

 しかし,Watsonの一つの問題は,知識の入力であり,これがDeep-Learningで効率化できれば,急速に適用範囲を拡大することが出来そうです。いずれにしても,マシンがやれる知的作業が拡大していくことは間違いなさそうです。


2.大リーグ(MLB)もスパコン

  モータースポーツの分野では,F1レーシングチームがスパコンを所有して,空力の解析を行うことは一般化して来ていますが,昨年の春に,CrayのUngarro社長が野球の大リーグチームが同社のビッグデータ用のスパコンであるUrikaを買ったことを明らかにしたとのことです。
  
  2015年3月3日のHPC Wireがフォローの記事を載せていますが,どこのチームがUrikaを買い,どのように使っているかは明らかにできないとのことです。スポーツ放送のESPNは,データを最も多用しているのはヒューストンAstrosで,Astrosが買ったと推測していますが,Crayの広報のNick Davis氏によると,Urikaを買ったのはAstrosではないとのことです。

 しかし,プロ野球もスパコンを使ってビッグデータを処理して,戦術を決めるという時代に入ってきたのでしょうか。Davis氏によると,Urikaを買ったチームは昨シーズンより勝率が上がったとのことです。

3.IntelがX3-C3000シリーズの新Atomを発表

  バルセロナで開催されたMobile World CongressでのIntelの新Atom X3 C300について,2015年3月2日のPC Watchが報じています。

  SoFIAという名前で開発されてきたこのチップは,IntelのSilvermont x86コアとARMのMali GPUを組み合わせ,さらに,ビデオのエンコード,デコード,セルラーのベースバンドモデムなどを集積しています。ということで,基本的にはこのチップ1個でスマホができるというチップになっています。低価格のボリュームゾーンのスマホ向けの製品で,製造コストを下げるために,Intelのファブではなく,他社の製造とのことです。(つまり,IntelのFabは性能は良いかもしれないが,高いと認めている)

  製品としては,x3−C3130,x3−C3230RK,x3−C3440の3種があり,C3130は2コアでクロックは1GHz,GPUはMali MP400 MP2に対して,C3230RKは4コア,1.2GHzで,GPUはMali 450 MP4とCPU,GPUともに2倍以上に能力が上がっています。最上位のC3440は4コア,1.4GHzで,GPUはMali T720 MP2となり,前2者はOpenGL Es2.0ですが,C3440はOpenGL ES3.0をサポートしています。

 それからC3130とC3230RKは3Gのモデムですが,C3440はLTEをサポートしています。プロセサのアーキテクチャはx86ですが,C3000ではOSとしてはAndroidだけのサポートとなっています。

 Krzanich社長は6〜8週間でSoFIAを組み込んだ製品が市場に出てくると述べています。
 

4.Intelがx5,x7シリーズの新Atomを発表

  2015年3月2日のPC WatchがCherry Trailのコード名で開発されてきたAtom x7/x5シリーズの新Atomの発表を報じています。前述のx3より上位となるこれらのチップは,Intelの14nmプロセスで製造されます。

  CPU側は現在のBay Trail(Atom Z3700)とアーキテクチャ的には殆ど変っておらず,22nmから14nmプロセスにシュリンクされたのが大きな改良です。一方,GPU側は,プロセスの微細化に伴い,4EUから最大16EUと大幅に演算能力が強化されています。

  CPUコア数は全ての製品で4コアですが,x5-8300は1.84GHzクロック,x5-8500は2.24GHz,x7-8700は2.4GHzとなっています。GPUはx5-8300は12EUで500MHzクロック,x5-8500は12EUで600MHzクロック,x7-8700は16EUで600MHzとなっています。

  メモリは,x5-8300はDDR3L 1600 1チャネルに対してx5-8500とx7-8700はLPDDR3 1600を2チャネル持っており,x5-8300に比べてメモリバンド幅が倍増しています。

 x3と違って,x5,x7はベースバンドモデムは内蔵しておらず,XMM7260や,今回のMWCで発表されたXMM7360と言った外付けのモデムを使う必要があります。ということで,x5,x7はより単価が高く,性能を必要とするタブレットが中心で,200ドル以下となる小型のタブレットやスマホはSoFIA(x3-C3000)でカバーするという使い分けを意図しています。

 これらのチップを登載した製品は今年の前半に市場に出てくるとのことです。

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