最近の話題 2015年5月30日

1.Avagoが$37BでBroadcomを買収

  2015年5月28日のEE Timesが,Avago TechnologiesがBroadcomを買収と報じています。現金$17B,Avagoの株式$20Bという巨額の買収です。Avagoは,元々はHPの半導体部門で,HPの分割で誕生した会社で,光や無線のアナログ的な部分に強い会社です。一方,BroadcomはEthernetスイッチやネットワークプロセサなどディジタルSoCに強い会社で,同じ通信関係ですが,製品のオーバラップは殆ど無く,非常に良い組み合わせとみられます。

  売り上げは,Avagoが$4.3B,Broadcomが$8.4Bで,会社の規模はBroadcomの方が2倍程度大きいのですが,豊富な手元資金を持つAvagoは,このところ,LSI Logic,PLX Technologies,Emulexと立て続けに買収を行っています。両社の売り上げを合計すると,Qualcommに次ぐ業界第6位の半導体メーカーとなると見られます。

  買収には,両社の取締役会は賛成していますが,両社の株主総会での承認と当局の承認が必要なので,買収の完了は2016年4月を予定しています。Avagoが買収するのですが,会社名はBroadcomを存続させ,AvagoのCEOのHock Tan氏が新会社のCEOとなり,Boradcomの創立者の一人で顔でもあるHenry Smueli CTOが新会社のCTOとなる予定とのことです。

2.GoogleがAndroid Mを発表

  あちこちで報道されていますが,ここでは全貌が良くまとまっている2015年5月28日のThe Registerの記事をベースにAndroid Mの新機能を紹介します。

  第一はAndroid Payで,主要なカード会社と提携しており,全米の70万店以上の店で使えるようになるとのことです。NFCを使って通信するので非接触で支払ができます。支払いにはVirtual Account Numberが使われ,クレジットカードの番号などは含まれないので安全性が高いとのことです。

  第2は指紋認証を用いるセキュリティーで,スマホやタブレットを使ったり,支払を承認したりする場合に,指紋を確認するようになるとのことです。

  第3は,アプリが使用するデータやハードウェアをきめ細かく制御できる機能が入ったことです。この指定は,何時でも変更することが出来ます。

  第4はバッテリ寿命の改善で,モーションセンサーからの信号で,機器を使っていないと判断されると電源を切ってしまう機能が入りました。Nexus 9タブレッドではバッテリ寿命が2倍になったとのことです。また,USBのType-Cコネクタの採用で充電時間も短縮できるとのことです。

  第5はNow on Tapで,何かの操作をしているとき,ホームボタンを押すと,それに関連した情報がポップアップで表示される機能がサポートされます。どのような情報を必要としているかの判断にはGoogleのサーバ上で動くAIが使われます。

 開発者用のシステムはリリースされていますが,Android Mの正式版が何時になるかは,発表されませんでした。

3.SRCのFPGAボードをHP Moonshotが採用

  2015年5月28日のEE Timesが,HPのMoonshotサーバのプロセサボードとしてSRC ComputersのSaturn 1が採用されたと報じています。

  Staturn 1は,2個のAltera Stratix IV 530 FPGAと4コアのAtomチップを搭載し,消費電力は45Wとのことです。SRC ComputerはCarteと呼ぶC言語記述からFPGAのプログラムを生成するコンパイラを持っており,これでアプリケーションの核となる部分をFPGAに実装することで,高い性能とエネルギー効率を実現するとのことです。

  SRC社は1996年にSeymour Crayによってつくられた会社で,FPGAベースのコンピュータを主に軍用に販売してきたのですが,データセンターにも販売するという風に方針を転換し,このMoonshotのモジュール以外にも1Uサーバなども計画されているとのことです。

4.米国は北朝鮮の核施設にもStuxnet攻撃を仕掛けていた

  2015年5月28日のReutersが,米国のNSAが,イランのウラン濃縮施設を破壊したStuxnetウイルスと類似のウイルスを使って北朝鮮のウラン濃縮施設にサイバー攻撃を仕掛けたが,失敗したと報じています。攻撃を仕掛けた時期は2010年で,イランへの攻撃と同じころとのことです。

  Stuxnetは,ドイツのシーメンスが開発したWindows上で動く制御プログラムを誤動作させるウイルスで,イランの場合は,機器の供給メーカーなどの従業員をスパイに仕立てて,ウイルスを持ち込ませたと見られています。

  北朝鮮はイランの技術を導入しており,ほぼ同じウイルスで遠心分離機を破壊できると見られますが,インタネットが普及しているイランと異なり,インタネットはごく一部のエリートだけがアクセスでき,パソコンを所有するのに警察の許可が必要な北朝鮮では,ウイルスを核施設内部に持ち込めなかったために攻撃は失敗したと推測しています。北朝鮮では,ウイルスを持ち込んだ後,すぐに国外に脱出することも難しいので危険が大きく,寝返る人を得るのが難しいという事情もあると推測されています。

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