最近の話題 2015年7月4日

1.Google Photosが黒人カップルの写真をゴリラと判定

  2015年7月1日のForbesなどが,Google Photosがアップされた黒人カップルの写真をゴリラ(Gorrilas)とタグ付けし,投稿者がクレームを付けたと報じています。Googleの担当者は,これは100%不適当と謝罪し,このタグ付けを即刻修正したとのことです。なお,2015年7月2日のPetaPixelの記事には,この写真のスクリーンコピーが載っていますが,後ろの男性はシャツを着ており,体型もゴリラ的ではありません。普通の人間が見ればゴリラの写真とは判定しないと思います。

  ディープラーニングの発達で,画像認識システムの性能は大幅に改善し,Googleの画像認識エンジンの誤答率は世界でもトップクラスですが,このような誤認識を完全に防ぐことはできていません。多くの場合,判定が多少間違って,不適当な写真がサーチ結果に交じっても,見る人間が無視してしまうので問題になることは少ないのですが,このような人を侮辱するようなことになってしまうと大きな問題になります。

  Forbesによると,Google Photosは,最近まで白人の顔を犬やアザラシと間違えていたり,Flickrも人の顔を動物とかサルとか判定したりしていたとのことです。また,HPの顔トラッキングが白人女性の顔は容易に認識するのに,黒人の顔は見つけられず,人種差別と非難されるなど,これまでにも幾つも問題例があるとのことです。

  Deep Learningも,まだまだ,人間の認識能力には追い付けていません。また,人間は人間を見る場合は,画像以外の多くの情報も含めて判断していると思われ,より広範な情報を入力する必要もありそうです。

2.IntelのRenee James社長が辞任

  あちこちのメディアで報じられていますが,例えば2015年7月2日のEETimesが,IntelのRenee James社長の辞任を報じています。James氏は,Krzanich CEOに次ぐIntelのNo.2 で,Fortuneのビジネス界でもっとも力のある女性のリストの21位に選ばれています。

  辞任の理由は,他社のCEOに就任するためとのことで,自発的な辞任です。ただし,現時点では,どこのCEOになるのかは明らかにされていません。

  James氏の辞任により,当面は,テクノロジと製造部門,そして人事部門は,Krzanich CEOに直接レポートすることになるとのことです。

  Renee James社長は次期CEOの有力候補と見られていましたが,他社に出てもNo.1のCEOになりたかったようです。過去にも,Itelでは,CEO候補と目されていたCTOのPat Gelsinger氏が,EMCのCEOになるために辞任したことがありました。

3.IBMの半導体部門の売却?が完了

  2015年7月1日のEE Timesが,IBMの半導体部門のGlobal Foundriesへの売却に関する当局の承認が得られ,売却を完了したと報じています。IBMが半導体工場や従業員を譲渡し,さらに,$$1.5BをGlobal Foundriesに払うという取引で,これを売却と呼んでよいのか疑問なので?を付けました。

  また,同時に,IBMの持っていた1万件以上の半導体関係の特許も,Global Foundriesに譲渡されます。そして,今後10年間,Global FoundriesはIBMに対する半導体プロセサテクノロジの独占供給権(あるいは提供義務)を持つという条件がついています。

  IBMのEast FishkillとBurlingtonのファブは2013年,2014年で約$700Mの赤字で,レイオフや工場閉鎖は行わないとのことなので,$1.5Bは2年程度の赤字の補てんということでしょうか?

4.クラウドインフラの売り上げは前年同期比25%アップ

  2015年7月3日のThe Registerが,クラウドインフラの売り上げに関するIDCの調査結果を報じています。それにようると,2015年1Qのサーバ,ストレージ,スイッチなどのクラウドインフラの売り上げは$6.276Bで,これは前年同期の$5.017Bから25.1%アップとのことです。

  売り上げトップはHPの$985M,2位がDELLの$745M,3位がCISCOの$582M,4位がEMCの$450Mと続いています。しかし,ODM Directに分類されているメーカーが$1808M,Othersが$1207Mで,合計の約半分がODMとOthersです。大手のデータセンターはHPやDELLなどの大手メーカーの機器を買うのではなく,独自仕様で作らせたQuantaやInspurの機器を大量に買うという調達になっており,ODMやOthersが半分を占める原動力になっています。

  クラウドデータセンタ向けのマザーボードむき出しで,必要な機能だけが搭載されているサーバは$500〜$700程度と言われ,大手メーカーのサーバよりもかなりコストが安いので,この傾向は続くのでしょうね。

5.AMDのFury XはFP64を保持

  2015年6月24日のSemiAccurateの記事で,Thomas Ryan氏が,NVIDIAのMaxwellアーキのGM200 GPUは,チップ面積削減のため,大部分のFP64(64bitの倍精度浮動小数点演算)の機能を削除しているが,AMDのFury XはFP64の機能を保持していると書いています。

  Fury Xの単精度浮動小数点演算性能は8.6TFlosですから,倍精度浮動小数点演算では4.3TFlopsの性能を持っているようです。NVIDIAのMaxwellは倍精度のサポートがほぼゼロで,現有のTesla製品はKeplerアーキのGK210を2個搭載したTesla K80でも,ベースクロックでは1.87TFlops,ターボでも2.91TFlopsとかなり苦戦です。。

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