最近の話題 2015年9月5日

1.64コアARMのPhytiumは广州飞腾信息技术有限公司

  2015年9月2日のEE Timesが,Hot Chipsで64コアARMを発表したCharles Zhang氏を取材した記事を載せています。それによると,Phytiumは中国の国営の巨大なChina Electronics Corpの社内のスタートアップであるとのことです。

  そして,東大の平木先生から,Phytiumの中国名が广州飞腾信息技术有限公司であると教えて戴きました。確か飞腾はFei Tengというプロセサを作っていて,FT-1000はSPARC V9アーキで,天河1Aのクラスタサブシステムに使われていました。後継のFT-1500というプロセサも作ったのですが,その後のFT-1500AからはARM v8アーキテクチャに乗り換えたようです。

  Hot Chipsで発表したMarsチップのXiaomiコアですが,スマホのXiaomiとは無関係で,自分たちの子供のように思っており,開発メンバーの子供のニックネームから付けたとのことです。大企業がバックについているという推測は正しかったのですが,それはスマホの小米ではありませんでした。

  現状は,論理設計ができ,物理設計を行っている段階で,今年末までにテープアウトしたいとのことです。Phytiumは,どこのFabを使うのか発表していませんが,中国のFabの28nmプロセスはまだ成熟していないので,国外のFabを使うそうです。

  そして,現在,国内のサーバメーカーにMarsを売り込んでいて,良い感触を得ているそうです。

  また,Marsについてはマイナビに私の記事があります。

2.IntelのKnights Landingは72コアとI/Oを6×9のメッシュで接続

  2015年9月4日のマイナビがHot Chips 27でのIntelのKnights Landingの発表を報じています。従来からKnights Landingは72コアと言われていたのですが,Intelは公式にはコア数を発表していませんでした。それが今回のHot Chips 27の発表で72コアであることを明らかにしました。

  2コアをまとめてL2$を共有するタイルということは以前から公表されており,36タイルなので6×6かと思っていたのですが,蓋を開けてみると,6×9の54タイルという構成でした。

  36プロセサタイルに,MCDRAM接続に8タイル,DDR DIMM接続に2タイル,PCIeとDMIポートに4タイル,その他の雑回路に2タイルで,合計52タイルを必要とします。この計算で余る2タイルは歩留まり改善などに使うスペアプロセサと思われます。

  Knights Landingは各コアがOSを動かせるコアになり,CPUとアクセラレータが本当に同じメモリを使うことになります。このため,GPUのように,CPUメモリとGPUメモリの間でデータをやり取りする必要が無くなり,PCI Express経由の転送のボトルネックが無くなっているのが大きな改善です。

3.IntelがSkylake 46品種を発表

  2015年9月2日のSemiAccurateがIntelのSkylakeの46品種の発表を報じ,それらのchipの諸元をまとめた表を掲載しています。TDPは,デスクトップ版は65Wと35W,モバイル版は45W,28Wと15W,さらに4.5WのCore mがあり,10倍以上の電力レンジをカバーしています。しかし,ダイは6種類で,フューズで機能を殺したりすることでバリエーションを作っているとのことです。

  SkylakeのIPCの改善は,2世代前と比べて10%程度しかありません。そして,Haswellが最高4.4GHzクロックであるのに対してSkylakeは4GHzであるので,IPCの改善を相殺してしまいます。

  辛口のコメントで知られるCharlie Demerjian氏の記事ですが,SkylakeはHaswellより遅く,Skylakeを買う理由は無いと述べています。

  Skylakeのグラフィックスは改善されているのですが,まともなゲーマーは内蔵グラフィックスなんかは使わないので,Charlieは,これは大きなメリットにはならないと書いています。

4.QualcommのSnapdragon 820はぶっちぎりの速さか

  2015年9月4日のThe InquirerがSnapdragon 820のベンチマーク結果のリーク情報を掲載しています。Qualcommの独自開発のKyroコアとAdreno 530 GPU,Hexagon 680 DSPを搭載するSnapdragon 820は,現行世代の810の2倍の性能/電力とのことです。これにはSamsungの14nm FinFETプロセスの採用が効いていると考えられます。

  そして,AndroidのベンチマークであるAnTuTuベンチマークのスコアが83,774とのことです。このリーク情報が正しければ,The Inquirerのオフィスにあるデバイスで一番速いNVIDIAのShieldタブレットの40,750の2倍を超える驚異的な性能です。

  今回のHot ChipsでHexagon 680が発表されましたが,Kyroコアを含むSnapdragon 820全体の発表はありませんでした。



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