最近の話題 2015年11月28日

1.Global Foundriesが身売りか?

  2015年11月26日のEE Timesが,Bloombergの報道を引いて,Global Foundriesを所有するアブダビの国家の投資機関であるMubadala Developmentsが,Global Foundriesの買手の候補と接触していると報じています。

  昨今,原油は1バレル$40程度で,一番高かった$100超の時期と比べると半分以下で,アブダビの財政も厳しくなってきていることは想像に難くありません。しかし,ここで手放せば,原油の枯渇に備えて新たな産業を作るというビジョンは実現できません。

  Global Foundriesを売れば$15B〜$20Bになると見られており,長期ビジョンより,短期の現金ということでしょうか。

2.SK HynixはTsinghua Unigroupの出資を拒否

  2015年11月26日のEE Timesが,韓国のメモリメーカーのSK Hynixが中国のTsinghua Unigroupからの出資の打診を拒否したと報じています。打診はSK Hynixが中国に建設するFabでNAND Flashを作るようにすることを要求し,それに対してSK Hynixの20%の株を約$5.3Bで買収するというものだそうです。

  Tsinghua Unigroupは7月にはMicronを$23Bで買収する提案をしたのですが,Micronに拒否されており,つぎのターゲットを探しているようです。なお,Tsinghua Unigroupは実質国営企業で,NAND Fabを手に入れるのは中国の国策のようです。

  また,Tsinghua Unigroupは日本のルネサスにも食指を動かしているという報道もあります。

3.SamsungがTSVを使うDDR4チップの量産を開始

  2015年11月26日のThe Inqirerが,SamsungのTSVを使ったDDR4メモリの量産を報じています。基本的に,従来は少しずらせて4枚のDDR4チップを重ねて,ワイヤボンドで接続していたものを,ワイヤボンドの代わりにTSVで下のチップを貫通してパッケージに接続したというものです。

  8Gbitのチップ4枚をTSVで接続して4GBのDRAMを作り,それをDIMMに36個搭載して128GB+チェックビットというモジュールを作っています。接続配線がワイヤボンドに比べて短いので寄生容量が小さく,その分,消費電力が減り,最大2400Mbpsまで動作するとのことです。

  TSVの接続本数も多くないので,製造歩留まりも高く,ワイヤボンドと比べてあまりコストアップにもならないのでしょうか?

4.SugonのRobo Blade

  SC15で展示されていたSugonの浸漬液冷のRobo Bladeを,2015年11月18日のHPC Wireが報じています。今回のSC15の展示では液冷のサーバが花盛りで,大部分のサーバメーカーのブースには1台は液冷のサーバが展示されているというという感じでした。

  このSugonのRobo Blaseは30枚のBladeを収容する箱があり,底にバックプレーンがあり,垂直にBladeが刺さっています。そして,Bladeが浸かるように,3MのNOVECが満たされており,これで沸騰冷却を行います。沸騰冷却は効率が良いのですが,気化したNOVECを逃がさないように箱を密閉する必要があり,保守がやり難いのが難点です。

  このSugonのRob Bladeは走行するロボットハンドが指定されたBladeを掴んで引き抜き,それを水平に向きを変えて前面側に運びます。前面には2重ドアのような機構があり,NOVEC蒸気を逃がさないようにしてBladeを取りだ得るようになっています。HPC Wireの記事では,5分以下で完全に乾燥したBladeが出てきたとのことです。

  液体が入っていることを別とすれば,昔のジュークボックスのような感じです。まず,垂直に引き抜くので,箱の高さとしては,Bladeの2倍あまりの高さが要ります。また,ロボットはケーブルの抜き差しはできないので,ブレードはバックプレーン側だけで全ての接続ができる構造にしておく必要があります。

  なお,Sugonは以前はDawningと称していた会社で,中国名は曙光のままです。



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