最近の話題 2015年12 月5日

1.東芝,富士通,VAIOがパソコンビジネスの統合を話し合い

  2015年12月4日の日経新聞などが,東芝,富士通とソニーから別れたVAIOの3社がパソコン事業の統合の話し合いを行っていると報じています。この3社を合計すると,国内では3割程度のシェアとなり,Lenovo/NECを抜いて1位になりますが,世界的には,東芝が2.9%,富士通が1.3%,VAIOは0.04%というシェアで,合計しても4.2%というシェアしかありません。

  大量調達でコストを下げるというPC業界では,この規模ではLenovo,HP,Dellの3強にはとても対抗できません。

  情報の消費はスマホで十分で,最近は通勤電車の中で折りたたんで新聞を読む人を見かけなくなりましたが,この文章や,マイナビの記事を書いたりするのはスマホではやっていられません。しかし,スマホの出現で,パソコンの役割も変わってきているので,それに合わせて魅力ある製品を作って差別化するというような道を探っていかないと,結局,じり貧ということになってしまうのではないかと心配です。

2.新生NXPが12月7日に発足

  オランダのNXPが,米国のフリースケールを買収し,両者が合併する件は,3月に発表されていますが,いよいよ12月7日に新しいNXPが誕生します。

  NXPはPhillips,FreescaleはMotorolaの半導体部門の流れを引く企業で,この両社が合併するのは隔世の感があります。この合併により,自動車向けの半導体の売り上げでは,ルネサスを抜いて世界最大の企業になります。

3.HGSTがHe充填の10TB HDDを発売

  HDDの世界では垂直磁化の後,しばらく新技術が出ず,記憶密度の向上が止まっていましたが,ここ1〜2年,Shingled Magnetic Recordingという技術でトラックピッチを縮めて密度を上げたドライブが出てきました。SMRは書き込みヘッドが書き込む幅よりトラックピッチを小さくして書き込んで密度を上げるという技術ですが,トラックの重なりが同じになる必要があるので,HGSTの最初の10TBドライブは書き込みは1回だけという仕様でアーカイブにしか使えませんでした。

  2015年12月2日のThe Inqurerがブロック単位では書き換えが可能という10TBディスクの発売を報じています。 ブロックの中ではトラックの重なりが同じになるように,シリアルに書き込む必要があり,まず,ブロック全体を読み出して,バッファ上で,書き込みを行う部分を書き換えて,ブロック全体を書き戻すというNAND Flashのような書き込みを行う必要があります。 

  また,この10TB HDDは,プラッタの回転に伴う摩擦を減らすためにヘリウムを充填しており,空気を充填した普通のディスクに比べると,回転を維持するエネルギーが56%減少しているとのことです。

  Heは分子量が小さく抜けやすいので,空気より厳密にプラッタを密閉することが必要になります。HGSTではこれを利用して,ヘリウム充填のHDDを液浸状態でも使用できると宣伝しています。

  SC15では,HGSTはNOVECに漬けた状態の8TBのHe8を展示していました。また,Exascaler社のブースでは,HGSTの8TBのHe8を使う液浸のストレージを展示していました。


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