最近の話題 2016年1月30日

1.GoogleのAlphaGoが碁の欧州チャンピオンに完勝

  2016年1月27日にGoogleは,ディープラーニングを使うAphaGoが,プロ棋士で欧州チャンピオンのFan Hui氏と5戦して全勝したと発表しました。昨年11月に,棋士に勝てるレベルに近づいたと発表したFacebookチームは驚いたでしょうね。

  碁はマス目の数が多く,探索の処理量が多いので,プロ棋士と対戦できるレベルになるのは,まだ,10年はかかると言われていたのですが,それを達成してしまいました。

  AlphaGoは12層のニューラルネットワークで,数100万のニューロンを持つと書かれており,GoogleのCloudで動かしているとのことで,相当な数のプロセサを使っていると思われます。最初は,棋士のプレイを3000万手学習させ,次の一手がプロ棋士の指すのと一致する確率を57%まで高めたとのことです。これまでの記録は44%だったとのことで,プロの一手とかなり近づけました。その後,自己対局を行って勝率を高める強化学習を行いました。

   その結果,複数のコンピュータ碁のトッププログラムとの500回の対戦を行い,499勝という成績を収めたとのことです。そして,昨年10月に欧州チャンピオンと対戦し,勝利を収めたという訳です。この結果は1月27日のNature誌に論文が掲載されるとのことです。

  そして,今年3月に,ソウルで世界最強を謳われるLee Sedol 9段との対戦を行う予定になっています。

2.SamsungがHBM2の量産開始を発表

  2016年1月19日にSamsungは,世界で初めて,4GBのHBM2 DRAMの量産を開始したと発表しました。発表の図ではバッファダイの上に4枚の8Gbitのメモリダイが積層されています。メモリダイには5000個以上のTSVが設けられているとのことです。

  メモリバンド幅は256GB/sで,HBM1の2倍,また,36GBのGDDR5の7倍以上のバンド幅を持っています。また,4GbitのGDDR5と比べると消費電力あたりのバンド幅は2倍になっています。

  また,GDDR5はECCを付けるのが難しかったのですが,このSamsungのHBM2はチェックビットのためのメモリビットが内蔵され,ECCの生成,エラーチェック,訂正が(多分,バッファチップに)内蔵されているので,ECCのサポートは簡単です。

  ただし,HBMではECCビットはプロセサ(あるいはGPU)には送られないので,HBMとGPUの間の伝送エラーはECCでは訂正できません。この部分のエラーはCRCで検出し,再送で訂正することになります。

3.インドが初の64bitのRISC-Vチップの開発に着手

  2016年1月27日のEE Timesが,インド政府のCenter for Development of Advance Computing (C-DAC)のBiju Oommen氏は,RISC-Vアーキテクチャのチップを,70人のエンジニアで作業して30か月でテープアウトする計画です。プロセスノードは不明ですが,2GHzで動作するコアを4コア搭載したチップを開発するのが目標です。これらのエンジニアは8〜32bitのプロセサやSoCなどを手掛けた経験のある人たちですが,ハイエンドのプロセサの開発経験は無いとのことです。ということで,このプロセサは,これまで手掛けたものより複雑と述べています。

  また,インド工科大マドラス校(IIT Madras)のチームは,当初はPowerコアを開発していたのですが,32bitと64bitのRISC-Vに切り替えて,IoT向けのマイクロプロセサを,少なくとも6種開発する計画とのことです。


inserted by FC2 system