最近の話題 2016年3月5日

1.Diffie,Hellman両氏がACM Turing Awardを授賞

  2016年3月3日のHPC Wireが,2015年のACM Turing Awardが,公開鍵暗号を発明したWhitfield Diffie氏とMartin Hellman氏に贈られると報じています。

  公開鍵暗号は,公開鍵で暗号化したテキストは,秘密鍵を使わないと解読できないという暗号で,送り手は,受け手の公開鍵で暗号化して送り,その暗号は秘密鍵を持っている意図した受け手だけが解読できるという暗号で,暗号化と復号化に同じ鍵を使う従来の方式と比べて,鍵の管理が非常に簡単できるようになります。

  Diffie HellmanやRSAなどの公開鍵暗号は広く使用されており,インタネットを使うビジネスの基礎になっています。

2.John McAfee氏がiPhoneをアンロック

  昨年12月2日に発生した銃の乱射で14人が殺害された事件の犯人のiPhoneをアンロックするソフトを要求するFBIと,アンロックできるようなツールとOSを作ることは,プライバシーに対する危険を招くとして,拒否しているAppleの主張が対立しており,解決の糸口は見えませんが,2016年3月2日のThe Inquirerが,アンチウイルス開発のパイオニアであるJohn McAfee氏が,iPhoneのアンロックに成功したと報じています。

  McAfee氏に依ると,アンロックは簡単で30分しかかからなかったとのことです。そして,喜んで,FBIにやり方を教えると述べていますが,今のところ,FBIからのアプローチは無いとのことです。

3.2015年は,半導体ファブのキャパシティーで台湾が韓国を凌駕

  2016年3月1日のEE Timesが,IC Insightsの半導体ファブのキャパシティーの調査結果を報じています。なお,この調査は,ファブの存在している位置で分けており,米国のSamsungのファブは米国に分類されています。

  2015年のキャパは,台湾が21.7%で,韓国の20.5%を押さえて1位になったとのことです。そして,台湾,韓国,日本,中国ののアジア勢は69.2%,北米が14.2%,ヨーロッパが6.4%で,シンガポール,マレーシア,イスラエルなどのその他の地域は10.2%とのことです。その他の地域は2014年の9.6%から0.6%増えており,その分,アジアと北米が減っています。

4.Raspberry Piが64bitに

  2016年2月29日のEE Timesが,Raspbery Pi 3Bが,BroadcomのBCM2837 SoCを採用し,64bit化されたと報じています。BroadcomのBCM2837は4コアのCortex-A53コアを搭載しており,1.2GHzクロックで動作します。

  Rapsberry Pi 3Bは,前世代のPi 2B,初代のPiと同じ85mm×56mm×17mmサイズで,性能はPiの10倍,2Bの1.5倍の性能とのことです。また,BCM2837はマルチメディアコプロセサを内蔵し,1.2Gpixel/sのフィルレートを持ち,OpenGL ES1.1/2.0をサポートしています。そして,シェーダ―は29GFlopsの計算能力をもっています。また,ビデオは1080p60のデコード,1080p30のエンコード能力をもっています。

  更に,3BにはBCM43438が搭載されており,802.11b/g/n,Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energyをサポートしており,IoTにも使い易くなっています。

  お値段は£24.99(約$35)となっています。

5.T-PlatformがMIPSベースのSMARC準拠のボードを発表

  2016年3月2日のEE Timesが,ロシアのT-PlatformのMIPSベースのSoCを使うSMARC(Smart Mobility ARChitecture)V1.1準拠のモジュールの発表を報じています。このMIPSベースのSoCはT-Platformの子会社のBaikal Electronicsの開発したBikal-T1 SoCを使っており,Baikal-T1はMIPSのWarrior P5600コアを使っています。

  Baikal-T1を搭載すSF-BT1モジュールは,10GbE,GbE,USB,PCIeインタフェースとセンサー等を接続するGPIO,UART,I2C,SPIのインタフェースを備えています。消費電力は5Wで,出荷は3Q2016となっています。

  まだ,ボチボチですが,ARM対抗のImaginationのMIPSコアを採用する会社も出てきたようです。

6.Samsungが15.36TBのSSDを出荷中

  2016年3月3日のThe Registerが,Samsungが,昨年8月のFlash Memory Summitで発表した15.36TBのSSDを出荷中と報じています。

  PM1633aと呼ぶこのSSDは256Gbの48層のV-NANDチップを16枚積み重ねて,512GBのパッケージとしています。これを32パッケージ使って15.36TBとしています。

  ランダムReadは200KIOPS,ランダムWriteは32KIOPSで,シーケンシャルアクセスはRead,Writeともに1.2GB/sのバンド幅となっています。書き込み耐性は1Drive Write per Dayとのことです。

  3.5インチHDDの容量が10TBですから,その5割増しの容量で2.5インチサイズですから,HDDと比べて大幅に高密度です。また,競合他社のSSDの容量が4TB程度であるのと比べると,Samsungは1年かそれ以上のリードです。


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