最近の話題 2016年3月12日

1.AlphaGoがLee Se-dol 9段に3連勝して勝利を確定

  GoogleはAlphabetという親会社を作り,そのAlphabetの子会社となったDeepMind社が開発したAlphaGoと呼ぶ碁プログラムが快進撃を続けています。

  昨年10月の試合で,元ヨーロッパチャンピオンのFan Hui氏に5-0で勝利したAlphaGoですが,世界的にトッププロと認められている韓国のLee Se-dol (李 世ドル(ドルは石の下に乙))9段との対戦が行われています。この対局ですが,3月9日の第1戦,3月10日の第2戦ともに李9段が投了し,AlphaGoの勝利に終わりました。さらに本日の第3戦も李9段の投了で終わりました。これで,AlphaGoは3連勝で,残り2戦の結果を待たず,AlphaGoの勝利が確定しました。

  3月10日の日経新聞に井山裕太王座の第1戦のコメントが掲載されていますが,李9段の敗北は想定外で大衝撃と述べています。そして,インタネットで観戦した試合は,トッププロが指しそうな厳しい手の応酬で,李9段にここでこう打てば勝てたという局面は無かった。AIの手には鋭さも冷静さもあり,質の高さを感じたと評しています。

  事前には,5-0で勝利,悪くとも4-1で勝つと豪語していたLee Se-dol 9段としては厳しい状況です。日本の多くのプロ棋士も,事前には同様な予測を述べていましたので,皆さん,AlphaGoを過小評価していたようです。また,Fan Hui氏に勝った時に比べて,強くなり,指し手が変わってきているという指摘もあり,その間の5か月で,AlphaGoは自己対戦などで学習を重ねてきたのでしょうね。

2.Open Compute ProjectにGoogleが参加

  Facebookが主催するOpen Compute Projectに対して,Googleはそれほど熱心ではなかったのですが,2016年3月9日のThe Registerが,GoogleがDC 48V給電のラックの設計を寄付したと報じています。

  Googleは以前から,直流48Vをサーバ等の機器に供給するシステムを開発し,社内で使用してきました。48V側に電池を付けることで,ノートパソコンのように,停電があってもサーバは正常にシャットダウンするまでの期間は動き続けることができるというシステムになっていて,外部に無停電電源を設置するやり方と比べて,データセンタの消費電力を大幅に減らすことができます。また,12V給電よりも48Vの方がロスが少ないというメリットもあります。

  しかし,DC48V動作の機器や,給電システムの部品は,まだ,AC給電用と比べると値段が高く,工事を行える技術者の数も限られているという問題があります。

  GoogleとしてはDC48V給電を用いるラックの設計を,OCPに公開することで,DC48Vシステムを業界標準にし,調達コストを下げようという狙いと思われますが,ひいては世界のデータセンタの消費電力を低減することにも貢献すると考えられます。

3.2015Q4のサーバシェアは,HPEが1位,DELLが2位,IBMが3位

  2016年3月11日のThe Registerが,IDCの昨年Q4のサーバシェアの調査結果を報じています。それによると,1位はHPEで$3.8119B,2位はDellで$2.5587B,3位はIBMで$2.1624B,4位はLenovoで$1.1136B,5位はCiscoで$0.9279Bで,市場全体では$15.305Bとのことです。

  IBMは,x86ビジネスをLenovoに売却したにも関わらず,POWERとZシリーズが大きく伸びて,Q4の売り上げは前年同期比で8.9%の増加です。但し,これらが増加傾向という訳ではなく,昨年全体では一昨年から5.4%の売り上げ減で,前年比ではx86の売却を含みますが,23.8%のマイナスです。

  ARMサーバは前年同期と比較して売り上げは減少とのことで,ARMサーバは伸びていないようです。そして,ARMサーバの大部分は,HPEのMoonshotサーバとのことで,それ以外のメーカーのARMサーバは影が薄いようです。

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