最近の話題 2016年4月16日

1.Microsoftが,新しいワークロードに対応したサーバが必要と主張

  2016年4月15日のEE Timesが,Open Server SummitにおけるMicrosoftのKushagra Vaid氏の基調講演について報じています。

  MicrosoftはデータセンタのサーバにFPGAを付け,Bingの検索処理をFPGAにオフロードする実験的なシステムを構築しましたが,今は大きな変革期に入っており,急進的に新奇なアーキテクチャのサーバが出てくるとVaid氏は主張しています。

  変化の基は,ソフトウェアの変化で,ディープラーニングはデータセンタが処理するべき負荷の性質に大きな影響を与えている。また,ネットワークの仮想化,ストレージ処理,圧縮や暗号化なども大きな負荷になってきている。これらの処理を効率的にこなせるサーバが必要という主張です。

  OLTPの処理や,科学技術計算が無くなるわけではありませんが,これらの新たな負荷が大幅に増えることにより,データセンタの処理の性質は大きな影響を受けます。NVIDIAはディープラーニング用にGPUを売り込んでいますし,前述のように,MicrosoftはFPGAを付け,IntelもXeonとFPGAを同一パッケージに入れたものを出しました。Vaid氏は,GPUはあちこちのメモリをアクセスする用途には向かず,FPGAの方が良い。しかし,IntelのようにCPUとFPGAを同一パッケージに入れると熱が問題で,CPU,FPGAともに十分性能が出せないと主張しています。

  しかし,大手だけでなく,いろいろなスタートアップもこの問題に取り組んでおり,良い解が出てくると期待されます。

2.MicrosoftのAIもまだまだ感

  2016年4月14日のThe Inquirerが,写真を認識してキャプションを付けるCaptionBotの試用結果を載せています。2015年のILSVRCを制したMicrosoftの画像認識Deep Learningですが,この記事のキャプション例に見られるように,The Inquirerの記者からは,あまり良い評価は貰えませんでした。

  一般的な画像認識にBing Image Searchを組み合わせて,さらに,感情認識を組み合わせてキャプションを作っており,Bill GatesやCameron首相を認識しているのですが,まだ,画像認識が弱く,また,あまり常識がないのが弱点のような感じがします。

  先日のChatBotのTayが洗脳されてしまったことと合わせて考えると,大きな進歩を遂げたDeep Learningですが,まだまだという感じです。あなたは,この程度の知性のAIが運転する車に乗る勇気がありますか?

3.Facebookの10年ロードマップ

  2016年4月13日のEE Timesが,FacebookのF8 Developer Conferenceでの10年ロードマップの発表を報じています。CEOのZuckerburg氏が基調講演で発表したとのことです。

  まだ,世界では40億人がInternetへの接続ができない環境にあります。これを解決するために,6万〜9万フィート上空を最大90日間飛行するソーラーパワーのドローンを開発して運用するというのが第1の目標です。多数のドローンを飛行させ,それらを芋蔓でレーザビームの通信路で接続します。このネットワークでInternetへの通信路を作ります。このネットワークはアフリカのサハラ砂漠以南の地域への展開を予定していますが,具体的な日程は発表されていません。

  第2の目標は,より良い情報を提供するAIを実現することで,認識に関しては人間を超える精度のシステムを作り上げることです。画像認識などいくつかの分野では実現しつつありますが,その分野を広げて行くことを考えているようです。

  そして,3番目の目標はAR/VRです。F8では360度サラウンドの3Dビデオを使うVRをデモして見せたそうです。このシステムは高価な開発機ですが,安価に家庭に普及できる値段にし,AR/VRのマテリアルも流通させるというのは技術的な問題の解決より難しそうです。

4.KNL開発システムを$5Kで提供

  2016年4月14日のThe Registerが,IntelのKnight Landingベースの開発システムが,$5Kで提供されると報じています。Ninja Boxと呼ばれるこのシステムは,KNL 1個(Xeonは無し)を搭載する水冷のデスクトップボックスで,Cent OSが載り,IntelのParallel Studio XE Professional Editionの1年間のライセンスがついています。メモリは16GBのMCDRAMと書いてありますが,DDR4は6 DIMMスロットと書いてあるだけで,どれだけ搭載しているのかは不明です。また,ストレージも8xSATA portsとあるだけで,容量は不明です。

  KNL 1個で倍精度で3TFlopsですから,これで$4982.88というのはお買い得です。

  また,4台を搭載するラックユニットは$19,703.14です。どちらもColfaxのサイトからプレオーダを受け付けています。

5.3DXpointは10倍しか速くなかった

  2016年4月15日のThe Registerが,2016年3月31日のZDNetの記事をひいて,Intel/Micronの3D Xpoint NVRAMを使うIntelのOptaneSSDは,従来のNAND FlashベースのSSDと比べて10倍しか速くないと報じています。第7回のNon Volatile Memory WorkshopでのIntelの発表では,製造プロセスは20nmで,1bit/CellのSLCで,これを使うOptane gen 1 SSDは,アクセス時間が7us,70:30のランダムR/W時のIOPSが78,500で,インタフェースはNVMeとのことです。

  Intelは3D XpointはNANDの1000倍速く,寿命は1000倍と宣伝していたのですが,アクセス時間は,せいぜい10倍強速いだけで,The Registerは,1000倍は誇大広告,この分では,寿命の1000倍も疑わしいとけなしています。

6.San Bernardino乱射事件の犯人のiPhoneからは有用な情報は見つからず

  2016年4月13日のCBS Newsが,プロテクションの解除方法の提供で,FBIとAppleが争い,結局,Appleの助けは借りず,外部の会社の協力で解除に成功した乱射事件の犯人のSyed Farook のiPhoneですが,有用な情報は見つからなかったと報じています。

  Farookは3台のセルフォーンを使っており,解読された無傷の1台は雇い主の所有物で,仕事だけに使っていたとのことです。私有の2台のセルフォーンは物理的に破壊し,PCのディスクも潰して読め無くしており,このセルフォーンに有用な情報が残されていなかったというのは当然という受け止め方が一般的です。

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