最近の話題 2016年7月2日

1.Post-KはARMアーキテクチャ

  2016年6月23日のTop500が,富士通のPost-KスパコンはARMアーキテクチャになると報じています。ISC 2016のベンダー発表で,富士通の清水氏が発表しました。また,理研AICSでPost-Kを担当する石川先生もISCでの発表の中で言及しています。

  富士通が京コンピュータで開発したセクタキャッシュなどのHPC向けの機能は,ARMアーキテクチャのHPC向け拡張という位置づけでARMアーキテクチャに取り込んでもらうとのことです。

  ARMはスパコン分野では実績が無いので,ARMアーキテクチャを採用したからといって,富士通に大きなメリットは無いのではないかと思います。ビジネスサーバなら,スパコンよりは親和性のある分野で,富士通としてはビジネスサーバもSPARCからARMに馬を乗り換えることを目論んでいるのではないかと思われます。

  しかし,ARMはビジネスサーバでもそれほど実績がある訳ではありません。ARMと富士通が協力することで,ARMの悲願であるビジネスサーバ分野への進出に弾みを付けようという狙いと思われます。

2.Oracleに$3Bの賠償支払いの判決

  2016年7月1日のBloombergが,カリフォルニア州の地裁が,2011年にOracleが行なったItanium用のソフトウェアの開発中止によってHPEが受けた損失 $3Bを支払えという判決を出しました。

  当時は,IntelのItaniumは,もう,先が無いと見られており,Itanium用のソフトウェアの開発をやめるソフトウェア会社がポツポツ出てきてい るという状態でした。しかし,HPのItanniumベースのハイエンドサーバでOracleのDBが使えないというのは,HPのサーバビジネスには致命的で,契約が継続しているのに開発を打ち切られて損害を受けたとHPが訴えていたものです。

  これに対して,カリフォルニア州の地裁の陪審員は,HPEの訴えを認め,損害額を$3Bと認定しました。もちろん,Oracleは控訴する方針です。

3.Tesla Model Sが衝突し,自動運転車で初の死亡事故が発生

  2016年7月1日のThe Inquirerが,自動運転中のTeslaのModel Sが衝突し,死者が出たと報じています。Brown氏がModel Sを自動運転モードにしてハイウェイを走っている時に,トレーラートラックがハイウェイを横切るように走ってきたのですが,Model SもドライバーのBrown氏もトレーラトラックに気づかず,ブレーキを掛けることもなく,衝突したとのことです。Teslaの機能はLevel 2で,自動運転というより,運転補助のレベルで,本来,ドライバはハンドルを握っていなければならないとのことです。

  不運なことに白いトレーラが,まぶしい背景に紛れて認識が困難だったとのことです。カメラだけに頼らず,レーダーでも見ていれば認識できたのではないかと思います。

  そして,背の低いModel Sがトレーラの下に潜り込み,フロントグラスの部分が直接トレーラの下部にぶつかったことで,Brown氏に致命的なダメージを与えたと見られます。これがトレーラの前方とか後方なら,潜り込むことはなく,死亡事故にはならなかったと見られています。

  Model Sの自動運転はLevel 2で,Public Betaとのことで,Teslaがどこまで責任を負う契約になっているのか分かりませんが,自動運転システムが前方を横切る大型のトレーラトラックを全く認識していなかったというのは問題だと思います。また,ドライバも気が付いていないということは,自動運転に頼って油断があったか,極端に視認が難しい条件であったのかと思われます。

  Googleの自動運転車も軽微な事故は何回も起こしていますが,自動運転車で死者が出たのは初めてです。ただし,自動運転車でなかったら,この事故は発生しなかったとも言い切れない気がします。

4.ISC 2016のStudent Cluster Competitionは南アフリカのCHPCが総合優勝

  ISC 2016で行われたStudent Cluster Competitionは,全世界から12チームが出場して争われましたが,南アフリカの Centre for High Performance Computing (CHPC)のチームが総合優を飾りました。CHPCは,前回総合2位の強豪チームです。

  総合2位は中国の清華大チーム,3位は上海交通大学チームでした。また,LINPACKの最高性能賞は,12.57TFlopsをマークした中国の華中科技大が取りました。女性オンリーのチームとして注目されたNERSCのチームは入賞できませんでした。

5.太湖之光のSW26010は,やはりワンチップ

  読者の竹下さまから,SW26010に関する中国語のWebページ
http://www.cis2016.org/cis2016/zdky/2016-05/03/content_2.shtmlを教えて戴きました。中国語なので良くは理解できませんが,ワンチップに256+4コア搭載されており,3.7Bトランジスタと書かれています。また,チップ写真らしきものも載っています。

  チップサイズは713.1mm2とフロー領域が577.6mm2という数字が書かれています。700mm2を超える数字は大きすぎるので,577.6mm2かなと思っています。







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