最近の話題 2016年7月16日

1.TSMCは5nmノードでEUVを採用

  2016年7月14日のEE Timesが,TSMCは5nmノードからEUVを採用と報じています。共同CEOのMarc Liu氏が決算発表の席で明らかにしたとのことです。

  TSMCは,現在,7nmプロセスを使ってEUVのインテグレーションを進めており,2020年には,EUVはコスト効率の高いツールになると見込んでいます。これはTSMCのロードマップでは5nm世代ということになります。TSMCは4台のEUVスキャナを持っており,2017年の1Qには2台のNXE:3400を追加する予定です。

  そして,10nmプロセスに関しては,すでにR&Dから量産に移行しており,2017年1Qに最初の売り上げが立つとのことです。そして,2018年には量産が,急速に立ち上がると見ています。

  その次の7nmプロセスも,256MbitのSRAMテストチップの歩留まりは予定よりも早く改善してきているとのことです。多くの顧客はアグレッシブで,2017年前半にテープアウトし,2018年の初めには量産という計画だそうです。

  TSMCは,2016年の営業利益は5%-10%伸びると見込んでおり,投資額を前の計画から$0.5B上積みして,$9.5B-$10.5Bとしています。

2. オープンソースのRISC-VをライセンスするSiFive

  2016年7月13日のHPC Wireが,RISC-VコアをライセンスするSiFive社の設立を報じています。RISC-Vは,U.C.BerkeleyのKrste Asanovic教授らが開発したアーキテクチャのRISCプロセサでオープンソースです。当初は教材用として開発を始めたのですが,折角,ちゃんと造ったのだから,実用にしようということでBSDライセンスのオープンソース化しました。アーキテクチャは無償で使えるのですが,それでも,オープンソースから実装するのは,それほど簡単ではなく,採用はあまり進んでいません。

  ということで,コアの販売から,周りのメモリ,I/Oなどのインタフェースも含めて利用ができる形にしてライセンスしようということでSiFive社を設立したようです。

  商品は,Freedom U500シリーズとE300シリーズの2つがあり,U500はLinuxが動く組込み用のアプリケーションプロセッサ向けで,1.6GHzクロックで動くマルチコアのRISC-V CPUでアクセラレータの接続も可能になっています。そしてコア間のキャッシュコヒーレンシもサポートしています。I/OとしてはPCIe 3.0,USB 3.0,GbE,メモリはDDR3/4をサポートしています。プロセスはTSMCの28nmを使っています。

  E300は組込み用のマクロコントローラで,RISC-Vの圧縮命令形式をサポートしています。この形式を使うとコードサイズが30%程度減少させられるとのことです。180nmのTSMCプロセスで作られています。

  RISC-V Foundationは1月には16メンバー程度であったのですが,今では40メンバーに増え,Google,Microsoft,IBM, NVIDIA, HP Enterprise,AMD, Qualcomm, Western Digital, Oracleといった大手も加わっているとのことです。

  大雑把に言えば,SiFive社はARMやMIPSコアをライセンスするImaginationと同様な会社と言うことになりますが,顧客がSoCを作ろうとするときに,どの程度のレベルのサービスを幾らで提供できるのかが鍵になると思います。しかし,Linuxのように大きなコミュニティーができて,ソフトウェアなどが揃って,ARMに取って代わるようになるという可能性も考えられます。

3.iPhone7のA10はiPadProと同レベルの性能

  2016年7月15日のThe Inquirerが,iPhone7のA10チップは,iPadProに使われるA9Xと同程度の性能と報じています。TechTasticの報道を引いて,Geekbenchの性能が3000と報じています。これはA9Xの3100とほぼ同等の性能です。なお,タブレットの方がスマホよりピクセル数が多いので,Appleは高性能のGPUを搭載したXがついたチップを作っています。


  A10はA9と同じTSMCの16nm FinFETテクノロジで製造されると見られます。しかし,InFO WLP(Integrated Fan-Out Wafer-Level Package)というテクノロジを使って端子を密に引き出しているので,パッケージが小さくなり,スマホが薄くできたり,他の機能が搭載出来たりするという可能性があるとのことです。


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