最近の話題 2016年8月20日

１．IntelがARMのファウンドリライセンスを取得

　　2016年8月17日の日経テクノロジーが，開催中のIDFで，Intelが ファウンドリライセンスを取得し，64bit ARMコアを使ったスマホ用のSoCの10nmプロセスでの受託生産ビジネスを始めると，報じています。既に顧客として，LG Electronics，NetronomeとSpreadtrumと契約しているとのことです。しかし，本当の狙いはAppleやQualcommと見られています。

　　Intelの最大の資産は最先端の半導体工場ですが，1工場5000億円とも言われるほど高額な投資で，最先端の半導体プロセス機器は生もので，すぐに陳腐化して行きます。従って，工場が遊んでしまうと，Intelの経営の屋台骨が危うくなってきます。従って，半導体の製造ラインを埋めることが最優先で，自社設計の製品で埋められればベストですが，それがダメなら，他社の技術のチップでもラインを埋めるものを見つけるということになります。

　　スマホ用のSoCは，色々なIPの塊で，それが全部，Intelプロセスに合わせて設計を変更しなければならないので，簡単にできる話ではなく，相当の期間と工数を掛けて準備してきたのだと思われます。

　　日経新聞は，止む無くライバルの軍門に下ったような書き方をしていますが，Intelは周辺チップなどのコントローラにARMコアを使っており，少なくとも10年くらい前はIntelはARMの最大の顧客でした。また，DECから受け継いだSrong ARM，その後継のXscaleなども作っており，ARMとは仲は悪くないと思います。

　　一方，Intelが本気でARMコアのスマホ用SoCに乗り出してきたとなると，TSMCやSamsungにとっては脅威です。

2．IntelがIDF基調講演でKnights Millをチラ見せ

　　2016年8月17日のThe Registerが，開催中のIDFで，IntelがKnights Millをチラ見せしたと報じています。Knights MillはXeon Phiファミリの製品ですが，ディープラーニングに最適化したチップとのことです。可変精度と書かれていますが，具体的にどのように可変できるのかはわかりません。また，Scale outに最適化という文言も有りますが，これも具体的になにを指すのかは不明です。Omni-pathのNICを同一パッケージに内蔵などを指すのでしょうか？

　The Registerの記事によると，このKnights Millは，アクセラレータではなく，CPUとして機能するとのことで，Knights Landingと同様にXeonとの命令互換があるようです。

　製品化時期は2017年となっています。名前と同様，Knights Hillのマイナーチェンジでしょうか？

３．IntelのXPointを使うSSDは2017年か？

　　2016年8月16日のThe Registerが，関係者からの情報ということで，3D XPoint NVRAMを使うOptane SSDやDIMMは遅延しており，SSDは2017年，DIMMは2018年になると報じています。

　　Intelの3D XPointメモリ用のコントローラは，3D XPointメモリと並行して開発されており，3D XPointメモリの特性を仮定して開発を進めてきたのですが，想定した特性のメモリができないため，そのままでは使えなくなったとのことです。

　　また，この3D XPointの特性問題が，MicronのQuantX SSDがNANDベースの従来のSSDの1000倍の性能ではなく，10倍の性能にしかならなかったことにも影響しているようです。具体的に，想定した特性の何が満足されていないのかについては情報がありません。

４．Fordが5年以内に自動運転車の量産開始を宣言

　　2016年8月17日のThe Registerが，FordのMark Fields CEOが5年以内に自動運転車の量産を開始すると宣言したと報じています。このニュースは一般紙にも大きく取り上げられています。

　　この車は，ハンドルやブレーキペダルの無い，完全な自動運転車で，Fordは将来の車のマーケットは，Uberのようなサービスでの使用が中心になると見ています。

　　FordはPalo Altoのリサーチセンターに130人の研究者や技術者を抱えていますが，これを倍増して260人態勢にする計画です。

　　トヨタの研究所も，大幅な人員増を打ち出し，Appleも自動運転をやると言っていますが，そんなに自動運転の人材がいるのでしょうかね。Googleあたりからの高給での引き抜き合戦になるのではないでしょうか？